要約

  • APNIC 62の参加者は、多くの子会社が商用セキュリティ製品を買えず、講習で扱ったオープンソースツールを重宝したと話した。
  • APNICは学院の講習に加え、会員向けの無料技術支援とDASHの監視機能を提供している。

セキュリティ製品は、パケットを一つも見ないうちに予算会議で敗れることがある。APNIC 62のNetwork Security Workshopを振り返った記事で、ある参加者は、自分の組織にある多くの子会社が商用セキュリティ製品を購入できないと述べた。講習で扱ったオープンソースツールなら、その予算の範囲で安全運用の力をつけられるという。

これは製品選びより手前の話だ。「何を買うか」より「いまの予算で何を動かせるか」。ライセンス見積もりが届けば、議論は初回のテストより先に終わる。実習では、技術者がトラフィックを調べ、対策を試し、警告が出たときに何をすべきかを学べる。

APNICの10月の報告は、暗号、インフラ防御、DDoS対策、パケット解析、侵入検知、BGPの運用セキュリティ、DNS、RPKI、IPsecを講習内容として挙げた。講師はSheryl Hermosoと、現地の認定トレーナーSourav Satpathyだった。APNICの事前告知では、侵入検知の項目にSuricataが登場する。ところが実施後の報告は「オープンソースツール」とだけ書き、名前を載せていない。実習を再現したい技術者には、会場写真よりツール一覧のほうが役に立つ。

オープンソースが変えるのは予算表の一項目で、台帳全体ではない。ライセンス費がなくても、導入し、調整し、保守し、出力を読み、警告に対応する人が要る。ソフトウェアは費用の一部にすぎない。毎週発生するのは技術者の時間であり、講習が育てられるのもその力だ。

APNICの公開されたセキュリティ支援は教室の外にもある。APNIC Academyは講習、ワークショップ、オンライン学習、仮想ラボを提供する。APNICは会員に対して無料の個別技術支援も行い、インフラ防御、ルーティングセキュリティ、RPKI、DNSSECを扱う。DASHでは会員がルーティング状況、不審なトラフィック、潜在的な脆弱性、bogon、MANRSの準備状況を確認できる。

学ぶ、専門家に相談する、ネットワークを監視する。三つは別々の手段で、利用条件も同じではない。APNICは技術支援とDASHを会員向けサービスとして明記している。組織が使える支援を確かめる必要がある。アジア太平洋地域で運用していることと、APNIC会員であることは別だ。

APNICによると、Academyの二つのワークショップには計55人が参加した。記事には、オープンソースツールの予算上の価値を語る参加者と、政府系ネットワーク事業者に実践を広げ、APNICと国内研修を行いたいという参加者の声が載る。55人は二つのワークショップの合計で、ネットワークセキュリティ講習だけの人数ではない。実施後の報告にツール名や導入件数はない。

運用担当者に必要なのは、講習を完成品と見ることではなく、使える支援網へ入る入口と捉えることだ。実際に使ったツール、保守を担う人、技術支援やDASHを利用できる組織を確認する。オープンソースはライセンスの壁を低くする。その先は人が歩いていく。

APNICがツール一覧、実習資料、相談窓口をまとめて公開すれば、導入経路を判断しやすくなる。教室を出た技術者が、何を入れ、どこに相談し、どのサービスで監視を続けるかを知っている。それが地域の安全講習を運用につなぐ形だ。予算担当者が首を横に振る日もある。少なくとも、次の一手まで消える必要はない。

出典: APNICのAPNIC 62ワークショップ報告、Academy研修の公式ページ、7月の講習案内、APNICのセキュリティ情報、APNIC Academyの概要、Open Information Security FoundationのSuricataオープンソース説明。