要約

  • 2020 年 4 月 30 日には三つの異なる法的行為が記録されている。登録管理の監督機関が支配権変更の承認申請を処理し、州の慈善監督当局が売却を承認しないと表明し、売主が契約を終了したと発表した。それぞれが別の文書に依拠し、別の当事者がそれを保持していた。
  • 本稿のために特定した四つの文書のいずれも、慈善監督当局の権限を登録管理契約の譲渡条項に結びつけていない。したがって「単一の決定が取引を止めた」という広く流布した説明は、ここで確認した記録によっては裏づけられない。実務上の帰結は明快である。単一の承認者を前提に起草された支配権変更条項は、登録管理取引が通過しなければならない関門の数を過小に見積もる。

一日、三つの文書

この出来事は通常、一つの出来事として語られる。文書はそれを少なくとも三つとして語っており、各情報源はどの主体が何をしたかについて驚くほど明確である。

第一に、契約の経路。2019 年 6 月 30 日付の .org 登録管理契約のファイルは、譲渡条項を含むものとして記述されている。それによれば、登録管理事業者は ICANN の事前の書面による同意なしに本契約またはその権利を譲渡できず、事業者の支配権の変更には通常 ICANN の承認が必要とされる。この条項は第 7.5 条、表題 Assignment として報告されている。この条番号は報告されたものであって読まれたものではない。本稿の作業で文書本文に対して確認されておらず、条項の文言も引用していない。2019 年 6 月 30 日付の .org 登録管理契約ファイル

第二に、その契約経路に対する決定。ICANN 理事会の 2020 年 4 月 30 日定例会的で承認された決議のページは、理事会が Public Interest Registry と Ethos Capital による PIR の支配権変更承認の要請を却下したこと、およびデューデリジェンスの後、同意を留保することが ICANN コミュニティの利益に最も適うと判断したことを記録したものとして記述されている。決議の前文、権限の根拠として挙げた条項、記録された表決は本稿の作業では入手できなかった。理事会承認決議、2020 年 4 月 30 日定例会

第三に、別個の根拠に立つ別個の経路。カリフォルニア州司法長官事務局の 2020 年 4 月 30 日付報道発表は、同事務局が Public Interest Registry の Ethos Capital への売却を承認しないと発表したものとして記述され、さらに PIR がカリフォルニア州の非営利公益法人としてその資産を慈善信託で保有しており、それゆえ同事務局には取引を監督し、これらの資産を私的利益から守る権限があるとの主張を伝えている。カリフォルニア州司法長官の発表、2020 年 4 月 30 日

第四に、売主自身の行為。Internet Society が公表した 2020 年 4 月 30 日付の声明は、司法長官事務局が取引への同意を拒否したことを受けて、Public Interest Registry を Ethos Capital に売却する提案中の契約を終了したと発表したものとして記述されている。Internet Society による PIR 取引に関する声明

四つの記述、三つの当事者、一つの日付。人々はこれを「規制当局が売却を止めた」という一文に圧縮したくなる。しかし記録はその一文を支えない。ここで確認したどの文書も、州の規制当局の慈善信託に関する権限を、登録管理契約の同意の仕組みの内側に位置づけていないからである。

なぜ文言が誤りを容易にするのか

三つの経路はいずれも同意と承認の言語で語られる。登録管理事業者は契約に基づき事前の書面による同意を求める。理事会は支配権変更を承認し、または承認を拒む。慈善監督当局は売却の承認を拒む。そして売主は、もはや得られると期待できない許可に完了を依存していた契約を終了する。

言葉はほぼ同一だが、その背後の権限は同一ではない。登録管理契約に基づく同意権は契約の相手方に属し、その相手方の利益のために存在し、契約が定める条件で行使される。慈善資産の監督は州の規制当局に属し、商業的な当事者ではなく慈善目的の利益のために存在する。終了は売主自身の契約上の行為であり、その理事会が当てはまると判断した根拠に基づいて行われる。

これらの違いは観念的なものではない。誰が誰に対して何の義務を負うか、拒否をどの基準が規律するか、失望した当事者にいかなる救済がありうるかを決める。融合した物語はこれらの問いを立てることすらできない。記録が少なくとも三人の決定者を示すところで、単一の決定者を前提とするからである。

記録が決めていないこと

本稿は、埋めるのではなく明示すべき境界の下で書かれている。上記の四つの文書は特定されており、読者が直接読めるようそれぞれリンクを付している。ただし本稿の作業でその全文を読むことはできなかった。ここで用いた記述は各文書の公表された要約に基づくものであり、四つの全文を直接抽出する試みはいずれも読めない結果に終わった。本稿のいかなる文もこれらの引用として提示されておらず、引用符も用いていない。

この境界は五つの問いを開いたまま残す。いずれも論評ではなく文書から答えられる。

  1. 条項の実際の文言。 譲渡条項が事前の書面による同意、承認、通知、異議なしのいずれで構成されているか、また報告された番号の条項に置かれているか。通知義務と拒否する権限は、双方にまったく異なる義務を課す。
  2. 決定の本文。 理事会決議の前文、引用した権限の根拠、および表決。決議が自ら決定したと述べる内容は、二次的な説明が描写する内容と常に一致するとは限らない。
  3. 規制当局の根拠。 カリフォルニア州司法長官が権限を主張した法的文書、および何らかの申立て、書簡、認定がその権限を登録管理契約の問いに結びつけているか。
  4. 順序。 三つの行為は同じ日付を共有する。どれが先で、どれが完了を不可能にしたかは、ここで確認した四つの文書では確定しない。
  5. 残された約束。 審査の過程で示された約束、すなわち価格、コミュニティへの資金提供、ガバナンスに関するものが、放棄された取引の後も生き残ったか。人を拘束し続けるのは売却ではなくこれらの約束である。

この区別の価値

本分野の契約に基づく監督関係は、いまやいずれも支配権変更条項を備えている。登録管理契約、レジストラ認定契約、アドレスレジストリの会員資格、認証制度である。これらの条項は単一の決定的な承認者を前提に起草されており、本稿が扱う出来事は、検証された事例に最も近いものといえる。

関門が累積的であるなら、契約の関門を通過した当事者は会社法の関門を通過しておらず、一方を満たすデューデリジェンス資料は他方を満たさない。代替的であるなら、2020 年の結果は過剰決定であり、その先例価値は見かけより弱い。二つの独立した機関がそれぞれ単独で取引を止めえたからである。

ここで確認した記録はどちらであるかを告げない。告げるのは、この二つの問いが別個であり、同じ日に行使され、単一の承認者を前提とする起草慣行がどちらにも答えていないということである。

実務家にとっての作業上の結論は控えめで耐久性がある。支配権変更条項に署名する前に、どの当事者の同意が必要か、どの文書に基づくか、相手方の法人形態がさらにどの権限を招くかを問うべきである。本分野では、答えが三つの当事者と三つの文書でありうる。そしてクロージング後にそれを発見する費用は、事前に問う費用よりはるかに高い。

BTW のディレクトリは Public Interest Registry を、運営主体の関連が未確認の米国の登録管理主体として記録している。だからこそここでは企業紹介ではなく取引の記録が出発点として有用である。BTW ディレクトリの Public Interest Registry

出典