Summary
- Enphaseは米テキサス州オースティンの研究施設で、13.8kVの交流を800Vの直流に変換した。132個の電力モジュールを三相に分け、AI計算ラックを模した負荷変動中も出力を安定させたという。
- 2026年7~9月期の売上高は2億9330万ドルで、前年同期の4億1040万ドルから約28.5%減った。顧客実証は2027年、商用出荷は2028年に始める計画だ。
電圧は安定した。事業の時間軸はまだ揺れる
Enphaseの10月27日の技術発表は、単なる製品構想より進んでいる。オースティンの研究施設で、44個ずつを三相に直列接続した計132個のモジュールが、一つのシステムとして動いた。13.8kVの交流入力を800Vの直流出力に変え、計算ラックを想定した急な負荷変動にも対応した。各モジュールにかかる電圧を分散制御でそろえることも確認したという。
この結果が示すのは、実験条件下での変換と電圧制御だ。会社が次に予定するのは34.5kVでの動作確認と、2026年末までの定格出力を伴うメガワット級ラックの実証である。顧客による試験は2027年、商用出荷の開始見込みは2028年。発表資料には、顧客設備で測ったシステム全体の変換効率や稼働実績、受注額は載っていない。買い手にとっては、実験室での成功から設備としての採用まで、まだ複数の審査が残る。
その間の費用を担うのは、主に既存の太陽光・蓄電事業だ。同日の四半期決算では、売上高が前年同期の4億1040万ドルから2億9330万ドルへ約28.5%減った。前期の2億9190万ドルからはほぼ横ばいだ。米国会計基準の粗利益率は前年の47.8%から43.3%へ、営業利益は6616万ドルから647万ドルへ低下した。営業キャッシュフローは約10万ドルで、設備投資は1150万ドル。期末の現金、現金同等物、有価証券は9億3180万ドルあり、開発を続ける余地はある。しかし余地があることと、投じた資金がいつ戻るかが分かることは別だ。
屋根の上の商売が、データセンターの賭けを支える
Enphaseは当期に約142万台のマイクロインバーターと129.9MWhの蓄電池を出荷した。ところが10~12月期の売上高見通しは2億2500万~2億5500万ドルで、上限でも直近の実績を下回る。世界の最終販売も前期比で約10%減ると見込む。住宅向け需要が弱い時期に、新たな電源設備を商用化する投資を進める構図だ。
会社は新型変圧器の顧客・提携候補が50を超え、以前の二倍以上になったと説明する。大型のデータセンター事業者など二社との協議にも触れるが、相手の名前や契約額は示していない。候補が増えるほど設計上の要求を知る機会は増す。一方、正式採用の時期と条件を決めるのは買い手である。Enphaseは製品の完成度と製造準備に資金を先行させる。
中圧交流から800V直流へ直接変換し、従来の複数段階を減らすという構想には、電力制約の厳しい施設ほど値打ちがあるはずだ。値段を付けるには、実際のラックで得られた効率、稼働率と購入契約が要る。今、明確なのは技術上の到達点と商用化までの予定表、そして現在の売上減少だ。電気は通った。稟議はこれからである。
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