要点

  • 地域レジストリには、過去のIPアドレス割り当てで得た情報を保存し、同じ利用者の次の申請を審査する際に使えるようにする義務がある。継続すべき仕事は、単なる名簿の保管ではない。
  • Council がまとめた2026年の原案は、NRO EC に引き渡された。5年ごとの監査などはまだ提案であり、2024年の批准済み手続きを自動的に置き換えるものではない。

通信事業者が、以前にも利用した地域レジストリへIPアドレスを追加申請する。そのとき、前回の申請記録は役目を終えた書類ではない。新たな申請を審査するための情報として、引き続き使われる。

これは特定の事業者の体験談ではなく、2024年12月に批准された手続きの第2.19項が明記する記録保存の目的だ。記録を利用できなくなれば、審査に使うはずの情報が欠ける。運営を任せる相手の名前だけ決めても、その情報は戻ってこない。

地域インターネットレジストリは、IPアドレスなどの番号資源を割り当て、登録する組織である。文書は、利用者にサービスを提供する技術者や内部設備も求めている。帳簿を残すことと、業務を続けることはつながっているが、同じ仕事ではない。

2026年7月28日の公式発表によると、Council は地域インターネットレジストリの統治文書の第3版を仕上げ、Number Resource Organization Executive Council、略して NRO EC に提出した。文書の責任も NRO EC に移った。最終版に向けた検討と、ICANN や各レジストリとの調整は、その先の仕事だった。

この原案をまとめたのが ASO Address Council だ。利用者の申請を日々処理する組織ではなく、その組織を支えるルールに関わる。次に誰が案を検討し、採用を判断するかまで追う必要があるのは、そのためである。

新しいレジストリを迎え入れる役割

ARIN が公表する職務には、新しいレジストリの承認について ICANN に勧告する役割が明記されている。Council は、誰がこの仕組みに加われるかという判断にも関わる。勧告の宛先が ICANN でも、その対象はレジストリだ。

ほかにも、番号資源に関するグローバルなポリシー策定手続きへの参加、助言、ICANN の組織に人を選ぶ手続きなどがある。いずれも重要だが、新規承認の勧告と、既存レジストリの承認を単独で取り消す権限は別物だ。運営の引き継ぎも、さらに別の仕事になる。

Council は NRO Number Council の役割も果たす。ARIN の説明では、各地域レジストリから3人が参加する。この地域代表の仕組みだけで、完全な独立性も特定の利害による支配も断定できない。

その制度は、ICANN と NRO の間の取り決めにも支えられている。ICANN 章程の第9条は両者の覚書を明示し、共に設けた枠組みとして位置付けている。

見直しの経緯も確認できる。2019年11月の ICANN 理事会決議は、更新版の覚書を締結する権限を付与した。理由説明には、2018年に完了し18件の勧告を出した組織レビューが記録されている。全勧告の実施までを意味しないが、レビュー自体が不明という話ではない。

問題の発見と、サービスを守る仕事

2024年12月24日に批准された ICP-2 の評価手続きは、インターネットの一意な識別子の安定性と安全性に重大なリスクがある場合を扱う。

ほかのレジストリは、全会一致で ICANN に審査を求められる。ICANN 自身が開始できる限定的な経路もある。ただし、あらゆる苦情についてレジストリを一般的に監督する権限を設けるものではないと、文書は範囲を区切っている。

審査の先にも選択肢がある。追加の対応が不要な場合、期限内に是正できる場合、必要な時期までに是正できない場合だ。通常は、対象レジストリに暫定的な判断の事実誤認を訂正するための2週間が与えられる。深刻な状況では、より迅速な例外対応も可能になる。

必要な時期までに回復できない場合、ICANN は残るレジストリと協力し、緊急時のサービス提供者を見つけると約束している。その備えとして、主要な登録データのバックアップや第三者への保管委託の検討を促す。ただし、予備のデータが試験済みであることや、代わりの運営者が待機していることまで示すものではない。

利用者の情報を引き継げれば、誰にでも開示してよいわけでもない。登録時に集めた情報には、用途と提供先を制限する守秘の規定がある。冒頭の申請記録も、使える状態で保つと同時に守る必要がある。ここで確認した文書は、特定の障害や介入の実績を示すものではない。

定期監査は、まだ提案の段階

2026年9月の発表は、5年ごとの定期監査、是正計画、より詳しい承認取消しの手続きなどを提案内容として説明する。承認取消しでは、対象レジストリを除いたレジストリの3分の2の支持と、ICANN の審査・判断の役割を挙げている。

これらは推奨原案の説明だ。2024年の手続きにある別の条件を、発表だけで置き換えたことにはならない。7月の引き渡しは、まさにその先に検討と決定が残っていることを示している。

次の節目は、採用する版と適用日が分かる決定になる。その後には、規則に従って実際に仕事を続ける組織が要る。申請する側が頼るのは原案の完成度だけではない。以前の情報を取り出し、次の申請を処理できる人がいることだ。

2026年10月22日訂正:公表された承認勧告の職務を補い、ICANN–NRO の制度的根拠と組織レビューの経緯を訂正した。2024年の批准済み手続きと2026年の推奨原案を区別した。初出の日付は変更していない。