要約
- Jean Armour Pollyは、技術者向けのネットワークを公共図書館の仕事へ翻訳し、初心者向けガイドと専門家同士の相談経路をつくった。
- Project GAINの六拠点は、回線が開通しても公共アクセスは完成しないことを示した。職員研修、端末の運用、利用者支援、通信費、地域での責任分担が必要だった。
Jean Armour Pollyの名は「Surfing the Internet」という表現と結びついている。しかし、彼女の仕事を言葉の発明競争に閉じ込めると、より実務的な設計が見えなくなる。
1992年の文書が行ったのは、インターネットを説明することだけではない。説明を複製できる形にし、訂正を受け付け、図書館員の間で運用上の悩みを共有し、さらに地方の現場で接続後の負担を観察した。そこには、公共アクセスを一度の工事ではなく、継続する業務として扱う一貫した考え方がある。
入門書も運用されなければならない
1992年3月17日付の Surfing the INTERNET: an Introduction で、PollyはLiverpool Public Libraryの公共サービス担当副責任者と記されている。冒頭の道具は、Macintosh、通信ソフト、モデム、通常の電話回線だ。画面上のリンクを押せばよい時代ではなかった。
電子メール、メーリングリスト、遠隔の図書館目録、Telnet、匿名FTP、そして開発途上の探索サービス。ガイドは、それぞれが何に使え、どのホストへどう到達するかを平易に案内した。接続方法ごとの費用にも触れている。金額は1992年固有の資料であり、今日の価格と比較するべきではない。それでも、メールだけの利用、対話型の機能、自前のホスト運用が異なる負担を持っていたことは分かる。
Polly自身の後年の説明によれば、「surfing」には楽しさだけでなく、技量、持久力、偶然性、混沌、危険も込めた。初心者に「簡単だ」と偽る比喩ではなく、難しいが試す価値のある活動として示す比喩だった。
誰が最初に似た語を使ったかを、この資料だけで決着させることはできない。Internet Hall of Fameも、Pollyがしばしばこの表現を広めた人物として認められる、と慎重に記している。本稿が重視するのは、言葉の所有ではなく、専門用語しかなかった場所に入口を設けたことだ。
12月改訂の2.0.2版は、非営利の教育利用での複製を認め、匿名FTPで最新版を取得する場所を示し、電子メールで訂正を求めた。印刷物が古くなる速度に対して、更新可能なファイルで応えたのである。利用数を示す完全な記録はないため、影響を数量化することはできない。それでも、配布と保守を本文の外に置かなかった設計は確認できる。
PUBLIBは「困った」を孤立させなかった
同じ1992年12月、PollyとJohn IliffはPUBLIBを創設した。OCLCに残る説明では、公共図書館員が対象の電子討論リストであり、職員と利用者のインターネット接続だけでなく、知的自由、施設、方針、運営、実務上の相談まで扱っていた。
この範囲は、公共端末が単なるIT機器ではなかったことを示す。誰に何分使ってもらうのか。安全対策はどこまで必要か。利用者を助ける時間をどう確保するのか。新しい情報源を選書やレファレンスとどう結びつけるのか。接続は図書館の既存の責任を変形させた。
PUBLIBに規制権限はなく、各館の方針を統一したわけでもない。役割は、局地的な経験を共有可能にすることだった。孤立した担当者は、別の地域の失敗や工夫を参照できる。回線が情報を運び、コミュニティが運用知を運んだ。
Project GAINは六つの現場を準備した
Project GAINの完全な報告書は、ニューヨーク州の地方公共図書館5館と先住民族の学校1校を対象としている。後年の略歴には別の短縮表現があるが、ここでは事業報告の六拠点という記録を採用する。1992年12月に始まり、約1年の実施と評価が行われた。
現場に届いたのは回線だけではない。候補地の選定基準と面接、評価計画、接続方式の比較、研修ニーズ調査、基礎調査、責任を定めた合意が先にあった。その上でSLIPアカウント、共通性の高い機器とソフト、初期研修、継続支援が提供された。
6万5000ドルの助成は事業管理、評価、ヘルプデスク、一部の購入などを支え、Appleと他の協力組織が機器や資料を提供した。長距離通話が必要な拠点には800ドルの補助が出た。これは当時の限定された金額である。一般化できるのは、接続料金の外側にも場所によって変わる通信費と学習コストがあった、という構造だ。
報告書が挙げる成功要因は、人に依存する。各拠点の意欲的な担当者、標準化された環境、共通研修、地域の利用者グループ、拠点間の交流、費用支援、頻繁なフォロー。事業責任者Wally Babcockは質問に答えるだけでなく、連絡が途絶えた拠点へ自ら確認した。沈黙を失敗の前兆として扱う運用だった。
公開端末は希少資源になった
住民に端末を開放すると、物理的な配置、利用時間、説明、機器保護、職員の業務配分が問題になった。利用希望が多すぎて対応に苦しんだ館もある。開通の成功が、公共サービス上の新たな不足を生んだのである。
Project GAINは無作為の全国調査ではない。参加者は意欲も考慮して選ばれ、実施者と評価者の役割も重なっていた。したがって、同じ成果がすべての図書館で再現すると主張できない。一方で、接続統計が隠す作業を列挙した資料としては強い。
報告書は、接続自体が最重要課題ではないかもしれないと結論づけた。利用資格、継続費用、職員研修、住民教育、有用な応用、方針の明確化は、回線が動いてからも残る。公共図書館は、自分のコンピューターやモデムを持たない住民のためのセーフティネットだと参加者は考えた。これは全地域で唯一のモデルだという証明ではない。購入能力とは異なる原理で入口を維持する、公共機関の根拠を示している。
Pollyの仕事から見える図書館員は、古い技術の欠陥を埋める暫定要員ではない。希少な時間を配り、理解できる言葉を用意し、失敗を次の手順へ変え、接続を地域の権利として運用する人である。ネットワークにつながった機械と、利用できる公共サービスとの間には、その仕事が必要だった。
出典
- ERIC「Surfing the Internet. An Introduction.」書誌情報
- Internet Hall of Fameによる表現の由来
- Internet Hall of Fame「The Librarian Who Hated to Type Catalog Cards」
- Internet Hall of FameのJean Armour Polly紹介
- Internet Hall of FameのJean Armour Polly公開肖像
- Internet Societyの2019年殿堂入り発表
- 「Surfing the Internet」2.0.2版
- 1992年3月の原稿
- Jean Armour Pollyの経歴
- Project GAIN完全報告
- Polly「Birth of a Metaphor」
- OCLC WebJunctionのPUBLIB概要
会員向け解説
プロフィールの詳細
適切な会員レベルでログインすると、解説全文と出典メモをご覧いただけます。
Strategic Circle 限定
Strategic Circle
すべての読者に公開されています。参加してログインすると プロフィール解説 を閲覧できます。
Strategic Circle に参加Leadership Alliance 会員限定
Leadership Alliance
対象となる IP 資産の所有者・管理者向けです。ログインすると Leadership Alliance の解説を閲覧できます。
Leadership Alliance に参加
