要約
- 定款第15.5条は、取締役会に付された事項について潜在的または現実の利益相反がある場合の「開示」と「議決への不参加」を義務として定め、他方で「審議からの排除」は残る取締役の判断に委ねる(AFRINIC定款)。
- 同第13.4条は第7席・第8席を地域代表ではなく資質に基づく席位と定めており、取締役会ページは第8席を「Seat 8 Adewole David Ajao Nigeria Non-Regional Africa 3 years」と記載する(AFRINIC定款、取締役会ページ)。
- アジャオ氏による開示や議決回避を記録した取締役会議事録、決議、登録簿の記載は取得できなかった。この記録上の空白は確認事実として示すものであり、規定違反の推定ではない。
義務と裁量が同じ条に並んでいる
第15.5条の構造は短いながら精密である。取締役は、取締役会に付された事項について潜在的または現実の利益相反を有するとき、その利益相反を取締役会に開示しなければならない。当該利益相反が存在するか、存在するおそれがある事項については、議決への参加を自ら断たなければならない。そして残る取締役は、利益相反が存在するか、存在するおそれがある場合に、当該取締役を審議から排除すべきかどうかを決定することができる。
ここから三つの読み方が成り立つ。第一に、発動の閾値は低い。「潜在的」で足りるため、利得の立証も損害の立証も求められていない。第二に、三つの負担は同質ではない。開示と議決回避は取締役本人の義務として書かれ、審議からの排除だけが他の取締役の判断に係る。条文の情報量はこの非対称に集中している。第三に、義務の相手方は取締役会ひとつである。監督機関も、会員総会も、公衆も、情報の受け手として指定されていない。
資質席位は代表関係を生まない
第13.4条は取締役会を九名で構成する。第13.5条に列挙された各サブリージョンを代表する六名(第1席から第6席)を年次会員総会が選出し、指名委員会の推薦に基づき資質によって選ばれる二名(第7席・第8席)を置き、最高経営責任者(第9席)を加える。取締役会ページは「Nigeria」の記載と三年の任期をもって、アデウォレ・デイビッド・アジャオを第8席に直接対応させている。
この区別は文言の細部ではない。第8席を特定可能なアフリカの選挙区から託された委任と読む、最も安易な理解を打ち消すからである。地域的な選挙母体に応答しない席位には、アドレス割当の決定について説明を求める選挙の場も存在しない。正当性は資質という基準に置かれ、指名委員会の推薦に基づく年次会員総会の議決によって確認される。その代償として、説明責任は組織内部の問題に移る。取締役会ページは同席の得票数を公表しておらず、2026年10月18日時点でAFRINICの選挙ページは取得可能な内容を返さなかった(選挙ページ)。
利益相反を可能にする権限が同じ条にある
取締役会ページは、定款第15条が取締役会に与える責務を列挙し、その第一に「会員に対するアドレス空間割当のガイドラインを定めること」を置く。続いて財務予算の決定と支出上限の設定が並ぶ(取締役会ページ)。
この順序は吟味に値する。割当の権限は第15条に、利益相反下の行為規範は第15.5条にあり、両者は同一の条の内部にある。利益相反規則は決定権の隣に置かれた装飾的な条項ではなく、規律しようとする当の権限の内側に書き込まれている。接続容量を交渉する企業はアドレスを消費し、割当ガイドラインに投票する取締役は、その消費が展開する枠組みを決める。第15.5条が狙うのはまさにこの構図であり、条文が用意する唯一の防壁が手続的なもの——開示と議決回避——であって、取締役の兼職を禁じるものではない理由もここにある。
残された文書が示していないもの
定款第12.13条は、年次会員総会および取締役会の議事について議事録を保存することを求める。ガバナンスページはさらに、取締役会を支える仕組みとして各種委員会、定款見直し委員会、そして取締役会・会員・コミュニティに対してガバナンス上の助言を行うガバナンス委員会を記述する(ガバナンスページ)。
取得した文書に取締役会の議事録は一通も含まれていない。利益相反の開示を扱った決議、登録簿の記載、ガバナンス委員会の結論も取得できていない。定款は第13.4条と第15.5条を覆うページ抜粋として保存され、第12.13条に言及した要約が添えられているにとどまる。全文は取得していないため、引用していない条項については何も主張しない。第8席の選挙結果、得票数、候補者声明、指名委員会の推薦も取得できていない。
雇主に関する記述——Googleにおける戦略交渉職——は2026年8月27日付のBTWディレクトリ記録に由来する。当該雇用を確認する企業側の一次ページは取得していない。AFRINICの破産管財手続に関する訴状や判決文も取得していないため、同手続における取締役会権限の法的地位については何も述べない。最後に、いかなる取締役の内部審議、動機、投票行動についても主張しない。文書の不在は、ここでは違反と同義に扱われない。
内向きの規則がなお外向きに作用する理由
レジストリの会員、その調達先、取引の相手方は、取締役会の構成を中立な受託管理の証拠として読む。一方、利益相反規則の実際に強制可能な内容は、取締役会自身に対して負う義務で尽き、記録されるとしても、定款が保存を命じながら公表を命じていない議事録の中に限られる。対外的な可読性と内部的な追跡可能性のこの落差は、落ち度ではなく構造的な盲点である。そして、ある割当の決定が争われるようになったとき、その盲点こそが信頼の試される地点になる。
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