要約
- AFRINICの2025年年次報告書は、2024年第4四半期の値として、RPKI証明書1,073件、ROA 11,216件、ROAに含まれるIPv4プレフィックス11,540件、IPv6プレフィックス816件を記載する。
- 2026年10月18日に取得した日次CSVでは、この四つが同じ日付の行にそろわない。ROA数とIPv4数は2025年1月1日、証明書数とIPv6数は2024年12月31日に現れる。
- 2025年12月31日の行は、報告書に記載された2025年第4四半期の四値すべてと一致する。現在のエクスポートで再現できるのは後の時点であり、先の基準値を一つの日次状態として復元することはできない。
- 現行CSVから計算すると、ROAの前年比減少率は0.86%から2.21%へ、IPv4プレフィックスの増加率は84.6%から83.4%へ変わる。いずれもROAは減り、IPv4の登録項目は大きく増えたという方向は同じだ。
- AFRINICは四半期表に、正確な基準時刻、指標の定義、抽出方法、不変スナップショットまたは改訂番号を添えられる。ここで確認できるのは再現性の空白であって、どちらかの資料が誤っているという証拠ではない。
分析
AFRINICの2025年年次報告書にあるRPKI表は、一見すると照合しやすい。証明書、ROA、ROAが含むIPv4プレフィックス、同じくIPv6プレフィックスの四指標を、2024年と2025年の四半期末で並べ、変化率を示している。2024年第4四半期は1,073、11,216、11,540、816。2025年第4四半期は1,254、11,120、21,307、916だ。現在の公開日次系列では、後者の四値を12月31日の同じ行で確認できる。前者は、どの日の行を見ても四つ同時には再現できない。
対象は、AFRINICのRPKI統計ポータルから取得できる日次CSVである。列は証明書数、ROA数、ROAに含まれるASN、IPv4プレフィックスとそのアドレス空間、IPv6プレフィックスとそのアドレス空間を分けている。2026年10月18日にダウンロードしたファイルの最終行は10月17日だった。2024年12月31日の行は証明書1,073件、IPv6プレフィックス816件だが、ROAは11,371件、IPv4プレフィックスは11,620件。翌日の行では証明書1,073件を維持し、ROAとIPv4がそれぞれ11,216件と11,540件になる一方、IPv6は809件だ。報告書の四値は、隣り合う二つの観測に分かれている。
この分かれ方だけでは、理由は分からない。「2024年第4四半期」が特定の時刻のスナップショットなのか、報告書作成時に先行して抽出した値なのか、表に説明のない締め時刻のルールなのかは、公開資料からは判断できない。報告書の表には時刻とタイムゾーンがなく、CSVのヘッダーやグラフのページも、日次値をいつ取得したのか、過去行を後から修正するのかを示していない。つまり、年次報告書と現在のダウンロードが別の問いに答えている可能性はある。ただし、それは説明としてあり得るにとどまり、どちらかが誤りだと示す根拠にはならない。
差は前年比の計算に表れる。報告書の値なら、ROAは11,216件から11,120件へ0.86%減り、IPv4プレフィックスは11,540件から21,307件へ84.64%増える。現行CSVの12月31日同士を比べれば、ROAは2.21%減、IPv4プレフィックスは83.36%増となる。分母が異なるため幅は変わるが、方向は同じだ。ROAはやや減り、IPv4の登録項目は大幅に増えた。これは二つの伸び率を独立に再計算できない問題であり、変化の筋書きが逆転したという話ではない。
指標の単位を混同してはいけない。ROAは一つの自律システムと一つ以上のIPプレフィックスを結び付ける署名付きの認可である。ROA数は認可オブジェクトの数、ROA内のプレフィックス数はオブジェクトに列挙された項目の数だ。集約すれば前者が減り、後者が増えることがある。AFRINICも2025年の組み合わせについて、より効率的または集約されたROAが増えた可能性を説明として挙げている。いずれの総数も、BGP経路がValid、Invalid、NotFoundのどれになったかを示すものではない。経路オリジン検証は、検証済みROA、実際に広告されたプレフィックス、発信元ASNを使って経路ごとに行われる。総数だけからフィルタリングや安全性の成果を読み取ることはできない。
必要なのは大掛かりな再設計ではない。四半期表に短いデータ記録を添えればよい。取得日だけでなく正確な時刻とタイムゾーン、各指標の定義と単位、抽出クエリまたは手順、安定したファイルやスナップショットの識別子、過去値の改訂履歴である。過去の行を変更するなら、変更前後と理由を残す。公表済みの表は維持し、数値の出所を後からたどれるようにすれば、過去を書き換えずに済む。
公開資料が裏付ける結論は限定的だが実務上は明確である。証明書数とIPv4の対象範囲は増え、ROA数はわずかに減った。二つの前年比の幅は、どの2024年値を基準にするかで変わる。同じデータを使って再計算できる日付付きスナップショットがあれば、会員、研究者、運用者が自分で検証できる。現時点では2025年末の値は再現できる一方、2024年の基準となる四値は、一つの日次状態として復元できない。
出典
- 2025年年次報告書PDF、RPKI表。
- AFRINIC年次報告書、2025年版RPKI表。
- AFRINIC RPKI日次CSV、2026年10月18日取得。SHA-256はソースマニフェストに記録。
- AFRINIC RPKI統計ポータル。
- RFC 9582、ROAの現行仕様。
- RFC 6811、経路オリジン検証。
- RFC 9319、RPKI運用のベストプラクティス。
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