要約

  • PwC は、2050年までの世界のデータセンター設備投資を累計31.6兆ドルと予測し、年間投資額は2026年の約8000億ドルから1.8兆ドルへ増加すると見込む
  • サーバーや AI ハードウェアが繰り返し更新されるため、データセンター設備投資に占める ICT 機器の割合は、2026年の70%から2050年には93%へ上昇すると予想される

事実

PwC は、同社の「Global Data Centre Outlook」の中心シナリオで、2026年から2050年までの世界のデータセンター設備投資額が累計31.6兆ドルに達すると予測している。年間支出は2026年の約8000億ドルから、2030年には1.1兆ドル、2050年には1.8兆ドルへ増加する見通しだ。

この予測は46の国・地域を対象とする。PwC は、米国向け投資が15.1兆ドル、すなわち全体の48%を占める一方、アジア太平洋には8.2兆ドルが投じられると予測している。

PwC は、ICT 機器がデータセンター設備投資に占める割合を2026年に70%、2050年には93%と見積もる。サーバー、GPU、その他のコンピューティング機器は通常、4~6年ごとに交換される。同社のモデルでは、AI 導入のペースに応じて累計支出は約22兆~50兆ドルとなる。

PwC はまた、投資先を左右し得る要因として、電力の確保、チップの入手可能性、接続環境、規制、地域社会の同意を挙げている。

分析

データセンターの建物は数十年使い続けられるが、その中のコンピューターはそうではない。初期の施設群が建設された後も PwC の予測額が増え続けるのはこのためだ。サーバーや AI アクセラレーターは、建物の耐用期間中に何度も交換される可能性がある。

そのため、AI データセンター拠点のコストを見る視点も変わる。建物の初期建設、電力系統への接続、冷却システムは費用の一部にすぎない。PwC は、市場全体で、建設への1ドルの支出には将来の ICT 機器への約12ドルの支出が伴うと見積もっている。施設はまた、後続世代のハードウェアが電力、冷却、ネットワーク基盤を実際に利用できるよう設計する必要がある。

31.6兆ドルはあくまで予測であり、確定済みの支出ではない。AI 市場の成長が鈍ればこの額は減少し、導入が速まれば総額は50兆ドル近くまで膨らむ可能性がある。

BTW 読者にとって、より有用な数字はデータセンター内部に投じられる割合の上昇かもしれない。2050年までに ICT 機器が設備投資の93%に達するなら、既存施設に新しいハードウェアを導入し続けることが、建屋そのものを建設するよりもはるかに大きな投資課題になり得る。

注目点

年間のデータセンター設備投資が、PwC による2030年の1.1兆ドルという予測に近づくか、また AI システムが成熟する中で4~6年のハードウェア交換サイクルが維持されるかに注目したい。電力系統への接続と先端チップの供給状況も、この予測額のどの程度が実際のインフラ整備につながるかを示す。