要約

  • ARIN-2026-2 は、組織の「現行2年ネットワーク計画」で定義されたプレフィックス単位の75%以上を割り当てまたは再割り当てした場合、IPv6追加申請の一条件を満たす案である。
  • 観測された分子だけでは結果を再現できない。計画の改版で単位定義や予定単位総数が変われば、実配備が同じでも分母と判定が変わる。
  • 状態は Under Discussion のままである。採択、実装、完了したstaff and legal review、実案件、分母を巡る紛争、実際の追加割り当ては確認されていない。
  • 詳細計画を保護したまま、計画のダイジェスト、有効期間、単位、分子、分母、証拠基準日、結果、決定だけを小さなレシートに残せる。

冒頭の数字は実例ではない。60という分子を固定し、計画だけを入れ替える記号実験である。版Aでは予定単位が80なので 60÷80=75%。版Bでは100なので 60÷100=60%。前者は提案中の条件に届き、後者は届かない。

この差は不正を示すものではなく、計算の依存関係を示す。百分率は単独の事実ではない。どの文書を「現行」と呼ぶか、そこで一単位をどう定義するかが決まって初めて成立する。結果だけを保存し、入力文書を失えば、後から同じ結論には戻れない。

ARINの公式ページは「NRPM Section 6.5 Revision」をDraft Policy ARIN-2026-2 として掲載し、状態を議論中としている。現行テキストの日付は2026年5月4日、履歴上のDraft Policy化は6月24日である。問題提起は、現在のSection 6.5が複雑で数式依存が強く、硬直したサイズ計算や利用率、IPv4依存の条件がIPv6の階層設計と整合しにくいというものだ。

提案は、用途、階層、約1年・2年・5年の成長を記したネットワーク計画を中心に据える。初回の規模は計画と集約、連続成長を見て決める。しかし「数式から計画へ」は「数値から判断へ」ではない。提案Section 6.5.4には明確な75%条件が残る。

追加申請では、75%のほかに、以前提出した階層どおりの配備または構成変更の技術的理由、新しい5年期間に向けた改訂計画、集約の維持が求められる。可能なら既存割り当てを連続的に延長するとも書かれている。これらは別々に記録すべき状態である。5年計画は将来需要を示す資料で、現在の2年分母ではない。構成変更の理由は正当な逸脱を説明するが、過去の計算を書き換えるものではない。連続発行も、75%を超えれば必ず得られる権利ではない。

「現行」を決める時刻がない

確認した草案には、2年計画の版識別子、改訂版が現行になる時点、審査中の申請にどの版を使うか、プレフィックス単位の大きさを改版時に変えられるかが書かれていない。ARIN内部に運用がないと断定する材料ではない。一方、公開テキストだけでは選択を再現できないことは明らかである。

台帳と計画は役割が違う。台帳は、基準日までに何が発行・登録されたかを示す。計画は、顧客や拠点に通常どのサイズを使い、どう階層化し、どう成長すると見るかを含む。計画が変わること自体は健全であり得る。買収、新サービス、集約改善は改訂の正当な理由になる。問題は、最新版しか残らず、以前の判断を支えた版が消えることである。

現行NRPMとの比較は限定的でよい。2026年3月3日発効のVersion 2025.1では、Section 2.16がIPv6利用率を「割り当て済みprovider assignment units/全provider assignment units」と定義する。Section 6.5.3には、全アドレス空間の75%、一つのserving siteの90%超、serving sitesへの90%超という代替条件がある。解釈問題は残るが、分母は保有空間や配備構造に結びつく。新案では、将来を記した計画文書の単位が分母になる。

IPv6に計画型評価が適しているという主張と、版を固定すべきだという要求は矛盾しない。柔軟な入力を採用するほど、どの入力を使ったかを厳密に残す必要がある。

分子を固定した判定表

判断時点の入力 計画A 計画B 変化
割り当て・再割り当て済み単位 60 60 なし
2年計画の予定単位 80 100 計画版または範囲
算式 60/80 60/100 分母のみ
結果 75% 60% Aのみ到達

どの版が正しいかは、この表からは決まらない。申請提出時の版、証拠締切前に承認された最新版、決定日に有効なローリング計画など、制度設計はいくつかある。重要なのは選択規則を明記し、選ばれた版を保存することである。草案がまだ決めていない意味を、記事が補完してはならない。

また、計画変更を操作と呼ぶ根拠もない。予定単位の増加は実際の拡張、単位サイズの変更は集約改善かもしれない。説明責任は動機を推定することではなく、変更前後と理由を追跡できるようにすることから始まる。

計画より小さいレシート

顧客名、拠点、内部セグメント、アドレス設計を公開する必要はない。完全な計画は保護された申請資料に置き、判断に必要な結合だけをレシートにできる。

レシート項目 保存する意味
草案・採択文とNRPM版 適用した権威を固定
申請と対象保有資源 計算範囲を特定
2年計画IDまたはダイジェスト 「現行」文書を固定
有効期間と評価締切 時間選択を説明
プレフィックス単位定義 分母の一単位を明示
予定単位総数 75%の基礎を表示
割り当て・再割り当て数 観測分子を保存
除外と証拠日 計算境界を再現
百分率と判定 実際の演算を保存
旧階層の証拠または変更理由 配備整合性を別管理
改訂5年計画のID 将来需要を分離
連続空間の可否と発行結果 資格と発行形状を分離
決定、通知、再審、訂正 責任と修復経路を確保

ダイジェストからトポロジーは読めないが、同じ版を後で特定できる。公開集計はさらに小さくできる。政策版、計画選択方式、分子・分母の帯域、判定、訂正件数を示せば、秘密情報を出さずに一貫性を検証できる。

現時点で言えないこと

公式資料はAdvisory Councilの最終勧告、Board採択、実装通知、完了したstaff and legal reviewを示していない。二つの計画を出した申請者、版選択で逆転した結果、実際の追加割り当て、再番号付け、経路表への影響も示していない。

さらに、提案の「formula-based and utilization-based allocation mechanismsを置き換える」という説明を「全利用率テストの廃止」と読んではならない。直後の案文に75%がある。計算が消えるのではなく、計画単位を計算するモデルに変わる。

したがって提案は将来条件として述べるべきだ。進展するなら、計画の選択規則と判断時点の入力を残す。それは現行運用の失敗を主張することなく要求できる、最小の記録設計である。

出典