要約

  • Wasabiは9月10日、AI専任事業の設立とPinaki Mukherjeeの責任者就任を発表した。戦略、提携、販売拡大を担当する。
  • 計算サービスからストレージを分離しても、子アカウントの管理は販売パートナーに依存し得る。別途請求される独立アカウントという選択肢もある。

誰にとっての独立か

GPUクラウド事業者がストレージを仕入れるなら、その仕入れ先が自社の計算サービスと競合しないことには意味がある。Wasabiの9月10日の発表は、この市場に専任の事業組織を置くものだ。上級副社長兼ゼネラルマネジャーとなるPinaki Mukherjeeが、シリコンバレーからAI戦略、提携、販売活動を率いる。GPUサービスを新たに売り出すという発表ではない。

販売側にとって望ましい独立性と、利用企業が求める独立性は重ならない場合がある。前者は仕入れ先との競合を避けたい。後者は計算サービスの契約先を変えても、データの管理関係を継続したい。上流の企業がGPUを売らないことだけで、下流のアカウントが自由に引き継げるとは限らない。

WasabiのGPUクラウド向け提案は、計算サービスを持たないオブジェクトストレージ専業という立場を打ち出す。パートナーは自社ブランドとドメインでストレージを提供し、Wasabi Account Control Manager(WACM)と連携機能を使って、開設、利用量の確認、アカウント管理を行える。基盤を自ら構築せず、顧客向けのサービスを拡充する仕組みだ。

窓口をまとめたい利用企業には利点がある。その利便性と、管理を誰に委ねるかという判断は、分けて確認する必要がある。

管理階層が業務に及ぼすもの

WACMのアカウント種別を見ると、料金を支払うコントロールアカウントが、チャネルアカウントや子アカウントを管理する。任意のチャネル階層にも子アカウントを管理する役割がある。利用者の子アカウントはWasabiコンソールのアカウントに相当し、GPUマシン内のフォルダーではない。ただし、その管理は階層構造に組み込まれる。

子アカウント設定の文書には、アカウント種別と権限に応じて、認証情報の再設定、容量枠の変更、停止、削除申請などの操作が記載されている。強制上限はアップロードを止め得る一方、通知だけの上限は制限を強制しない。これは管理機能の説明であり、販売事業者による濫用があったという話ではない。

請求も管理関係の一部だ。アカウント制御APIの請求説明では、子アカウントは親側の請求状態に伴う制限を受けるとされる。例として、コントロールアカウントの未払いが猶予期間を超えると、オブジェクトのアップロードが認められなくなる。ストレージ設備が正常でも、データ投入が上位の商取引に左右される可能性を示す。ただし、あらゆる支払い紛争で読み出しが止まり、データが消えるとまでは読めない。

一方、同じ文書群には独立アカウントもある。対応するWACM登録フォームで作られ、パートナーのWACMアカウントにひも付かず、そのアカウント経由で請求されない。利用可能な機能はパートナーの設定による。全利用者を子アカウントと見なすのも、画面のブランドから管理関係を推測するのも正確ではない。

アクセス用の鍵と引き継ぎ権限

アカウント制御APIのFAQは、管理用の鍵とS3ストレージ用の鍵を区別している。制御APIの契約を解約すると管理用の鍵は無効になり、既存の子アカウントは動作を続けるが、親側は管理と子請求情報へのアクセスを失う。API契約の解約は子アカウントの削除ではない。また、この説明は後任の管理者への自動移管を約束したものでもない。

AIの利用企業が確認すべきなのは、計算サービスを変えた後も誰がストレージを管理し、支払い、支援するのかである。今回確認した資料だけでは、あらゆる移管条件は確定しない。選ぶアカウント形態と商取引上の約束で明らかにすべきであり、S3互換性から導くことはできない。

新部門は、計算基盤に縛られないストレージの販売を広げ得る。その提案を利用企業にとって明確にするには、仕入れ先との非競合と、利用者が持つ管理上の選択肢を別々に説明する必要がある。