要約

  • 英国政府は医療AIに関する44の提言をすべて受け入れた。ただし、責任の明確化を担う作業部会には、その配分を変える権限がない。
  • 2027年春に予定される実施ロードマップは、機関横断の合意を担当者、期限、成果物へ落とし込む必要がある。AI Airlock第3期は市販後監視を検証する実務上の試金石だ。

受け入れは実行の始まり

英国政府は10月6日、National Commission into the Regulation of AI in Healthcareへの回答を公表し、44の提言をすべて受け入れるとした。優先課題には、医療機器規則の近代化、医療現場の導入準備、市販後監視の強化が含まれる。政府の回答は、現行のUK Medical Device Regulations 2002がソフトウェアやAI製品の進歩に追いついていないと評価した。MHRAは2027年春までに、医療機器の定義、リスクに応じた分類、設計・機能・利用環境を踏まえた意図する用途について意見募集を行う方針だ。

これは作業計画であり、新しい医療機器法がすでに成立したわけではない。政府は機関横断のProgramme Boardも設け、四半期ごとに会合を開く。2027年春のロードマップで役割、責任、日程、成果物を示し、その後は年次進捗を公表する予定だ。

作業部会は責任の境界を明確にできても、動かせない

提言24は、AI製品がメーカーの管理環境を離れ、医療サービスで使われる時の役割分担を扱う。Department of Health and Social Care(DHSC)、MHRA、Care Quality Commission(CQC)、英国各構成国の同等機関、NHS Resolution、Professional Standards Authority、専門職規制機関が作業部会を設ける。メーカー、医療サービス提供者、専門職、規制当局の責任を明らかにするのが目的だ。

回答には明確な制約がある。作業部会は責任を決定したり、再配分したりしない。各機関の既存の法定権限の中で整理する。DHSCと各構成国の保健当局は、自律性が高まるAIツールも含め、別途、ガバナンスのあり方を検討している。詳細は2027年春までに示すとしている。

これは現在、誰にも義務がないという意味ではない。AIの継続監視には、複数の既存権限を接続する必要があるということだ。最初の技術審査を通った製品でも、病院の手順、現地データの質、臨床監督の程度が変われば、性能も変わり得る。

AI Airlockは導入後の動きを問う

同じ10月6日、MHRAは規制サンドボックスAI Airlock第3期の参加申請を開始した。今回の重点は、医療AI機器の市販後監視とライフサイクル全体の管理である。申請書は、現地のインフラ、診療手順との統合、データの入手可能性と品質、利用者との関わりをどう捉えるかを問う。臨床・組織の監督が異なる環境で安全性や性能の兆候を検出する方法、さらに性能情報、安全上の問題、更新やロールバックを規制当局、医療機関、専門職、患者へ伝える方法も検討対象だ。

申請は通年で受け付ける。今回の審査対象となるには10月31日までの提出が求められ、次の選考は2027年春の予定だ。これらは検証項目であり、成果ではない。第3期の参加者や結果はまだ公表されていない。

導入後の兆候は、必要なデータへアクセスでき、変化の意味を判断し、合意した対応を始められる人がいて初めて役に立つ。AI Airlockはその仕組みを試す。機関横断の制度は、それを実際に動ける担当者へつなぐ必要がある。

出典