Summary

  • 10月27日付の個人草案は、別の会員や認定事業者が投票を指示、資金援助、支配する取り決めを新たに開示対象とした。
  • 異議には公開の証拠が必要となり、選挙委員会が隠蔽の可能性を高いと判断した場合に限って票を停止する。独立した審査機関への不服申立ても設ける。

名簿には三社、財布は一つ。会社の系列を数えるだけでは、票の行き先を決める力を捉えきれない。Agent Identity Authorityの新しい設立構想は、その隙間に手を入れた。会員の背後で誰が投票の費用を負担し、指示を出すかを問う改訂だ。

構想する機関が担うのは、AIエージェントID登録システムの運営者と登録事業者の認定、ハードウェア信頼ストアの管理、運営者の交代である。入口を監督する理事を選ぶ仕組みなら、会員の名義だけでなく、票を動かす関係にも事業上の重みがある。

9月の初版にも、組織と共通支配下の系列企業を一つの正会員、一票として扱う規定はあった。加盟時と毎年の系列開示を求め、隠蔽は資格停止の理由となる。10月版が加えたのは、別の会員や認定事業者が、その会員の投票を指示、資金援助、支配する取り決めだ。個人の正会員についても、認定事業者からその役割のために雇用や報酬を受けることを認めない。

対象は会員としての役割と票の支配関係である。あらゆる研究助成を一括して禁じる話に広げれば、肝心の資金と指示の経路がぼやける。別法人であることと、別の意思で投票することは、それぞれ確かめる必要がある。

新稿は、開示を争う側にも条件を課した。正会員は公開の証拠を添えて選挙委員会に異議を申し立てられ、判断にはIndependent Review Panelへの不服申立てが可能となる。ただし、異議を出しただけで相手の票は止まらない。委員会が隠蔽の可能性を高いと認めることが必要だ。投票直前の告発を、相手を集計から外す格安の手段にさせないための境界になる。

これらは各利害関係者グループが理事を選ぶ際の会員票である。構想は別途、議決権を持つ理事十五人、複数議席選挙での単記移譲式投票、会員名簿と候補者声明、集計の公開を定める。加盟企業の一票が、そのまま理事会での一票になるわけではなく、グループの選挙を通じて権限へつながる。

Datatrackerでの位置付けは個人のInternet-Draftであり、10月27日の告知が新版の公開を伝えている。IETFの承認は得ていない。提案機関の実際の会員名簿、開示争議の裁定、選挙結果がこの資料にはないため、制度の効き目はそれらの記録で検証することになる。