要約

  • prop-173第1版は2026年8月17日にメーリングリストへ公開された提案であり、採択済みのAPNICポリシーではない。通常のWHOIS、RDAP、ウェブ検索などに、版管理された公開利用条件と段階的な執行を導入する構想だ。
  • APNICは、データベース全体への包括的な権利主張ではなく、事実、創作的表現、配列、提供者の記述、ミラー値、個人情報、サービス規則を項目別に区別する機械可読な権利台帳を併設すべきだ。

一つの応答に複数の根拠

APNICはすでに一括WHOISデータについて署名付きの利用契約を用意し、再配布や広告、地理的マッピングなどを制限している。ところが、通常の問い合わせを行う利用者には同じ境界が明確に示されない。prop-173は、WHOIS、RDAP、ウェブ検索、同等APIの低頻度な運用・技術研究利用を認める一方、体系的な収集、マーケティング、プロファイリング、位置推定、商用データ製品、レート制限の回避、一定の保存・再配布を制限しようとする。警告、速度制限、停止、遮断、終了という段階と、審査も想定する。

この可視化は前進である。しかし通知は来歴ではない。「オーストラリア法上利用可能なすべての著作権その他の権利」を主張しても、個々の値に著作権が成立するのか、提供者から権利が移ったのか、参照先の条件が優先するのか、あるいは実際の根拠がプライバシーや負荷管理なのかは分からない。利用者に許される行為を示す利用台帳と、制限の由来を示す権利台帳の両方が必要だ。

提案の手続状態も正確に扱わなければならない。公式ページは第1版を「Published to Mailing List」としている。確認できる記録には、事務局影響評価、コンセンサス、採択、発効日、実装はない。だから今は、所有、通常の事実、研究利用、自動遮断への異論を設計に反映できる段階である。安定URL、改訂履歴、保護を弱める際の協議という提案上の仕組みは、版ごとの権利台帳を置く土台にもなる。

著作権だけでは統治できない

オーストラリア著作権法は、独創的な言語著作物を保護し、表や編集物も定義に含める。一方で、成立、著作者、所有、支分権、実質的部分、例外は別々の問いである。司法長官省も、著作権が保護するのはアイデアや情報そのものではなく、その独創的な表現だと説明する。

High CourtのIceTV判決は、労力をかけて集めたデータを一括して所有できるという発想に注意を促す。テレビ番組表の時刻と題名をめぐる事件で、裁判所はデータベースの著作権成立を判断せずに仮定しつつ、IceTVによる利用は侵害ではないとした。焦点は独創性、著作者、情報と表現、利用された部分の質だった。この判決がAPNICの権利を決めるわけではない。だからこそ、事実、自由記述、選択・配列、派生状態、他レジストリの値を分類せず、一文で覆うべきではない。

インターネット番号レジストリは一意性を調整する記録機関である。ソフトウェア、説明文、配列、サービス基盤には保護され得る対象があり、契約や個人情報保護、可用性維持も必要だ。しかし、記録したことだけでアドレス範囲、ASN、登録履歴という調整上の事実が機関の財産になるわけではない。Heng Luのいう記帳者と本人の区別はここで効く。記帳者には台帳を守る権限があるが、記帳対象の主体にはならない。

RFC 9083のnoticesは、RDAP応答に利用条件へのリンクや著作権表示を載せられる。これはprop-173を技術的に実装可能にするが、権利成立や所有、契約成立、例外、プライバシー義務を証明しない。プロトコルは通知を運ぶ器であり、法的根拠を裁定する装置ではない。

権利台帳の最小構成

公開され、版管理され、機械可読な台帳は、データベース全体ではなく項目または一貫した項目群を単位にすべきだ。各行には、権威ある出所、提供主体の類型、値の種類(レジストリ生成、保有者提供、説明文、派生状態、ミラー、参照、サービス情報)、主張する権利または規則、その根拠、行使主体を記録する。

さらに、運用障害対応、ルーティング保安、研究、報道、履歴検証、限定キャッシュに何が許されるかを明らかにし、保存、再配布、結合については目的とデータ類型ごとに説明する。執行時には、ポリシー版と台帳版に結び付く公開可能な理由コード、対象インターフェース、実施主体、審査経路を返すべきだ。回避を助ける閾値、個人情報、秘密契約、法的助言、検知信号は公開しなくてよい。透明性とは保安装置の全面公開ではなく、権限モデルを説明できることだ。

緊急の速度制限と、恒久的な違反認定も分ける必要がある。共有基盤からの正当な並列問い合わせを自動処理が収集行為と誤認することはある。一時的にサービスを守り、ログを保存し、後に分類を見直せる設計なら、最初の機械判断を著作権侵害の証明に変えずに済む。

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