要約
- HMLRの例示では、登記ごとに1ヘクタールを基準にすると、登記済み土地の92.8%を覆う一方、対象は全登記の4.9%となる。土地面積と登記件数の比率であり、所有者や住宅の割合ではない。
- HMLRには所有者ごとの固有IDがない。複数の登記に分かれた一人の保有地を足せず、広い一筆と小さく分散した一群は別々に判定される。
「誰でも見られる」と「一括で使える」の間
現行の登記情報は公開されている。多くの利用者は、一件ごとに7ポンドを払いPDFを取得する。企業が所有する土地の一括データもすでにあり、登記の約16%、土地面積の約30%を含む。HM Land Registry(HMLR)が10月に始めた協議は、公開か非公開かを選ぶ話ではない。誰が、どの情報に、どの手続きで、どの規模まで触れられるかを組み直す話だ。
案には三つの窓口がある。一般向けには重要な自由保有地の地図化データと、商業用・重要な登記の詳細閲覧。公共機関には、住宅を含む全登記の無料閲覧。記者や研究者などには、公益目的を示したうえで住宅情報を含む限定データへの個別申請だ。売買や抵当設定に使う正式な謄本は、通常の料金で残る。閲覧料、利用資格、まとめて取得できる量は別々に決まる。
この分け方では、料金が消えても裁量は残る。とくに公益目的の窓口では、審査する職員が申請の目的、証拠、安全措置を評価する。公開データの地図と、個別審査で得る住宅登記を同じ「無料アクセス」と呼べば、入口ごとの負担が見えなくなる。
92.8%と4.9%は同じものを数えていない
HMLRは、登記単位で少なくとも1ヘクタールを選ぶ例を示した。その場合、対象の土地は登録済み面積の92.8%を占めるが、全登記に対しては4.9%。住宅一戸だけを含む登記では1.1%が基準を越える。面積の大部分を、少数の大きな登記が占めるためだ。
基準を0.5ヘクタールにすると、土地は94.5%、登記は6.5%、一戸住宅を含む登記は1.6%となる。5ヘクタールでは順に83.3%、2%、0.4%。10ヘクタールなら75.3%、1.2%、0.3%。20ヘクタールでは63.7%、0.7%、0.2%だ。数字を並べると、地図の面積を数える政策と、何件の記録が見えるかを数える政策が別物だと分かる。
推計表が数えるのは登記済みの面積と権利記録だ。人、世帯、最終受益者の数ではない。表は、英国・海外企業データにすでに含まれる所有情報も勘案していない。土地面積のカバー率だけを見出しに置けば、公開される登記の少なさと、企業データとの重なりが視界から落ちる。
ひとりの持ち分を足すための鍵がない
HMLRは、所有者ごとの固有識別子を持っていないと説明する。だから新しいデータの基準を、同じ人物が複数の登記を通じて所有する土地の合計面積に置けない。案では一つずつの登記面積を判定し、住宅住所の有無を追加条件にする案も検討している。
単純な例なら差は明快だ。ある所有者が0.8ヘクタールの登記を十件持てば、合計は8ヘクタールでも、1ヘクタール基準を満たす登記はない。別の所有者が1.1ヘクタールの登記を一件持てば、その一件は入る。選ばれる単位は登記であり、所有者の総保有地ではない。
公開後に同じ名前を手掛かりとして登記を結びつけても、安定した本人識別にはならない。氏名表記は変わり、企業は別法人で保有し、登記名義人が最終受益者や実際の支配者と異なる場合もある。協議文書は登記間の照合精度を示していない。方法と誤りの率が分からないまま、地図上の一致を一人の支配として扱うと、分析と事実の境目が消える。
したがって、このデータが強く答えられるのは、大きな登録地がどこにあるかだ。特定の所有者がどれだけの土地を支配するかには、検証できる結合キーと訂正の履歴が要る。面積カバー率が高くても、その二つは生えてこない。
住宅情報は別の設計判断だ
1ヘクタール基準で含まれる「一戸住宅を含む登記」の1.1%は、住民、持ち家世帯、個人所有住宅の割合ではない。登記の分類である。HMLRは、住宅住所が一つある登記には別の面積基準を設けるべきかを尋ね、1、5、10ヘクタールなどを例に挙げる。大きな土地の公開範囲を決める式に、住宅の安全策を押し込めると、どのリスクを誰が判断するのかが曖昧になる。
一方、住宅の登記には連絡先住所、賃貸借、地役権、制限条項、通知、抵当などが載ることがある。住所や所有の結び付きが検索・一括取得しやすくなれば、嫌がらせや暴力の危険を抱える人の負担が増える。HMLRは、深刻な危害の明確な証拠がある場合に情報の公開・閲覧を制限する権限も検討する。新しい法的権限には法改正が必要だ。
どの入口を誰が通ったかを記録する
抑制や特別アクセスを実用に移すなら、利用者を保護したまま判断の仕組みを点検できる必要がある。申請できる人、証拠の基準、対象にできる欄や登記、処理期間、再審、異議申立て、記録の訂正方法を先に公表する。個人を特定しない形で申請・承認・拒否・制限の件数も出せる。
公開データの各版には、基準値、数える単位、住宅フィルター、基準日、土地と登記のカバー率、所有者照合の限界を添える。訂正履歴では、元の登記記録の変更と、複数の登記を結んだ分析上の推定を分ける。公式の登記変更と研究者の照合は、証拠の重みが違う。
協議文書は2026年12月22日まで意見を募る。HMLRの発表によれば、現在は一件ずつの7ポンドPDFが標準的な閲覧経路だ。新案は、地図化データ、機関向け閲覧、公益目的の個別申請に分岐する。
1ヘクタールの線は計算しやすい。公開される地図が所有者の全体像を示すかどうかは、その線からは決まらない。政府が土地の面積を掲げるなら、同じ見える場所に、登記件数、数え方、照合できない範囲、例外を置くべきだ。公共の記録に足りないのは、もう一つの大きな数字ではなく、何を数えたかを読者が確かめられる説明である。
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