要約

  • Mistral ComputeはAS209952(Mistral Compute Holding SAS名義)を運用し、PeeringDBではオープン・ピアリング方針とnine IXでの400Gbpsポート1本(IPv4 185.1.14.83、IPv6 2001:7f8:12e::20:9952:1)が自己申告で記録されている (PeeringDB)。
  • ix.reportとHurricane ElectricのBGPツールキットも同ASのnine IX参加を裏付けるが、いずれもポートの物理的な終端施設(ブリュイエール=ル=シャテルかパリのIXサイトか)を特定しない (ix.report, bgp.he.net)。
  • RTEはEclairionのブリュイエール=ル=シャテル変電所とラ・ノヴィルのDes Loges変電所を結ぶ約10km・225kV地下線を建設中で、工事は2025年6月から2026年10月まで段階的に予定されている (RTE)。
  • RTEの2026年7月3日の地域情報誌は、オランヴィルでの土木工事が2026年6月1日から7月15日まで続くことを示し、Mistralが掲げた2026年6月末までの稼働開始目標より後である (RTE Lettre d'information)。
  • 演算事業者Eclairionのサイト記述とFAQは「接続性」という言葉を使うが、トランジット事業者やピアリング構成は一切明示しない (Eclairion site, Eclairion FAQ)。

自律システムとピアリングの現状

Mistral Compute Holding SAS名義のAS209952は、PeeringDB上でオープン・ピアリング方針、比率要件なし、契約要件なしと自己申告し、nine IXに400Gbpsのルートサーバーポート1本を登録している。記録の最終更新は2026年4月23日、ピアリング情報の更新は2026年5月25日である。ix.reportの参加者ランキングでは、このASは400Gbpsの接続容量で7番目の参加者として表示され、Free SAS、Bouygues Telecom、OVHcloudなどのフランス基幹ネットワークと並ぶ。Hurricane Electricの交換所一覧も同一のIPv4・IPv6アドレスを確認する。ただし、これらは自己申告と観測データの組み合わせであり、ポートがブリュイエール=ル=シャテルの施設から物理的に終端しているのか、パリ都市圏の相互接続サイト経由なのかは、いずれのソースも示していない。

給電線の建設と公開期日のずれ

電力側では、RTEが225kV地下線の建設を進めている。路線はブリュイエール=ル=シャテル、オランヴィル、アルパジョン、ラ・ノヴィル、マロル=アン=ユルポワの5自治体を横断する。RTEの工程表は2025年6月から2026年10月までの段階的工事を示す。RTE自身の2026年7月3日の情報誌は、オランヴィル区間の土木工事が6月1日から7月15日まで行われると記し、2026年6月末の稼働開始目標とのずれを客観的に記録している。注目すべきは、どのRTE文書も通電日や同期の合格証明を明示していないことである。第三者レジストリのScruticaはこの施設を「Operational」と記載しつつ、運用開始日を「非公開」としており、集計推定と実測負荷記録の違いを示す好例である (Scrutica)。

背景:融資と機隊

2026年3月30日、Mistral AIは8.3億ドルの債務調達を発表し、Eclairionが所有・運営する同サイトで13,800基のNVIDIA GB300と44MWの給電容量を賄うとした。貸し手はBpifrance、BNP Paribas、Crédit Agricole CIB、HSBC、La Banque Postale、MUFG、Natixis CIBの7行である (Data Center Dynamics)。先行計画はScaleway経由で18,000基のGB200、2025年夏の40MW開業を掲げており、世代交代と遅延が記録に残る (HPCwire)。BTWの先行分析は、1,400MWのFouju設計上限、RTEが「未受諾」とする700MWの事前予約、44MWの融資対象機隊を分離し、通電・実負荷・受入検査のいずれの日付付き記録も公開文書に見当たらないとしてきた (BTW power capacity, BTW grid connection)。

何が未解決か

結論として、ネットワーク層の公開証拠は「AS209952がnine IXに400Gbpsで参加している」ことまでしか届かない。トランジット事業者の名前、サイトとIX間のファイバー経路、そして給電線の通電・同期の証憑は、いずれも公開記録に現れていない。この二つの空白——名前の挙っていないトランジット層と未証明の通電——が、Mistral Computeの実行証拠監査における次の検証点である。 追加の参照資料:Datacenter Paris、DatacenterPlus、RTE 資料 8.3.6。