要約
- AFRINICの第2次定款改正協議は2026年8月21日23時59分(UTC)に終了する。13.6条は協議中の案で、採択・適用された事実を示さない。
- 推薦委員会がある席に適格候補者がいないと判断すれば、任期満了直前の理事が会員投票なしで暫定再任されたものとみなされる。
- 暫定理事は、同じ席の理事を選ぶ次の選挙が終了するまで在任する。当選者は新しい3年任期ではなく元の席の残余期間だけを務める。
- 利益相反、推薦業務の独立、公開募集、限定された審査項目、適格者名簿の公表は本物の歯止めだが、募集回数、再募集日、発効前の独立審査、会員追認はない。
- モーリシャス会社法は定款による別の選任方法を認めるため、仕組み自体が当然に違法とはいえない。将来の条文は現在の権限や過去の費用を遡って承認するものでもない。
選ばれなかったことが、現職を残す決定になる
13.6条では、投票結果ではなく候補者名簿の不成立が理事の在任を延ばす。推薦委員会が「適格候補者なし」と判断すると、任期満了前にその席を占めた理事が自動的に暫定再任されたものとされる。会員の決議は要らない。
この発想は新設ではない。現行13.8条も、特定地域について適格候補者がいない場合、その席の理事を次回のいずれかの席の選挙日まで再任されたものと扱う。草案は対象を全理事席に広げ、判断主体を推薦委員会と明記し、次の当選者の任期を元の席の残りに限定した。ずらして行う改選日程を守るという制度目的は理解できる。
しかし、暫定期間の上限は日数で示されていない。終点は「同じ席の理事が選ばれる次の理事選挙の終了」である。次の選挙をいつ開き、いつ認証するかが固定されなければ、「暫定」はカレンダー上の制約にならない。
推薦委員会への制約と、判断への制約は同じではない
草案9条は推薦委員会を無制限にはしていない。候補者本人、改選地域の居住者、独立性や公平性を損なう利害を持つ者は委員になれない。予算などについて理事会への管理上の説明責任を負うが、推薦・選挙判断では理事会やCEOの指示を受けない。
委員会は公募を行い、十分な適任者を確保するよう最大限努力し、定款上の資格、書面同意、必要な宣言を確認する。能力、技能、経験を審査し面接することもできるが、評価項目は定款に列挙された六分野に閉じられ、追加基準は使えない。最終的な適格候補者名簿も公開される。
それでも、13.6条が生む結果には別の統制が必要だ。同条は最低2回の公募、最低募集期間、再募集までの日数を要求しない。「候補者なし」の専用証明書も、応募者のプライバシーを守った不適格理由の区分も求めない。暫定再任が発効する前の独立した迅速審査、会員による追認、選挙が遅れた場合の会員・裁判所の自動的な再実施手続もない。
候補者を通さない権限と、その結果として誰を残すかが一本の線でつながる以上、名簿の公表だけでは責任追跡にならない。
「継続性」は手続の代わりにならない
AFRINICは13条案について、理事会の継続性と民主的説明責任、定期的な刷新、実効性、代表性、強靱性を両立させると説明する。これは提案理由であり、実際に期限と救済が備わったことの証明ではない。
同組織の2025年年次報告書によれば、CEO不在、定足数を満たす理事会不在が3年以上続くなかでも、職員は業務を継続し、重要サービスの可用性は通常99.7%を超えた。理事が不要という証拠ではないが、空席を避けるためなら期限のない暫定在任が不可欠だという一般論への反証にはなる。
Heng Luが示す代理問題と権力・責任の非対称性は、この条項を人物評価ではなく構造で読むよう促す。候補者の入口を管理する者が誤ったとき、コストを誰が負い、誰がその判断を覆せるのか。「コミュニティ」や「代表性」という言葉では、投票、証明書、期限、審査、救済の欠落を埋められない。
会社法の許容と、過去の正当化は別問題だ
会社法135条2項は後任理事を普通決議で選ぶことを原則としつつ、会社の定款が別段の定めを置くことを認める。137条4項は理事ごとの投票原則に反する決議という限定場面の自動再任を扱うのであり、自動再任一般を無効にする条文ではない。134条の書面同意と欠格なしの証明、139条の退任、142・143条の登記通知と理事義務は残る。13.6条がみなし再任時の新しい同意・証明を明記しない点は修正対象だが、それだけで無効と断定はできない。
NRSは現在の権限連鎖を争い、授権、請求書、法務支出の記録を求めている。LARUSは登録調整が構造的支配へ変わる危険を論じる。BTWは過去に1時間1,000米ドルの法務報酬条件を報じた。ただし、この事実パッケージには、その条件を違法と確定した裁判判断はない。
13.6条が将来成立しても、現在理事会とされる者、Receiver、支援者、移転ロックイン、過去の費用、請求書、報道された報酬条件を遡って正当化できない。協議で追加すべきなのは、候補者探索の手順と日付を示す公開証明、プライバシーに配慮した理由区分、発効前の独立審査、再募集・投票・認証の数値期限、そして会員追認である。
情報源
- AFRINIC — 定款改正案に関する第2次コミュニティ協議
- AFRINIC — 定款改正草案
- AFRINIC — 現行定款
- モーリシャス財務省 — 2001年会社法
- AFRINIC — 年次報告書
- AFRINIC — 2025年年次報告書
- AFRINIC — 裁判案件
- AFRINIC — 理事会文書
- AFRINIC — 会議と決議
- AFRINIC — 理事会
- NRS — AFRINIC AGMM 2026会員アクション
- NRS — NRS Shield
- Heng Lu — AFRINICとコミュニティ所有という神話
- Heng Lu — 現実の層、象徴権力、明確さへの敵意
- Heng Lu — インターネットガバナンス中核の代理問題
- Heng Lu — 権力、正統性、AFRINICのロックイン
- Heng Lu — 登録機関の権力が責任から離れるとき
- Heng Lu — 大陸、コミュニティ、エンドユーザーを誰が代弁するのか
- LARUS — 登録層が構造的リスクになる理由
- LARUS — マンデート・ロンダリングが調整を統治権力へ変える仕組み
- BTW — AFRINICの法務費用調査
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