要約

  • Safe Swiss Cloud AG(チューリッヒ、2013年設立と会社側は公表)は、スイスに所在するデータセンターでのIaaSを、Kubernetes、OpenStack、VMwareを基盤として提供し、私設AI向けGPUプール(スイス/EU)も宣伝している。企業ページは「100%スイス資本」「非公開のスイス企業」を掲げ、(企業ページ)設立年・「2つの自社データセンター」・1,000超のホスト・10,000超のサーバー・ISO 27001等の自己申告数値を並べるが、これらは監査されていない。(企業ページ)
  • 会社自身の2017年12月3日のブログ記事は、「EveryWare AG has acquired a majority interest in Safe Swiss Cloud AG」と明記する。取得割合・取引額・その後の株主構成は未公開である。(企業ブログ)独立系業界紙のNetzwoche(2017年12月4日)とIT Reseller(2017年12月1日)もこの過半数取得を裏付け、両社は独立ブランドのままとされ、取引額は非公表と報じた。合計約90人の従業員規模が併記されている。(Netzwoche 報道)(IT Reseller 報道)Wikipediaも2017年末の支配株取得を記録する三次資料である。(Wikipedia)
  • データセンター footprint には内部緊張がある。同じコンプライアンスページが「自社の世界水準のデータセンター」と「We use the Interxion data center in Glattbrugg」とを並置し、(企業ページ)2015年5月26日のIT-Marktはインターエクスイオン・グラットブルックでのコロケーションと既存のEquinix Switzerlandサイトを報じている。(IT-Markt 報道)IT ResellerもCEO Prodosh Banerjeeのコメント付きで2015年のInterxion顧客獲得を裏付ける。(IT Reseller 報道)
  • 「100%スイス資本」という表現は、EveryWare AGというスイス企業による過半数保有と矛盾しない場合もある(所有者の国籍と外部資本の不在は別の概念)。会社側はこの点を公開場で明示的に調整していない。現在の2017年以降の株主構成は公開記録では検証できない。

Safe Swiss Cloud の主権性の主張は、二つの異なる概念を一つの語に圧縮している。第一に法域に基づく主権:スイス法人であること、データがスイスに置かれること、スイス法のみを適用するとされること。これは会社が自己認証可能な範囲で、(企業ページ)ページ上で一貫して主張される。第二に支配に基づく主権:資本、物理的資産、運用権限の所在。公開記録が示すのはこちらの側面で、2017年にスイス企業とはいえ別個のITサービス企業 EveryWare AG が過半数を握り、(企業ブログ)(Netzwoche 報道)(IT Reseller 報道)少なくとも2015年時点では主要インフラを Interxion と Equinix という第三者施設に置いていた事実である。(IT-Markt 報道)(IT Reseller 報道)

この区別は精密なもので、会社の虚偽を意味しない。EveryWare AG もスイス企業であり、「スイス資本」の語を所有者の国籍として読むなら両記述は並立し得る。しかし読み手が「外部資本ゼロ」「完全自己所有インフラ」を連想する構成になっている以上、記録との齟齬は宣伝言語の設計の問題として指摘されるべきものだ。会社側は過半数取得を自社ブログで公表しており、隠蔽というより、販促ページが後年その事実を明示しないという選択をした、という形になる。

自己申告の容量・認証数値(10,000超のサーバー、ISO 27001/27017/27018、FINMA関連参照、100%再生可能エネルギー)は、公開の登録簿や監査証明と突き合わせた検証が本稿の調査では得られなかった。(企業ページ) これらは事実の主張として正しい可能性が高いが、読み手は出所がすべて会社自身であることを前提に扱うべきだ。