要約

  • 10月1日現在のRIPE NCCの表には、EUと米国の制裁調査に関するアラートが2,339件ある。うち39件は未着手、119件は調査中だ。
  • 表が数えるのはアラートとその状態だ。確認済みの53件は、RIPE NCCのサービスに適用される制裁案件を指す。

分析

10月の制裁報告で、いちばん静かな欄がいちばん動いた。7月2日の「未着手」はゼロ。10月1日には39件になった。アラート総数は2,172件から2,339件へ167件増えたが、空だった未着手の列に案件が戻ったことが、作業の進み具合を示す最も明快な変化だ。

「調査中」は110件から119件へ増えた。「保留」は16件から20件へ、「RIPE NCCのサービスに適用されると確認済み」は25件から53件へ増えている。RIPE NCCの告知によると、前回報告以降、同組織のサービスに適用されるEU制裁の対象として、会員5者とエンドユーザー23者を特定した。会員4者も「保留」となり、そのうち1者はエンドユーザーとしても資源を保有している。

2,339件の分母には名前を付ける必要がある。RIPE NCCが数えているのは、EUと米国財務省外国資産管理局(OFAC)の制裁調査アラートであり、制裁対象の組織数ではない。状態表はアラートを五つに分類する。最大の2,108件には、誤検知と確認されたもの、RIPE NCCには適用されないEU制裁、免除、OFAC案件がまとめられている。報告はこの四つの内訳を示していない。2,108件すべてを誤検知と呼べば、別々の四つの引き出しに同じ札を貼ることになる。

残る状態は、それぞれ別の作業を表す。「未着手」はアラートが調査待ちのキューに入った状態。「調査中」は職員が確認している状態だ。「保留」は、会員やエンドユーザーが協力しない、またはEU制裁の調査を終える書類を用意できないケースを含み、サービス制限がかかる。「確認済み」はEU制裁がRIPE NCCのサービスに適用され、手続きに沿って資源の登録が凍結された状態だ。

凍結されるのは登録記録である。制裁対象の組織は新たな資源を取得できず、既存資源を移転できない。RIPE NCCは、それらの資源を登録から抹消したり、会員の標準サービス契約を解除したりはしないと説明している。この報告が追うのは登録状態であり、ネットワーク上のパケットではない。

OFACアラートも同じ調査表に載るが、圧力が届く経路は異なる。RIPE NCCは米国の制裁に従う法的義務はないとしつつ、オランダの銀行が請求書の発行や支払いの受領に際してOFACを考慮すると記している。二つの制裁リストと複数の結末が一つの表に集約されても、各状態の実務上の影響と法的な経路は同じではない。

運用面で見るべき数字は、未着手の39件だ。RIPE-868には各アラートの滞留日数も処理目標も載っていない。そのため、アラートが調査に着手されるまで何日待つのかは分からない。次の報告では、39件が調査中へ移ったのか、別の状態で処理されたのか、キューに残ったのかを確認できる。

出典