要約

  • 出発点のない採点表では、前進したかどうかを判定できない。カナダの通信競争ロードマップは五つの指標を監視し、結果を報告すると約束する。基準値、目標値、最初の報告日はいずれも示していない。
  • 18施策は競争の選択肢、料金、ネットワーク投資という三つの目的にまたがる。施行済みの規則、協議中の案、今後の計画が一つの表に並ぶ。施策の完了数を成果と呼べば、行政の作業量が利用者の利益にすり替わる。

カナダのイノベーション・科学・経済開発省が10月28日に更新したロードマップは、インターネットと携帯電話の料金、事業者の乗り換え、速度、カバレッジ、苦情と解決を、進捗指標の候補に挙げる。政府は成果を監視し、国民への影響を報告するという。

指標名はあるが、採点方法はない。基準値、数値目標、報告頻度、各データの作成・検証を担う主体が決まっていない。しかも指標は五つに限らず、追加もあり得ると記す。後から項目を変えるなら、年度間の比較はどう守るのか。

18の施策は同じ時計で動かない。すでに発効した規則もあれば、CRTCが詰めている決定、意見募集、数年先に及ぶ周波数の計画も含まれる。完了した施策の数は政府の活動記録であって、料金やカバレッジ、乗り換えやすさの測定値ではない。

計画の末尾で政府は、進展が「満足できない」場合、CRTCへの政策指示の見直しなど追加措置を検討すると記す。しかし、どの水準なら不十分なのかは定義されていない。結果を見てから基準を決めれば、評価の物差しを後から動かせる。

最初の報告では、数値の出所、分母、地域範囲、期間を指標ごとに先に公表する必要がある。料金なら比較可能なプラン、乗り換えなら完了と失敗の区別、速度とカバレッジなら一貫した測定法、苦情なら件数と解決までの時間が要る。現行文書はそこを定めていない。

第一回の報告日、基準値、測定ルールが示されれば評価は変わる。今あるのは大きな施策一覧と監視の約束であり、採点表はまだない。

出典:カナダ政府、通信競争ロードマップ。