Summary
- T-Mobileは2026年8月10日、800 MHz帯の免許をGrain関連会社へ売却し、現金29億ドルと評価額6億9000万ドルの600 MHz帯免許を受け取った。開示された対価総額は丸めて36億ドル。同社の7~9月期Form 10-Qは、売却に関連する現金の所得税約8億5000万ドルを主に2027年末までに支払う見通しを示す。
- 売却収入は7~9月期の投資活動キャッシュフローが3億5800万ドルのプラスになる主因の一つだった。一方、同じ四半期に有形固定資産の取得へ22億7000万ドルを使った。受け取った免許は現金ではなく、予定される税金も当期の支払済み額ではない。
36億ドルを全額現金と呼ばない
周波数免許は見えない資産だが、交換の内訳は明瞭だ。T-Mobileの手元に入った現金は29億ドル。残りの主な対価は、以前から賃借して利用していた600 MHz帯の免許で、評価額は6億9000万ドルだった。両者で開示上の約36億ドルになる。免許を現金扱いすれば、今使える資金を過大に見積もる。
キャッシュフロー計算書の資産売却収入は四半期で29億2700万ドル、前年同期は1800万ドル。同社は800 MHz帯取引がこの項目の主因と説明するが、項目そのものは他の有形・無形資産も含む。同じ投資活動では有形固定資産の取得が22億7000万ドル、周波数など無形資産の取得が3億2400万ドルだった。投資活動全体は3億5800万ドルの純流入となった。
現金を得るために資産を売ることと、携帯網が投資を要しなくなることは別だ。2026年1~9月の有形固定資産取得は75億9600万ドル、周波数など無形資産の取得は8億3400万ドル。資産売却収入は30億3800万ドルで、その中心が800 MHz帯の売却だった。前年同期には別の大きな買収・投資もあったため、投資キャッシュフローの前年比変化すべてを今回の売却に帰すことはできない。
税金は次の暦に残る
取引に伴う現金の所得税について、T-Mobileは約8億5000万ドルを主に2027年12月末までに支払うと見込む。これは今後の支払い見通しであり、7~9月期に支払済みの金額ではない。売却収入から今期中に全額差し引けば支払時期を間違える。将来の請求を無視すれば、最終的に残る現金を多く見せる。
契約には追加対価の可能性もある。Grainが免許を再び収益化し、投下資本や所定の費用とリターンを超える収入を得た場合、T-Mobileはその超過分の50%を受け取る権利を持つ。四半期報告書には後日の売却契約が記されているが、申告時点では決済条件と規制承認が残っていた。T-Mobileはこの潜在的な追加対価について利益を計上していない。「50%」だけで入金額は計算できない。
同じ四半期の営業活動キャッシュフローは73億4100万ドル。財務活動からは48億4800万ドルが純流出し、内訳には自社株買い24億1800万ドル、長期借入返済13億6700万ドル、配当10億8900万ドルがある。報告書は免許売却の現金を個々の使途にひも付けていない。資産売却と株主還元が同じ四半期にあったことを、直接の資金使途と読み替えない方がいい。
次に必要なのは実際の納税額と、追加対価が決済されて利益として認識されたかどうかだ。現時点で確定した現金受領、現金ではない免許、将来の税金見込み、条件付きの権利を四列に分けておく。それが取引の価値を測る出発点になる。
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