Summary

  • Matthew Wilderは2019年にARINへ寄せた寄稿で、TELUSが研究室での確認後、希望する社員のサービスを使ってIPv6を試したと説明した。
  • その試験で、DNSはAAAAレコードを返せる設定だった一方、IPv6でDNSの経路へ接続する設定は有効になっていないことが分かった。

案内板に目的地が書いてあっても、道路がつながっているとは限らない。Matthew WilderがARINに寄せた2019年の記録には、その事実を突きつける試験がある。TELUSはDNSにAAAAレコードを返させる設定を終えた。ところが試験サイトからIPv6でたどると、DNSへつながる経路が有効になっていなかった。発見したのは設定表ではなく、利用者の順番で試した通信だった。

この試験に至るまでには、三つの時計が動いていた。最初は経営の時計だ。Wilderは2009年にJohn Curranから届いたIPv4枯渇の手紙を今も覚えているという。CEOが受け取り、CIO、CTOへ回した。TELUSはIPv6を先に進め、その後でIPv4のCGNサービスにも着手した。家庭向けIPv6は2015年に始まり、携帯向けは段階的に広げたと記録されている。

二つ目は住所設計の時計。家庭には/56、企業拠点には/48、携帯には/64を割り当てる構想を決めた。全国に広がる利用者を地域別に扱うため、ARINからのIPv6割り当てを/32から/29へ拡張した。Wilderは州より細かい区画で経路を整理し、16進数の桁の境目もそろえたという。将来の担当者が読み取れる形で住所を刻む作業だった。

三つ目は利用者の時計だ。TELUSはピアリング相手のIPv6対応を調べ、基幹網から端の設備、DNSなどの共通サービスへ進めた。同時に技術者へ対面研修、運用やサポートへ役割別の教材を用意した。研究室を出たら、希望する社員が自分のサービスでMTUやDNSを確かめる。そこで初めて、各部署で終わった仕事が利用者の一回のアクセスとしてつながるかが見えた。

Wilderは、以前からIPv6を求めていた顧客へ開始を知らせ、その一人が初期の協力者になったことも書いている。試験者を少しずつ増やす設計は、ネットワークを測るだけでなく、問い合わせを受ける人にも経験を積ませる。経営の決定とアドレス設計が大きな網を用意した。最後の小さな試験が、その網で実際に届く場所を確かめた。