要点

  • ECTELの比較表では、同じ周波数幅に同じ年額を払っても、人口で換算した価格は国によって大きく異なる。
  • 人口比例か五等分かは未決定。帯域別料金と最低年額の廃止も提案段階で、利用者の携帯料金がどうなるかは示していない。

通信を良くするために使える周波数でも、使い手がつかなければ役に立たない。ECTELの協議文書は、今の一律料金を高い方の中間周波数帯に適用すると、多くが未割当のままになり、移動通信網の発展やサービス品質を妨げかねないと指摘する。

そこで、この帯域に低めの単価を設け、5Gを含む将来の利用を促そうとしている。開通が決まったという話ではない。それでも、料金表が事業者だけの事務問題ではない理由は分かる。ネットワークに使われるはずの資源を、料金が遠ざける可能性を当局は心配しているのだ。

もう一つの論点は、市場の大きさだ。同じ幅の周波数に同じ金額を払うとしても、その国の人口が違えば、価格の意味も変わる。文書はこれを比べるため、料金を周波数幅と人口で割っている。

元の金額は同じ30万XCD。表では、各国で15 MHzのペア、つまり15 MHzを二つ使う場合に、現行の最低年額を当てはめている。セントクリストファー・ネービスの人口は4万6,843人、セントルシアは17万9,744人。いずれも文書が採用した2024年の人口であり、特定事業者の契約者数ではない。

この例を1 MHz・人口一人当たりに換算すると、前者は約0.21 XCD、後者は約0.06 XCDになる。住民が直接払う税金でも携帯料金でもない。同額の請求を人口規模の異なる市場に置くと、これだけ違って見えるという比較だ。

五つの国で、何をそろえるのか

見直しの対象はこの二か国だけではない。ドミニカ国、グレナダ、セントビンセントおよびグレナディーン諸島を合わせた五か国にECTELが助言し、各国の規制委員会NTRCが免許や周波数許可を管理する。料金を払うのは周波数利用者であり、その管理などの業務を支えている。

新案では、各国が共通のMHz・人口当たり単価を自国人口に掛ける方法を選べる。この場合、換算単価はそろうが、同じ周波数幅への支払額は国ごとに変わる。もう一つは、五か国の合計額を五等分する方法だ。現在のようにMHz当たりの金額をそろえ、人口換算の差は残す。

政府同士で請求書を分担する話でも、住民税を課す話でもない。回答用紙は二案からの選択と理由を求めている。周波数の経済価値を計算しただけでは、どちらの「同じ」を優先すべきかまでは決まらない。

最低額を外しても、一律値下げにはならない

料金表には、小さな割当にも大きく響く条件がある。現行の計算は各国でペアの1 MHz当たり年2万XCDだが、移動通信向けのIMT免許には30万XCDの最低年額がある。保有量で計算するとそれより少なくても、支払いは下がらない。ECTELはこの下限をなくし、保有量と帯域別単価で決めるよう提案している。

提案単価は年額のMHz・人口一人当たりで、1 GHz未満が0.14 XCD、低い方のミッドバンドが0.10、高い方が0.03。現行料金の説明にある0.10は人口加重の換算値で、現在すべての国が同じ人口単価で徴収しているわけではない。IMTに適した帯域の固定無線アクセスも、固定リンク用からIMT用の料金表へ移す案だ。

文書によれば、料金表は2006年に見直され、その後の改定は部分的だった。今回の国際比較は資本コスト12%を仮定して免許価格を年額化し、物価・通貨差を調整して極端な値を除いている。行政費用だけでなく、周波数利用権の価値を推定するためだ。

ECTELの試算では、IMT料金総額は2024年の業界収入の3.0%から4.0%弱へ増える。文書が示す国際比較は7〜8%。一方、ECTEL自身の費用と収入は公表されていないと明記する。この試算は各国当局の独立した費用監査でも、利用者への価格転嫁の予測でもない。

告知では、最初の意見受付は10月16日に終了し、意見への回答期間は10月26日から11月6日まで。その後にECTEL Directorateが改訂し、Council of Ministersによる各国への採択勧告に向けた検討へ進む。まだ提案である。料金表の列をそろえる前に、そろえたいものを決める必要がある。

訂正・更新、2026年10月21日:支払主体、現行料金の人口換算値、収入比率の説明を修正し、非公開の財務情報についてはECTELに限定した。従来のURL、公開日、アクセス権限は維持。