要約

  • RIPE NCCの2027年予算案は、LIR当たりの支出を2,209ユーロとし、2026年予算から7%増としています。ところが公表された告知文は、2026年の基準額である2,056ユーロを2027年の額として記載しています。
  • PDFの総支出と、3年分で変わらない2万LIRという前提から、表の値は再計算できます。必要なのは訂正か説明であり、意図の推測や会員請求額の上昇を示す証拠ではありません。

表の数字は検算できる

差は要約文の一行にありますが、予算の読み方を変えます。RIPE NCCが9月30日に出した告知は、2027年のLIR当たり支出を2,056ユーロ、2026年予算比7%増としています。一方、「Activity Plan and Budget 2027」案の7ページは、2027年の値を2,209ユーロと記載しています。同じ表で2,056ユーロは2026年予算の欄に置かれています。

計算は明快です。予算案の2027年総支出は44,175千ユーロ、LIR数は2万です。44.175百万ユーロを2万で割ると2,208.75ユーロとなり、丸めれば2,209ユーロです。2026年予算の41.125百万ユーロを同じ2万で割ると2,056.25ユーロ、約2,056ユーロ。2026年の最新見込み40.310百万ユーロからは約2,016ユーロです。表は予算比で153ユーロ、7%増、見込み比で193ユーロ、10%増と示しています。

法人別の付表も合計を裏づけます。51ページでは、2027年の支出をRIPE NCCがLIR当たり2,151ユーロ、RIPE NCC Middle East FZ-LLCが58ユーロとし、合計2,209ユーロです。承認済みの2026年予算は1,996ユーロと60ユーロで、合計2,056ユーロ。子会社の含め方を変えたことで生じた差ではなく、両年の内訳は総額と一致します。

LIR当たり支出は会費ではない

「Expense per LIR」は、組織の総支出を予定するLocal Internet Registryの口座数で割った予算指標です。口座の価格でも、アドレスブロックの料金でも、会員に届く請求額でもありません。会費などの徴収条件は別の2027 Charging Schemeに定められ、予算表は組織がLIR当たりいくら使う計画なのかを示します。

同じ草案には大規模な設備投資もありますが、区別が必要です。CAPEXの1,048万ユーロは、総支出44.175百万ユーロとは別の行です。今回のLIR当たり計算に設備投資を足すべきではありません。

予算表は、2026年予算からの305万ユーロ増を大づかみに説明します。人件費は125万ユーロ、5%増、その他経費は180万ユーロ、12%増です。情報技術は5.100百万ユーロで85万ユーロ増、減価償却は55万ユーロから178.5万ユーロへ増えます。一方、コンサルティングは29.5万ユーロ減、出張は13万ユーロ減です。いずれも計画値であり、確定決算でも、個々の判断理由を証明する資料でもありません。

この食い違いが示す範囲

告知文の2,056ユーロは無関係な値ではありません。2027年案の比較列にも、承認済み2026年予算にも出てくる数字です。7%は2027年の比較に合っていますが、告知文はそこに前年の額を組み合わせています。基準値を引き継いで数字を更新し忘れた可能性とは整合しますが、文がどう作られたかを説明する資料はなく、原因は確定できません。

詳細なPDFは公開されており、表は誰でも検算できます。したがって、予算が隠された、あるいは組織の帳簿が誤っているという証拠ではありません。問題は、入口となる短い告知と、会員が検討するよう求められている資料の間で数字が揃っていないことです。告知だけを読む人には、2026年の額が2027年の見込みとして伝わり、増加率は別の値を指しています。

2027年計画はまだ案です。RIPE NCCは会員から意見を募り、10月28日の総会とServicesワーキンググループで話し合い、理事会が意見を検討したうえで12月に最終版を出す予定だとしています。審議は続いており、告知文を今のうちに直す余地があります。

明確な訂正なら、2027年のLIR当たり支出を2,209ユーロとし、2,056ユーロは2026年予算の基準額、2,016ユーロは2026年見込みとして分けて示せます。告知が別の範囲で計算しているなら、分母と対象を説明すればよいでしょう。資料が支えるのはこの限定的な要請です。故意の誤記、会員料金の変更、最終的な2027年支出までは立証しません。

出典