Summary

  • 欧州委員会の10月27日の提案は、加盟国の送還案件管理システムを、再受入れ・再統合のEUシステムや安全な当局間通信と結ぶ。委員会によると、26加盟国の既存システムはFrontexのRECAMASモデルとある程度整合するが、そのモデルに全面的に基づくのはうち12か国だけだ。
  • 同一人物の案件が複数国にある場合、当局は相互に記録を求められる。一方、第9条では入力した当局だけが自分のデータを訂正・削除できる。誤記の連絡を元の担当者へ戻し、修正版を再び届ける仕組みが要る。

国境を越えて読める記録でも、誰でも書き直せるわけではない。欧州委員会の条例案原文は、その線引きを第8条と第9条に置いた。別の当局が誤りや欠落、違法な入力を見つけたら、通信ポータルで入力元へ知らせる。実際に訂正・削除するのは入力元の当局か、自ら入力したFrontexである。

この設計は一枚岩のEUデータベースを前提にしていない。各国が集中型または分散型のRECAMASを持ち、再受入れ用iRCMSと再統合用RIATを組み込む。欧州検索ポータルは同一人物の複数案件を探し、当局間ポータルが連絡経路となる。第3条は、Frontexのモデル、参照実装、あるいはモジュールの組み合わせを各国が採る余地を残す。

元の記録を作った組織に訂正権を残すのは、責任の所在を明確にする。一方で受け取った組織は、誤りを知っていても元の組織の処理を待つ。提案は遅滞ない訂正を求めるが、通信が速いことと訂正が速いことは別だ。誰が異議を出し、どの入力者が判断し、いつ修正済みの状態が各案件に届いたか。ここを追跡できなければ、接続数だけでは性能を語れない。

第10条は実務上の賭け金を高くする。案件を開いた人への識別子、期限管理、適法な滞在の終了時に案件を自動作成する可能性、送還決定が停止・取消しとなった際の状態更新を挙げる。古い状態が次の処理に使われれば、訂正の遅れは単なる画面上の欠陥で終わらない。

出発点も揃っていない。26か国に「一定程度の整合」があっても、全面的にモデルを基礎とするシステムは12か国。議会と理事会の審議もこれからだ。まず示すべきは、異なる二つの当局の間で一件の訂正が確実に往復する記録である。