要約

  • AS210860は2026年3月26日以降、グローバル経路表に現れていない。Hurricane ElectricのBGPツールキットの掲載(2026年7月14日更新)では、IPv4・IPv6ともに発表プレフィクス数はゼロである1。
  • RIPEデータベースのミラーが示すaut-num AS210860(as-name edeka_digital、org ORG-EDG14-RIPE、status ASSIGNED)は、2021年8月24日作成、2021年10月27日最終更新のままであり、2026年にレジストリ変更の痕跡は組織オブジェクトの更新日時のみである2。
  • PeeringDB由来の記録はEDEKA DIGITAL / AS210860が10個のIPv4プレフィクスと1個のIPv6プレフィクスを宣言し、IRR AS-SETとしてAS210860、公開ピアリングポリシーを掲げているが、これは観測上のゼロ発表と直接矛盾する3。

経路の沈黙は続いている

Hurricane ElectricのBGP Toolkitによれば、AS210860は2026年3月26日以降グローバル経路表に現れておらず、IPv4・IPv6のいずれのプレフィクスも発表していない。同ページは2026年7月14日に更新された表示を持つが、9月時点の現状確認としては鮮度に限界がある1。RIPEstatの2026年9月14日時点のスナップショットはこれを裏付け、AS210860はRIS上でプレフィクスを生成しておらず、トランジットとしても観測されず、プレフィクス詳細はゼロである4。CIDR Reportもまた、AS210860がプレフィクスを発表せず、可視のトランジットASとして機能していないと分類している5。

歴史的には、このASはEDEKA DIGITAL GmbHに帰属する1個のIPv4プレフィクス193.21.248.0/21を生成しており、観測されたBGPピアはAS9211(Nawork Internet Informationssysteme GmbH)の1者、RPKI有効・無効いずれの生成実績もゼロである1。

登録面の固定性と唯一の変化

RIPEデータベースのミラーでは、aut-num AS210860は2021年8月24日の作成から2021年10月27日を最後に変更されておらず、admin-cおよびtech-cはDA9499-RIPE(役割オブジェクト名DFINFRA)、宣言上流はAS9211とAS13237である2。組織オブジェクトORG-EDG14-RIPEはEDEKA Verwaltungs- und Beteiligungs GmbH(ハンブルク地方法院HRB 90516)として記録されており、その最終更新日時は2026年5月13日——保持している資料群の中で2021年以降に観測される唯一のレジストリ変更である。ただし変更内容の詳細はこのミラーからは読み取れない2。

ここで名前の区別を明確にしておく必要がある。DFINFRAはRIPEの役割オブジェクト(nic-hdl DA9499-RIPE)の名称であり、ネットワーク運用者はEDEKA DIGITAL GmbH、組織オブジェクトORG-EDG14-RIPEの名義はEDEKA Verwaltungs- und Beteiligungs GmbHである。ジーゲンに本拠を置くDINFRA GmbHは別の法人であり、両者を混同してはならない。本稿が扱うのは前者の整流器(ASN)とその登録状況である。

IPinfoはAS210860を「Inactive」と表示し、収容アドレスはゼロ、レジストリはRIPE、割当は2021年8月24日、最終更新は2021年10月27日としている6。一方、IP.CCは1個のIPv4プレフィクス(193.21.248.0/21)とピア/上流AS32787(Akamai Technologies)をこのASに帰属させ、EDEKA DIGITAL GmbHの名称で2021年10月27日最終更新の組織オブジェクトを再掲している。ピア帰属はHurricane ElectricのAS9211と相反し、組織名もミラーの記録と食い違う7。

自己申告と観測の乖離

PeeringDB由来の記録は、EDEKA DIGITAL / AS210860が10個のIPv4プレフィクスと1個のIPv6プレフィクスを自ら宣言し、IRR AS-SETとしてAS210860を示し、開かれたピアリングポリシーを掲げている。これは自己申告であり監査されたものではなく、最終更新時刻も表示されないが、観測上のゼロ発表とは直接矛盾する3。

番号資源の移動を示唆する第三者の移転記録が存在する。2025年12月23日付のその記録は、193.20.0.0/15と関連付けられたアドレス空間がRIPE経由でEDEKA DIGITAL GmbH(ドイツ)からEDEKA Verwaltungs- und Beteiligungs GmbH(オーストリア)へ合併ないし買収の形で移動したと記述する。しかし同じ記録は「1 x /24、約256アドレス」とも述べており、/15という表記と内部矛盾を抱える8。

RIPEstatの表示には別の非整合もある。同ツールは2026年9月14日時点でRIR登録状態をRESERVED(保持者なし)と描く一方、RIPEデータベースのミラーは同一aut-numをASSIGNEDとして示す。このRESERVED対ASSIGNEDの食い違いについて、保持している資料群は説明を与えない4。

何が分かっていないか

経路の沈黙が停止・解約・運用移行のどれを意味するのかを示す一次資料は、保持している資料群には存在しない。EDEKA DIGITAL自身による当該ネットワークの状況説明も見当たらない。観測と自己申告の乖離がなぜ放置されているのか、その検証コストを誰が負担すべきかをめぐる明示的な意思表示も確認できない。これらは本稿が事実として断定できる事柄ではない。