要点

  • フィリピンは、AI コンピューティング能力を現在の約50 MW から2033年までに1.5 GW へ拡大し、まず400 MW の第1段階に着手する計画だ
  • エネルギー当局は、当面の需要を天然ガスで支える一方、計画に必要な電力の40%を再生可能エネルギーで賄う目標を掲げている

事実

Philippine Department of Energy は、同国が計画する AI コンピューティング基盤の拡大に必要な電力供給について、同省の役割を示した。エネルギー担当次官の Maria Francesca Del Rosario は9月9日、政府が Philippine AI+ Infrastructure Masterplan for 2026–2033 を正式に発表した翌日に、電力計画を説明した。

このロードマップは、国内の AI コンピューティング能力を現在の約50 MW から2033年までに1.5 GW へ拡大することを目指す。2026年から2030年までの第1段階では AI データセンター容量400 MW を目標とし、その後、2033年までの第2段階で約1,100 MW を整備する。

Department of Energy は、追加需要に対応するため直ちに検討している電源の一つとして、天然ガス発電所を挙げた。太陽光や地熱を含む再生可能エネルギーで、必要電力全体の40%を供給する方針だとした。原子力発電も、より長期的な選択肢として検討されている。

このマスタープランは Asian Development Bank と共同で策定され、接続性、コンピューティング基盤、エネルギー、人材・技能、規制を対象とする。中核となる AI コンピュート・データ事業には、官民合わせて146億5,000万米ドルの投資が必要と見積もられている。ロードマップは、実施上の課題として、電力コスト、送電上の制約、水処理インフラの制約も挙げている。

評価

1.5 GW の目標を実現するには、コンピューティング基盤と並行して電力システムを拡張する必要がある。最初の問いは、当初の400 MW 段階に間に合うよう、十分な電力と送電網容量を用意できるかどうかだ。政府が天然ガスを当面の電源として挙げたことは、初期段階で利用できる電源構成が、2033年時点で構想されている計画全体の構成とは異なる可能性を示している。

再生可能エネルギー40%という目標は、個々のデータセンターの電力供給方法とは分けて考える必要がある。国全体の目標だけでは、特定の施設にどう電力が供給されるかは分からない。開発事業者と顧客は引き続き、どの電源が各拠点を支えるのか、電力がどのように届けられるのか、再生可能エネルギー分がどのように計測されるのかを確認する必要がある。

BTW の読者にとって、1.5 GW という数字は、電力がすでに確保されたコンピューティング能力ではなく、段階的な国家目標として捉えるのが適切だ。最初の400 MW 段階が最も明確な試金石になる。具体的な拠点名、電力供給契約、系統接続、確約済みの資金が示されれば、ロードマップが国家計画から実際に稼働できるインフラへどう移行しているかを判断できる。

今後の注目点

最初の400 MW 段階で選定される拠点と、それに付随する電力契約に注目したい。新規発電設備、送電網への接続、計画する再生可能エネルギー比率40%の算定方法に関する詳細は、政府のエネルギー目標が個別の AI インフラ事業にどう具体化されるかを示す。