要約

  • BIS Bulletin 137は、2021〜25年に投資家企業と投資先企業が商取引上の供給関係にもあった場合、AI企業間の公表投資額の46.4%を「循環的」と分類した。
  • 複数投資家のうち一社でも条件に当てはまれば、ラウンド全体の公表額が対象になる。資金がいくら戻ったか、当該投資家がいくら出したかを示す統計ではない。

46.4%を見ると、AI企業が互いに出資し、その後の購入が需要を実態以上に強く見せている、という説明を思い浮かべやすい。だが、Bank for International SettlementsのBIS Bulletin 137が示したのは、より限定された事実だ。研究対象の1,246社は計算、インフラ、データツール、モデル、アプリケーションの五層に整理され、2021〜25年にAI企業間の投資関係が972件確認された。公表されたAI企業間取引の金額では46.4%、件数では16.1%が「循環的」とされた。

ここでいう「循環」は、資金が一巡したという意味ではない。投資家と投資先の間に、5年間のどこかで商業上の供給者・顧客関係があれば該当する。方向はどちらでもよく、投資時点と商取引の時点が一致する必要もない。同じ資金調達ラウンドで購入約束が交わされた場合だけを数える定義より広い。

金額の扱いも読解を左右する。AI企業が複数参加する資金調達で、そのうち一社が投資先と取引していれば、研究はラウンド全額を循環的に分類する。投資家ごとの出資額には割り振らない。したがって46.4%は、関係のある投資家の出資分、関連購入額、投資家に戻った収益、あるいは最終顧客が資金を供給した割合ではない。

それでも上流の集中は注目に値する。公報の図表では、循環的な投資関係を件数で数えると73%が計算またはインフラ企業に由来する。これは関係の数であり金額の割合ではない。供給者が顧客向けの能力を広げるために出資することも、顧客が希少な投入を確保するために供給者へ出資することも、双方が商取引を行うこともありうる。いずれも投資を進める一方、商業上の需要と金融上のリスクを同じ相手関係に結びつける。

著者らはPitchBookの投資データとFactSetの商取引関係を組み合わせ、可能な範囲で手作業の確認を行ったと説明する。一方で、PitchBookのアナリストはBISの計算を検証しておらず、PitchBookの手法と結果が異なる可能性も明記している。公報が挙げる不透明性やリスクの連動は可能性の説明であり、企業の破綻、実現損失、架空売上、詐欺の報告ではない。示されているのは2021〜25年の関係図で、現在の市場のストレステストではない。

出典