要約
- 2月4日に承認された選挙ガイドラインは、2025年9月のBoard選挙で作られた名簿を、2026年の選挙と会員決議の基準にした。
- 会員は指定投票者を確認、修正、交代できたが、期限までにいずれの手続きもなければ従来の指定が確認済みと扱われた。
- 新規・変更手続きには会社の委任状、役員署名、身分証、複数の確認メール、AFRINICの照合が必要だった。一方、変更されなかった指定が同じ審査を再び受けたかは規則から分からない。
- 5候補が3議席を争い、Daniel K. Nanghaka、Afaf El Maayati、Maud Adjeley Ashong Elliotの3人が当選と発表された。発表には候補別得票、投票率、無効票、trustee、署名付き認証がなかった。
- これは不正や違法性の証明ではない。組織が持つ票から個人への委任、その個人から最終結果への経路を公的資料だけで追えないという問題である。
投票前に引き継がれた「誰が投票できるか」
選挙では、誰が勝ったかより先に、誰が投票できたかを確認する必要がある。AFRINICのResource Memberでは、権限の主体は組織であり、名簿に載る個人は代理人だ。個人の名前だけを見ても、その時点で組織の意思が生きていたかは分からない。
AFRINICがBoardとして示す人々は2月4日、GovCom、NRO NC/ASO AC、PDP共同議長などに適用する2026年規則を承認した。第12.1項は、2025年9月のBoard選挙用名簿を新年度の基準とした。第12.2項以降は確認期間を設けたものの、会員から確認、訂正、変更が届かなければ、従前の指定を確認済みとみなす仕組みを採った。
実務上の負担を減らす効果はある。組織が同じ代表者を望んでいたケースも当然あり得る。しかし、積極的に再委任したことと、変更届がなかったことは別の事実だ。しかも、起点となった2025年9月の手続きは争いの対象だった。
NRSは、同選挙が適法にも最終的にも完了していないとの立場を示し、登録も投票もしていないのに名簿へ名前がある組織に連絡を求めた。これはNRSの主張であり、裁判所の認定でも、特定の虚偽登録を示す証拠でもない。AFRINICは投票参加を前例のない水準と表現する一方、取締役を無効にする訴訟を認め、虚偽に代表されたと考える会員に申告を促した。
相反する説明があるからこそ、2026年の再確認状況を数字で示す意味がある。
本人確認の厳格さは、継続指定の再確認を意味しない
新しい代表者を指定したり交代したりする手順は軽くない。2026年のガイドは、会社レターヘッドの承認書、役員の署名、公的身分証明書、役員と登録連絡先への確認メール、AFRINICによる検証を求めた。
これらは、組織から個人への権限移転を証明する材料になる。しかし公開規則は、変更なしで持ち越された全指定について同じ工程を再実施したとは書いていない。通知が何件届き、積極的な確認、修正、交代、拒否、異議、無回答による継続がそれぞれ何件だったかも見つからない。
特定の会員が通知を受けていないと断定することはできない。多くの会員が明示的に確認した可能性もある。欠けているのは個人情報ではなく、全体を評価するための集計値だ。
2025年の公開統計は、投票者581人、生体認証完了548人、9月12日までの投票484票としていた。規模を示す数字ではあるが、各委任の有効性を保証するものではない。2026年に必要なのは、旧名簿のうち何が新しい指示によって確かめられたかという変化の記録である。
選挙管理の独立性を誰が認証したのか
ガイドラインはElection Committeeを独立と呼び、投票者確認、投票用紙の発行と回収、開票、集計を任せた。同時に、同委員会はCEOまたはその役割を担う者に対して行政上の説明責任を負う。Bylawsも、委員会がCEOの指名する職員で構成されるとしている。
この関係だけで干渉があったとは言えない。ただし、独立性を公に検証するには、実際の担当者、指示系統、例外処理、ログ管理、結果認証を示す必要がある。組織が自ら「独立」と記すだけでは足りない。
さらに、選挙の開始と終了を監督するtrusteeは、NomCom議長、AFRINICの外部法律顧問、CEOで構成され、CEO不在時はInterim Management Committeeの代表が入る。得票が同数なら抽選で当選者を決める役割も持つ。証拠を凍結した時点で、AFRINICのTeamページではCEOの氏名欄が空白だった。公開されていない後日の就任がない限り、規則上は暫定経営側の代表につながる。
4月にBoardがNomComの4人を任命した際、AFRINICはその公平性、勤勉さ、誠実さに全面的な信頼を表明した。これは組織の評価であって独立監査ではない。本資料には、委員、候補者、職員、法律顧問、暫定管理者の誰かが不正を行ったと示す個人別証拠はない。
当選者は分かるが、結果を再現できない
6月17日の最終候補者一覧には、3つのGovCom議席に対して5人が載った。6月30日付のメールはDaniel K. Nanghaka、Afaf El Maayati、Maud Adjeley Ashong Elliotを当選者と発表した。
保存された3,825バイトの発表には、候補別得票数、有資格投票者数、発行票数、投票率、無効・却下票、異議件数、指定変更数がない。実際のtrustee、投票基盤、独立監査人、認証署名者も示されていない。
情報が内部資料、録画、未索引ページに存在する可能性はある。本稿の確認範囲は発表と収集した資料に限る。ただ、規則第17項はNomComが最終結果と統計を公表し、関連文書をウェブサイトで利用可能にすべきだとしていた。今回の短い発表は、その透明性の約束を満たしていない。
日程表は最終名簿を6月14日、GovCom結果を25日に予定したが、メールは30日付だった。「2026」と題するコミュニティ名簿ページに「Published on 14/06/2025」とあるのは公開メタデータの誤りであり、改ざんや日付偽装の証拠ではない。収集時に複数の選挙サイトがHTTP 500を返したことも、一時的な閲覧不能を示すだけで、隠蔽の意図は推定できない。
必要なのは個人情報ではなく集計と署名だ
会員の身分証を公開せずとも、検証可能性は高められる。通知の送信・到達件数、明示確認、変更、交代、拒否、異議、デフォルト継続の件数を集計で示す。実際のElection Committeeとtrustee、投票基盤、監査者を明らかにする。有資格者、発行票、投票率、候補別得票、無効票、紛争、署名付き認証を公開する。
AFRINICの規則は、新しい明示的委任より制度の連続を容易にした。公表結果から当選者は分かるが、争いのある2025年の指定層から2026年のガバナンス結果までを追う監査の橋は見えない。これは代表と説明責任の欠落であり、個別票が虚偽だったという判断ではない。
より広い制度経済と正統性の論点は、BTWの別稿 AFRINIC選挙の正統性 を参照できる。
情報源
- Heng Lu:大陸、コミュニティ、エンドユーザーを誰が代表するのか
- Heng Lu:レジストリ権力が責任から切り離されるとき
- Heng Lu:権力、正統性、AFRINICのロックイン
- Heng Lu:インターネットガバナンスのエージェンシー問題
- AFRINIC 2026年選挙ガイドライン
- AFRINIC選挙ポータル
- 2026年最終指定代表者名簿
- 2026年コミュニティ投票者名簿
- 2025年投票者名簿
- 2025年選挙統計
- 2026年代表者指定ガイド
- 2026年NomCom任命
- AFRINIC Election Committee
- 2026年候補者一覧
- 2026年選挙結果発表
- 組織安定と法的課題に関する会員向け更新
- AFRINIC Teamページ
- NRS:Protect Your Vote
- AFRINIC Bylaws
- LARUS:RIRのガバナンス判断がインフラを損なう仕組み
- BTW:AFRINIC選挙の正統性に関する調査


