要約

  • Unityの現行規約では、第三者にサービスを提供する開発者の財務基準に、顧客の総売上や資金調達額を使う。開発者の小さな請求額とは別の尺度である。
  • 見積もりには適切なプラン、認められた利用者、実際の権利を織り込む必要がある。Proの公開席単価だけで、すべての受託案件に値札は付けられない。

小口の仕事を出す会社が、小さな会社とは限らない。Unityの規約はこの違いを覚えている。第三者から開発を受託する場合、プランの利用資格で見るのは顧客の総売上や資金調達額だ。作業者が数えているのは工数でも、エディターの入口では発注元の帳簿が顔を出す。

これは見積もりの順番に関わる。作る範囲と自分の時間は計算できる。ライセンスを左右し得る数値は、別会社の手元にある。価格を先に固定してしまうと、必要な道具の条件を知る頃には、仕事だけが動き始めている。

先に役割を分ける

2026年6月30日更新のエディター規約は、利用者の立場を分けている。自社のために制作する法人は、自社の総売上と資金調達の合計を基準とする。第三者へサービスを提供する法人では、顧客の総売上や資金調達が基準となる。個人の受託作業でも、顧客側を見る規定がある。

一方、個人が自分のプロジェクトを作る場合は、Unityの使用に関連して生じる金額を見る。関係のない別の仕事の収入を一律に足すわけではない。政府、非営利組織、教育・学術機関では、機関全体の予算という基準になる。「開発者はいくら稼ぐのか」だけでは、規約の問いに届かない。

公式ライセンス案内にも顧客基準が明記されている。Personalの財務上限は直近12カ月で20万米ドル。これを超えると、内部向けや試作であってもPersonalは使えない。現行規約では、利用する日ごとに過去12カ月を見て資格を測る。

進行中の案件でも財務状況は動く。資金調達や売上の変化で前提が変わり得るし、別の顧客を受け入れる際にも基準を確認する意味がある。発注書に「試作」と書けば作業範囲は小さくできる。発注元の経済規模まで縮むことはない。

Proの単価より前に決めること

規約が示すProの範囲は200,001米ドルから24,999,999米ドルで、2,500万米ドル以上はEnterpriseとなる。ゲームや娯楽だけに限られない産業利用には、100万米ドルという別の基準とUnity Industryがある。役割、用途、財務の範囲を決めた後で、適切な製品と権利を選ぶ順番だ。

2026年の価格案内では、Proは1席当たり年払い前払いで2,310米ドル、月払いで月210米ドルとされる。地域の税、通貨、端数処理によって最終額は変わり得る。この数字は特定プランの公開価格だ。実際の案件に必要な人数や商業条件まで書かれた見積書ではない。

利用権にも独立した規定がある。エディター規約の基本的な権利付与は、自らのコンテンツを作る制作主体を主に想定する。サービス提供者や代理店などには、別の権利付与や書面の承認が必要な場合がある。見積もりに必要なのは、誰が誰のために何を許されているかという形だ。

一般規約も、法人を代表して行動する場合と個人として行動する場合を分ける。個別の提供内容や商業条件で別に定めない限り、標準の契約相手はUNITY TECHNOLOGIES SFとなる。購入の当事者と実際の作業関係を合わせて初めて、ライセンスの費用をどの契約に載せるかが決まる。

情報を持つ人と値段を書く人

顧客が技術環境を指定し、その顧客が財務情報も持っている。受託側は工数と納品範囲から固定価格を出す。この二つをライセンスが結ぶのに、費用と情報の分担が空いたままでは、調達の仕事が実装開始後に残る。

価格を確定する前に、財務基準の範囲、認められた利用者、必要な権利とその手配、予算への入れ方を決められる。公式案内は利用者ごとの適切なライセンスを求める。規約は同一主体や対象となる組織・プロジェクトで、財務上限が異なる区分を同時に混用することも制限する。アカウントを貸し回しても、見積もりの前提は埋まらない。

個別案件の道具代を算出するには、対象顧客の財務情報、実際に認められた利用形態、人数と商業見積もりが必要だ。それらがそろえば、受注額と仕事を成立させる費用を同じ表で比べられる。

Unityは小さなチームにも制作を始めやすいエディターを提供する。受託市場でその入口を決めるのは、作業者の規模だけではない。小さな仕事でも、見積もりには大きな発注元の条件を座らせておいたほうがよい。