要約

  • EUROCONTROL は BT が提供する既存の NewPENS 契約を延長した。ComputerWeekly は2033年までと報じたが、顧客側の発表には終了年の記載がない。
  • 延長の目的は、PENS 3.0 の統治・調達・サービス体制を準備する間の継続性確保だ。新たな契約金額や次世代網の供給者が決まったという発表ではない。

多くの利用者がつながる業務用ネットワークでは、次の仕組みを買うためにも、今の仕組みを維持する時間が要る。EUROCONTROL が9月9日に発表した BT との NewPENS 契約延長は、その時間を確保する判断だ。同機関は、PENS 3.0 に向けた統治、調達、サービスの枠組みを共同体として準備する間の移行期間と説明している。

9月11日付の ComputerWeekly によれば、契約は2033年まで延長された。この終了年は同紙の報道として扱うべきで、EUROCONTROL の発表自体に書かれているわけではない。また、2033年が PENS 3.0 の稼働予定年だとも示されていない。今回の延長額は公表されておらず、過去の契約から年額を割り出して新規受注額を推計する材料も足りない。

共通の網でも、買う水準は一様ではない

NewPENS は航空関係機関の地上間通信を担う管理型データネットワークである。旅客向けの機内 Wi-Fi や、航空機に提供する公衆インターネット接続とは違う。今回の発表は利用範囲を44か国、48を超える利用者とする。EUROCONTROL は共同調達を管理すると同時に、Network Manager として主要利用者でもある。

共同調達は、すべての回線を同じ条件で買うことを意味しない。サービス案内 は需要に応じたサービス選択と支払いを説明し、必要な場合には最大99.999%の可用性を提供するとしている。これは提供可能なサービス水準であり、2026年の網全体の実測値でも、全接続に共通する保証でもない。サービスデスクや監視・報告を共有しつつ、保護水準は利用者ごとに選ぶ仕組みだ。

そのため、契約の価値を通信容量の単価だけでは測れない。専門能力と支援をまとめて調達できる一方、移行時には異なる要求を持つ参加者の準備をそろえる必要がある。一つの機関が切り替え可能になっても、ほかの利用者まで準備が完了したとは限らない。現行サービスの継続は、準備不足のまま移行する圧力を和らげ得る。ただし、その効果の金額は今回示されていない。

過去の数字と技術表現を切り分ける

2018年4月の当初契約発表 では、期間は10年、推定総額は5,000万ユーロ超とされていた。これは当時の発注額の説明であり、2026年の延長対価ではない。現在の料金や追加サービス範囲も、そこからは分からない。

同じ2018年の発表は、安全上重要な用途に対し、物理的・論理的に分離したデュアルコア接続をすでに説明していた。今回、PENS 3.0 の計画としてデュアルコア構成が挙げられていても、次世代になって初めて採用されると書くことはできない。逆に、同じ用語だから設計も同じだと断定することもできず、具体的な差分は今後の仕様を待つ必要がある。

移行の実務については、2019年7月の記録 が参考になる。当時の EUROCONTROL は、関係者間の調整、新設備の導入、旧供給者から BT へのサービス移行、旧設備の撤去を説明した。これは過去の事例であり、現在の未完了作業や遅延を示すものではない。それでも、供給契約を変えるには署名だけでなく、利用者側の工程を接続する作業が伴うことは分かる。

現時点で決まったのは既存サービスの継続だ。次世代網の供給者、詳細仕様、納入や移行の日程は別の判断として残る。今回の延長を次の網の発注と読み替えると、調達の進み具合を実際以上に見積もることになる。