要約
- Sembcorp UtilitiesとNxera Singaporeは、Nxeraのシンガポール施設向けに低炭素電力を調達する覚書を結んだ。候補は4種類で、契約量と価格は発表されていない。
- マレーシアのLinggiu計画は300MWの輸入事業として条件付き承認を得た段階。Nxeraのシンガポール拠点3施設は合計最大120MWのIT負荷に対応する。
電源候補は4つ。水素、バイオメタン、建物太陽光、そしてマレーシアからの太陽光輸入だ。Sembcorp UtilitiesとNxera Singaporeは10月26日、Singapore International Energy Weekで覚書を発表した。対象はNxeraのシンガポール施設だが、どの施設に何MWを割り当てるかは公表されていない。
Nxeraが公開するシンガポール拠点はDC Tuas、DC West、Kim Chuan 2の3施設で、合計IT負荷は最大120MW。これはIT機器の受け入れ能力であり、覚書で約束された受電量ではない。施設名も容量配分も伏せたままでは、4つの電源候補をどの負荷にどう組み合わせるのか、まだ配線図が描けない。
ただしLinggiu案には、覚書より先に進んだ工程がある。Sembcorpは8月、シンガポールのEnergy Market Authorityから、マレー半島発シンガポール向け300MW再生可能電力輸入事業の条件付き承認を得た。ジョホール州Linggiu貯水池の計画は約2.2GWpの浮体式太陽光と最大4.3GWhの蓄電池で構成し、Sembcorp、州有のKPRJ Environment、Qua Energyが開発する。運転開始の目標は2029年。既存および将来の海底連系線を使う想定で、開発調査と必要な規制承認はこれから進める。この300MWは輸入事業の承認容量で、Nxera向けの予約枠ではない。
電源ごとに運転条件も違う。太陽光は時間帯や天候で出力が変わる。サーバーは曇り空を理由に休まないため、送電網、蓄電、別の発電で不足を埋める必要がある。水素とバイオメタンには燃料調達と変換設備が要る。建物一体型太陽光は、土地と壁面が限られる都市の形に左右される。
Energy Market Authorityによると、シンガポールのピーク需要は2026年8月に8.6GW。2031年には9.9〜13GWとなる可能性がある一方、同庁は2026〜2031年に天然ガス火力5基を稼働させ、発電容量を約26%増やす計画だ。天然ガスは現在も電力需要の約95%を賄う。Nxeraは2028年までにシンガポール全施設のScope 1・2運用ネットゼロを目指す。低炭素の選択肢を増やす競争は、太陽光パネルの枚数だけでなく、夜間や需要急増時に誰が電力を届けるかで決まる。
次の勝負は、4候補のどれが実証段階から実際の受電計画へ移るかだ。300MWの輸入承認、最大120MWのIT設備、そして個別の電力契約は別々の数字。これらを結ぶ料金式、供給日、容量配分、需給調整の責任が示されて初めて、覚書は電力の話になる。
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