要約

  • Oracleは2027年度第1四半期に、850MWの追加データセンター容量の納付、総売上193億ドル(+30%)、IaaS収益74億ドル(+121%)、RPO6640億ドル(+2090億ドル増)を報告した 1 2。
  • 業績説明会では、エイビリーン・キャンパス8棟のうち6棟(618MW、キャンパス全体の約75%)が顧客に引き渡され、Q1に131,000基のGPUが納入されたと説明された 3。
  • 2026年3月、OracleとOpenAIは、エイビリーン・キャンパスを約1.2GWから約2GWへ拡張する構想のうち、600MW規模の拡張リースを取り下げた。これは正式に成約したリースではなく、4.5GWの別プログラムとは異なるものだった 4 5。
  • Oracleは「報道は虚偽」と反論し、OpenAI向け4.5GWのリーシング完了を強調したが、600MW拡張リース自体の存否には直接答えなかった 6。
  • 「発表されたギガワット」と「納付されたギガワット」の差、そして単一顧客(OpenAI)への取引先集中こそが、納入ペースとクレジット・リスクを結ぶ因果メカニズムである。

納付された850MWの中身

Oracleの2027年度第1四半期決算は、四半期として同社史上最大級の容量拡張を報告した。総収益は193億ドルで前年同期比30%増、IaaS収益は74億ドルで121%増、RPOは前年比2090億ドル増の6640億ドルに達し、四半期中に300億ドル超の追加AIクラウド契約を計上した。キャパシティ側では850MWの追加データセンター容量を納付し、第4四半期末以降に30万基を超えるGPUをAIクラウド顧客へ引き渡したとされる 1。資本支出は285億ドルで、前年同期の85億ドルから3倍以上に急増した 2。

決算説明会の発言は、この850MWの相対的な規模を明確にする。Q1の納付はQ4全体のほぼ3倍、前年度全体の納付量の73%に相当したという 7。納入の実体はエイビリーンに集中している。8棟のうち6棟(618MW、全体の75%)が顧客に引き渡され、顧客受入は24時間に圧縮され、Q1にはエイビリーンだけで131,000基のGPU(Q4の1.9倍)が納入された。経営陣は「GPT-6 Astra」がエイビリーンで学習されたと述べた 3。なお、OpenAI側の別の投稿では「GPT-5.5」をエイビリーンで学習したとしており、両者のモデル名の言及は一致せず、混同すべきではない 8。

取り消された600MWと、続いた4.5GW

2026年3月6日、Reuters(Bloomberg Newsの報道を引用)は、OracleとOpenAIがエイビリーン・フラッグシップ・サイトの600MW拡張計画を取りやめたと報じた。交渉は資金調達とOpenAI側の需要予測の変化をめぐって長引き、この600MWは建設中の別のキャンパスで充当されるとしている 4。この拡張は、2025年9月にOpenAIが発表した5拠点計画——Shackelford County(テキサス州)、Doña Ana County(ニューメキシコ州)、中西部の拠点、そしてエイビリーンの600MW拡張——の一部として示されていたものである 9。

Oracleの反応は二層構造だった。同社はエイビリーンの「問題」をめぐる報道を「虚偽で不正確」と呼び、開発者Crusoeとの「足並みの一致」を強調し、エイビリーンで2棟がすでに稼働していること、そして「OpenAIへのコミットメントを果たすための追加4.5GWのリーシングが完了した」ことを公表した。しかし、Oracleの声明は、600MW拡張リース自体が取り下げられたか否かには直接触れなかった 6。Bloomberg記者のEd Ludlowは訂正のうえで、拡張リースは進んでいないが、別の4.5GW契約は「オン・トラック」であり、デトロイト近郊の新拠点などが追加発表されたと述べた。Tom's Hardwareの整理は核心を突く。既存の約1000エーカー、8棟構成のエイビリーン・キャンパス(開発はCrusoe、LanciumのClean Campus上)は影響を受けておらず、崩壊したのは「一度も最終化されなかった拡張リース」である。一方で、冬場の液体冷却設備への影響で棟が数日間オフラインになった信頼性問題がOracleとCrusoeの関係に負担をかけていたことも報じられている 5 10。

なぜ区別が重要か

「4.5GW追加契約(発表済み)」「リーシング完了(Oracle表明)」「850MW納付(実績)」「600MW拡張(未成約のまま取り下げ)」は、異なる時点の異なる約束である。外的な分析はこれを往々にして単一の「Oracleの容量」に集約するが、決算上のRPOは契約を、説明会のメガワットは引き渡しを、報道の600MWは未成約のオプションを指す。約3000億ドル・約5年とされるOpenAI契約(WSJの匿名筋報道であり、当事者が公式確認した額ではない)11がRPOの主要部分を占めるという報道がある以上、Oracleの信用指標はOpenAIの需要曲線に結合する。OpenAI自身は10GWの米国内コミットメントを2029年より早く達成したと主張するが、これはOpenAI側の集計値であり、OCIの納付実績とは定義が異なる 8。

出典