要約
- 2019年10月のRIPE NCC総会は、選択肢A(2019年会計年度の剰余金の全額をClearing House準備金に繰り入れる)を否決し(賛成561・反対1,124・棄権64)、選択肢B(50%を準備金に、50%を2020年に会員へ還付)を承認した(賛成911・反対738・棄権59)[1][2]。
- 2019年に還付された金額はEUR 8,365,249で、総会費の総額EUR 33,099,600を分母とする比例配分により、現金返金ではなく2020年請求書の割引として適用された[1]。
- この還付の権限はStandard Service Agreement第7条(Clearing Houseを税無料の財務準備金と定め、総会に毎年の配分・還付を決定する権限を付与)とClearing House手続(ripe-625、オランダの税務裁定に結び付く)にある[3][4]。
総会が記録した決議
2019年10月の総会では、 Resolution 1 が二つの選択肢として提示された。選択肢Aは「2019年会計年度の財務剰余の全額をClearing House準備金に繰り入れる」もので、賛成561、反対1,124、棄権64で否決された。選択肢Bは「剰余の50%をClearing House準備金に、50%を2020年に会員へ還付する」もので、賛成911、反対738、棄権59で承認された[1][2]。議事録は、いずれの決議も採択されなかった場合には、剰余金がClearing House手続に従い2020年に会員へ還付されるはずだったと記録している[1]。同じ総会では Resolution 2 として定款修正が採択された(賛成1,193、反対240、棄権257)[1]。つまり会員は、機関の憲章そのものの改正と、剰余金の行き先を同じ会合で扱った。
還付の額と計算方式
2019年に還付された総額はEUR 8,365,249であり、2019年に全 会員が支払った年会費の総額EUR 33,099,600を分母として、各LIRが支払った年会費の割合に応じて配分された[1]。対象となるのは年会費(会員費と独立インターネット番号資源・レガシー資源の手数料を含む)で、加入手数料や再活性化手数料は除外される。受領者は12月31日時点で稼働中のLIRを持つ会員に限られ、金銭は返金されず、2020年請求書上の割引として記帳される[1]。つまり「還付」と呼ばれていても、会員の手元に現金が動くのではなく、翌年の請求額が減るという形で回路が閉じる。
権限の源泉
Standard Service Agreement第7条は、Clearing Houseを財務安定性のための税無料準備金と定める(7.1)。総会は毎年、財務結果を準備金に加算・減算するか会員間で還付するかを決定する(7.2)。還付の細部はClearing House手続が定め、会員の取り分は決定後の翌年のサービス料から控除される(7.3)。サービス料を支払った会員のみが参加でき(7.4/7.5)、Standard Service Agreement終了で資格を失う[4]。Clearing House手続(ripe-625)自体は、会員への金額配分を定めたオランダの税務裁定への適合を目的として開発された文書であり、年次還付は当該年度の支払額、一時還付は過去3年の支払額を基礎とする[3]。
隣接年度との比較
同一メカニズムは前後の年度でも稼働している。2018年10月の総会は2018年剰余金の還付を決め、金額は最終確認後にEUR 11,302,630からEUR 11,002,630へ(1月18日付でEUR 300,000減)調整され、分母はEUR 27,142,388だった[8]。2020年の還付総額はEUR 11,035,874、分母はEUR 33,518,200で、2021年請求書の割引として適用された[7]。2024年10月の総会は、超過拠出金はClearing House手続に従い2025年に会員へ還付し、不足分は準備金で埋めるという一本化された決議を承認した(賛成1,127、反対90、棄権9)[9]。財務報告書(ripe-841)は、この還付が2015年から続いていること、課税上の成果(fiscal result)に基づくため、会計上の黒字があっても還付が成立しない年度があり得ること、そして年間サイクルが「最初の総会で課金方式を承認し、2回目の総会で剰余の還付を議決する」構造であることを確認している[10]。2019年の選択肢Bは、この常設回路の一次的な年度実行にすぎなかったのである。
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