要約

  • Charleston Road Registryの提案では、MCPとの四種類の関係が .mcp 登録資格になる。
  • .MCP Policy Council は規則改定への同意権を持つが、公開資料には委員の選び方や異議申立ての仕組みがない。

プロトコルとドメインは、同じ名前を共有していても別の制度だ。Model Context Protocolはソフトウェア間の接続方法を定めるオープンな技術プロジェクトである。一方、仮に .mcp が委任されれば、その名前空間は契約に基づいて登録を管理するレジストリのものになる。プロトコルへの参加が、そのまま特定の名前空間でドメインを取得する資格を意味するわけではない。

Google Registryの申請主体であるCharleston Road Registry Inc.(CRR)は、四つの資格経路を提案している。MCP公式リポジトリへの貢献を記録で示すこと、稼働中で要件に適合するMCPサーバーを運用すること、公式MCP Registryの登録項目の所有者または正当な代理人であること、あるいはAgentic AI Foundation(AAIF)の有効な会員であることだ。申請によれば、レジストリ運営者は .MCP Policy Council の支援を受けて条件を確認する。質問151への回答では、ポリシーの変更には同評議会の同意が必要だとしている。

四つの条件は同じ種類の証明ではない。コード貢献は過去の記録、サーバー運用は現在の技術状態、Registryの登録は代理権、AAIF会員資格は組織との関係を測る。新規参加者、長年のメンテナー、サービス事業者、団体会員では、提出できる証拠も誤判定の影響も異なる。申請は分類を示すものの、証拠の具体的な基準、記録がない場合の扱い、拒否を争う手続きは公表されていない。

規則の管理者にも不明点が残る。申請書上の .MCP Policy Council は、資格確認を支えるだけでなく、規則改定への同意権を持つ。しかし、委員の選任・解任方法、任期、利益相反の扱い、申請者の不服申立て、MCPプロジェクトの技術統治との正式な関係が説明されていない。これだけで不正や権力掌握を断定することはできない。だが、登録への入口を長期に左右しうる機関について、説明責任の所在が確認できないのは重要な空白である。

プロジェクト側が公表している仕組みは別にある。MCPの公式ガバナンスページには、Steering GroupとLead、Core、Maintainerの役割が記されている。技術統治は個人によって担われ、企業枠はないとも説明される。そのページに .MCP Policy Council は出てこない。したがって、この評議会をMCPの技術指導部と同一視したり、プロジェクトの決定がドメインレジストリを自動的に拘束すると考えたりする根拠はない。レジストリは契約に沿って登録を管理できるが、誰がコードに貢献できるか、どの実装が適合するか、プロトコルがどう進化するかを決める権限とは異なる。

ICANNの手続きも段階を分けて読む必要がある。10月7日のReveal Dayファイルでは、CRR、OPENAI OPCO、Radix、ShortDot、Tidal Caseの五者が初期の .mcp コンテンションセットに入っている。五つの公開サマリーはいずれもActive / Pre-Evaluation Processingを示す。公開 tldTypes に Community と表示されるのはCRRだけだが、他の四つの空欄は、コミュニティ申請の根拠がないことを意味しない。ICANNは文字列評価が終わるまで、これらのセットを最終版としてAPSに示さないとしている。

CRRがコミュニティ指定を維持してCPEに参加すれば、その結果が競合時の優先権を左右する可能性がある。現行の申請者ガイドブックでは、Community Priority Evaluation(CPE)はコンテンション内の優先順位を評価する独立した専門家審査とされる。必要な評価、異議、上訴などの手続きを終え、提案されたRegistry Commitmentsも別途審査されなければならない。CPEに合格したコミュニティ申請は非コミュニティ申請より優先されうる。複数のコミュニティ申請が合格すれば、オークションに進む。評価項目は四つ、合格点は16点中12点だ。ガイドブックは、コミュニティの存在を決める仕事と優先権を判断する仕事を区別している。コミュニティは申請者が特定し、CPEは申請が優先権に値するかを見る。MCPの技術機関の正当性を投票で決めるものではない。

Heng LuのNote 72は問いを立てる視点にはなるが、そのまま適用できる規則ではない。メーリングリスト、会議、政策合意が自動的に所有権や統治権を生むわけではない、という警告は、IPアドレス資源を扱う地域インターネットレジストリに向けられたものだ。gTLDレジストリは別の契約のもとで登録を管理する。ここで問うべきなのは、資格条件が限定され、理由が説明され、異議を申し立てられるか、そしてルール変更者が誰かを参加者が知れるかである。

.mcp はまだ委任されておらず、提案された方針も承認済みではない。それでも、プロトコルへの参加とドメイン資格を分けること、確認手続きに不服申立てを設けること、評議会の変更権限を開示すること、登録資格がMCPの技術的承認を意味しないと明記することは、今から検討できる。申請が進むなら、評議会の規程は四つの資格分類と同じくらい重要になる。

出典