要約

  • RIPE 2026-02案は、承認済みインフラ・ブロックリストへの掲載が30日間に累計14日に達すると手続きを始める。資源保有者には是正のため7営業日が与えられ、適合確認後は1営業日以内に制限を解除する。
  • 第3.4条は対象プレフィックスの隔離を是正策として認める。第3.6条はこれを復旧条件に含めず、リストからの削除か、RPKIが関係する場合のROA削除を挙げる。ROAの削除は起点検証の記録を変える。BGP経路の撤回とプレフィックスの隔離は別々のネットワーク操作だ。

三つの期限、二つの出口

RIPE NCCの提案2026-02は、手続きを日程表に落とし込んでいる。あるIPアドレスが承認済みインフラ・ブロックリストに、任意の連続する30日間で累計14日掲載される。影響を受けたネットワーク運用者またはNational CERTが、RIPE NCC Supportのチケットを通じて認証済み通知を提出する。通知には自動テレメトリと、時刻情報または暗号署名が必要だ。RIPE NCCはその後、資源保有者が契約上維持する法務、管理、請求の各連絡先へ、受領確認を追跡できる是正通知を送る。そこから7営業日。適合が確認されれば、制限は1営業日以内に解除される。

日程はすっきりしている。判定が難しいのは、最後の段階で何を見せれば登録業務に戻れるのかだ。

是正時の「隔離」が復旧条項から消えた

第3.4条は、7営業日の間に取れる対応を二つ認めている。対象プレフィックスを承認済みリストから外すか、資源保有者が確認可能な管理措置でそのプレフィックスを隔離する。ところが第3.6条の復旧条件は別の書き方だ。プレフィックスがリストから消えたこと、またはRPKIが関係する場合に適切なROAが削除されたことを確認して制限を解除する。

第3.4条の「隔離」は、第3.6条で見当たらなくなる。運用者がネットワーク境界でプレフィックスを隔離しても、公開履歴の都合でリストには記録が残る場合がある。第3.4条はそれを適合と認めるが、第3.6条は復旧方法として挙げていない。その場合、1営業日の復旧時計をいつ動かすのかが定まらない。

ROAの削除はさらに別の問題を招く。RFC 9582は、ROAを特定のプレフィックスを特定のAutonomous Systemが起点として広告することを認める、署名付きオブジェクトと定義している。RFC 6811では、有効なVRPがルートのプレフィックスを覆わない場合、そのルートの状態はNotFoundとなる。これは検証記録の状態だ。BGPルートの撤回とプレフィックスの隔離には、それぞれ別のネットワーク操作が要る。検証状態で経路選択や転送を変えるかどうかは、ルーターのポリシーが決める。

第3.6条の二値判定は事務処理を速くできる。第3.4条がすでに認めた是正内容とは、結論が食い違う可能性がある。

リストも執行手段の一部だ

提案は、承認済みブロックリストの台帳をSecurity Working Groupに任せる。リストには客観的な自動テレメトリ、住宅・動的加入者プールの除外、公開検証できる履歴が求められる。線引きはあるが、どのリストを採用するか、誤登録をどう争うか、14日を数える際にどの履歴版を使うか、重複する記録をどう扱うかはまだ実務上の問いとして残る。

第3.5条は中間制限の形を保有者の登録アーキテクチャに委ねる。登録業務の機動性を制限し、RIPE Databaseに公開の「non-compliant abuse status」を表示する一方、資源の割当てを保ち、下流ネットワークの即時切断を避ける狙いだ。提案自身の説明も、曖昧さや運用不能を避けるには、十分に定義した制限を別のRIPE文書で合意する必要があると述べている。これは脚注ではなく、権限の使い方そのものだ。

提案はいま討議段階にある。RIPE NCCの10月会員向け更新は意見募集の期限を11月11日とし、RIPE 93の予定表は10月27日にSecurity Working Groupでの討議を組んでいる。時計を動かす前に、次の版で出口の判定をそろえられる。

Sources