Summary

  • ICANNは2016~17年、契約終了に向かう3つのgTLDでEBEROの引き継ぎを試した。訓練上のDNS停止は11時間55分から1日9時間5分。登録データ照会のRDDSは最も遅い回で5日17時間58分、エスクロー機能の復旧は8日3時間21分を要した。
  • SSR2勧告24.1は、データ、工程、期限、例外経路を定めた全工程試験を少なくとも毎年行い、結果を公表するよう求めた。理事会は2022年11月、過去の訓練と年次演習を認める契約を根拠に「完全実施」と判断した。
  • 2023年の実施文書と2026年第2四半期報告の24.1の説明には、その後の訓練について日付と復旧時間を伴う結果がない。次に必要なのは、旧来の問題が再試験でどうなったかを含む比較可能な記録だ。

「DNS復旧」の後にも時計は進む

gTLDの運営者が重要な機能を維持できなくなったとき、ICANNは緊急バックエンド・レジストリ運営者、EBEROを起動できる。公式の事業説明が挙げる対象は、DNSによる名前解決、共有登録システム、登録データの照会、データのエスクロー、DNSSECに従って署名されたゾーンの5つだ。ICANNが発動を判断して調整し、臨時の事業者が業務を引き受ける。サービスを1つ戻した時点で、残りの4つまで戻ったことにはならない。

その差を見せるICANN60の2017年の発表資料は貴重だ。訓練開始日は2016年1月26日、2017年4月25日、同年9月21日。レジストリ契約の終了過程にあった3つのgTLDを使い、3社の異なるEBERO事業者が参加した。それぞれ登録済みの名前は運営者自身による1件だけで、一般の登録者はいない。運営者はルートゾーンからの削除前に訓練に同意した。故障の閾値は模擬設定であり、資料の時間は顧客が実際に被った停止時間を表すものではない。

バックアップ側のサーバーでDNSとDNSSECが戻るまでの時間は3時間46分、9時間11分、3時間59分だった。一方、ルートゾーンの変更が反映されるまでには8時間22分、1日5時間5分、7時間55分を要した。キャッシュの影響を除いてICANNが計算した模擬DNS停止は、12時間22分、1日9時間5分、11時間55分となる。代替のサーバーが動くことと、世界が参照するルートの向きが変わることは別の工程だ。両者をまとめて「復旧」と書けば、この空白の数時間が消える。

登録情報の経路はさらに長い。エスクローされたデータがICANNに届くまで1日7時間31分、2日19時間36分、1日14時間22分。共有登録システムの復旧にはそれぞれ約2日、約3日、4日を超える時間がかかった。RDDSの総停止時間は2日5時間5分、3日2時間14分、5日17時間58分。エスクロー機能が再開して各訓練が終わったのは、5日21時間53分、8日2時間34分、8日3時間21分後だ。DNSのランプが点灯してから、レジストリ全体のリレーが終わるまでには何日もの仕事が残っていた。

最後の集計には問題件数もある。1回目44件、2回目37件、3回目20件。合計101件の指摘だが、同じ種類の問題が重複したかどうかは資料から分からない。ICANNは解決済みまたは対応中だと説明したものの、発表資料には問題ごとの修正日と再試験結果が並んでいない。試験で欠陥が見つかるのは成果である。その成果が次の訓練で改善につながったかを確かめるために、年次試験が必要になる。

毎年の試験を求めた勧告が閉じるまで

SSR2の最終報告書にある勧告24.1は、EBEROの全工程をあらかじめ定めた間隔で、少なくとも毎年、端から端まで試すよう求めた。使用するデータ、工程の状態、期限を計画に明記し、例外経路も扱い、結果を公表する。人も契約も設備も変わる以上、過去1回の成功を永久に据え置かないための設計だ。

ICANN理事会は2022年11月に24.1を完全実施と認定した。理事会は、これまでの訓練と、EBERO事業者との契約に含まれる年次準備演習の規定を挙げた。実施担当者は、一般登録者のいる現役gTLDを訓練対象にする必要はないと明確にしていた。第三者の業務を実験台にしない判断は合理的だ。3件の旧訓練が示したように、終了間際のgTLDでも工程は測れる。争点は、年ごとに繰り返すことを求めた勧告について、何を公表すれば「完全実施」の根拠になるかである。

2023年1月6日付のICANN実施文書は、3つの過去の訓練を名指しし、契約の規定を説明する。最終日は2022年の理事会決定としながら、「実施完了」と「マイルストーン」の欄は「該当なし」だ。そこには後の訓練の日付、時間、問題解決表が載っていない。2026年第2四半期の進捗報告も、契約で年次演習を行えることを説明して24.1を完了扱いにする。その項目には新たな計測表がない。

現行のEBEROページには事業者との契約と移行手順書が公開されている。これで担当と義務は読める。しかし、かつて8日かかったデータ経路が今は何日なのか、44件などの指摘が次の試験で消えたのかは読めない。ICANNが試験をしていなかったという話ではない。むしろ、これほど具体的な古い結果を公開できた組織が、完了扱いの項目に新しい比較表を添えていないことが問題なのだ。日付、担当、試験データ、例外経路、5機能の復旧時刻、以前の問題の再検証を1枚にまとめれば、現状の判断は変わる。現時点で「完了」が確実に示すのは、理事会の議決である。

Sources