要約
- 1997年の規則は、ISPをInternetにつなぐIAPと、IPアドレスを持つネットワークを構築して利用者にサービスを提供するISPを区別した。
- 後年の機関記録はVDCを唯一のIAP、VDC、FPT、NetNam、SPTを最初の4 ISPとしている。これは免許の記録であり、4社が同日に同規模で営業を始めた証拠ではない。
- サービス提供者の数は増えたが、国際接続の機能は分散されなかった。
公開接続の前に、準備と許可があった
1997年11月19日、ベトナムは世界のInternetへの接続を公式に発表した。後年の記念記事はこの日を「開放」として語ることが多い。しかし、準備はそれ以前にさかのぼる。国家情報技術計画の指導委員会で副事務局長を務めた Nguyễn Công Hóa は政府ポータルの記事で、1995年に国家ゲートウェイの調査が決まり、1996年には通信ネットワーク事業に予算が付いたと回顧している。彼の説明では、1996年8月の会議で郵電部門の Đặng Văn Thân が、2つの国際ゲートウェイは技術的に準備済みで、政府の許可があれば接続できると報告した。
技術的な準備完了は、一般向けInternetトラフィックがすでに流れていたことを意味しない。Võ Văn Kiệt首相が1997年3月5日に署名した政令21/CPは、Internetの管理、設置、利用に関する暫定規則を定めた。4月には管理用のITNetが設けられ、11月に国際接続が公表された。技術の準備、法的な許可、一般向けサービスは、それぞれ別の段階だった。
IAPとISPは別の機能を担った
1997年5月24日の合同通達8-TTLTは、この区分を具体化した。ベトナムの法律データベースに掲載された英訳では、IAPは全ISPをInternetへ接続する許可を受けた機関・組織・企業と定義される。一方のISPは、IPアドレスを含むコンピューター情報ネットワークを設け、電子メール、データ転送、遠隔アクセス、データベースアクセスを個人や組織に提供できる事業者だった。
申請書類も役割ごとに異なる。IAPには国内幹線の構成、回線容量、国際ゲートウェイの数と場所、接続サーバーの機能、監視・制御と情報セキュリティの設備、サービス計画、運用責任者、料金、ISPとの契約案が求められた。ISPの申請には、自社ネットワークと安全対策、想定利用者数、サービスの種類・品質・提供範囲・対象者を記す。両方の申請先は郵電総局で、内務省は監視・制御設備とセキュリティ対策を審査した。
つまり、IAPとISPは同じ仕事の別名ではない。IAPの免許はInternetへ向かう共通の入口を対象にし、ISPの免許はその先で利用者向けネットワークとサービスを運営する仕事を対象にした。規則は行政上の権限を示すが、実務で各機関がどう審査し、どの程度裁量を行使したかまでは示さない。
ISPが4社でも、国際出口が4つとは限らない
VNPTの沿革は、傘下のVDCが11月19日に唯一のIAPとなり、最初の4 ISPの一つでもあったと記す。日本国際協力機構(JICA)の後年の業界報告も、IAP 1社とISP 4社の構成を示し、海外ホスト向けの通信はVDCの回線を通ってからISPに届くと説明する。郵電総局長だったMai Liêm TrựcはVietNamNetの回顧インタビューで、VNPT、NetNam、SPT、FPTの4社が開放前後に認可されたと述べている。
これらは同じ大枠を支えるが、情報源の立場は異なる。VNPTは自社の沿革を語り、JICAは後年の部門調査をまとめ、Trựcは当時の高官として過去を振り返る。4社が認可され、VDCが唯一のIAPだったという構造は裏付けられる。一方、4社の規模や準備状況が同じだったこと、同日に商用提供を始めたこと、各社が独立した国際ゲートウェイを持ったことは確認できない。「最初の4社の認可ISP」と書く方が、「同等な4ネットワーク」と表現するより正確だ。
科学技術省の後年の回顧は、初期の国際回線を64 kb/s、利用者を約300人、接続先を米国とオーストラリアとしている。ただし、統計の時間幅や数え方は示されていない。初期サービスの小ささを示す目安にはなるが、料金負担、全国への到達度、稼働率、加入者総数の測定にはならない。
サービスの選択肢と共通の依存先
免許の構造は、機会を分けると同時に依存先を集中させた。4社のISPは顧客との関係を築き、サービスを売ることができた。しかし国外のホストへの通信は、IAPの国際回線と共通層に付随する許可に依存した。小売りのサービス提供者は増えても、国際接続の制御機能は一つに集まっていた。
この事実だけから、IAPが各ISPのあらゆる商業判断を決めた、すべての通信が一元的に検査された、または特定の検閲水準が生まれたとは言えない。それには実際の運用、法令の執行、制御方法の証拠が必要だ。資料が支えるのはより限定された結論である。法律上、国際接続は個別に許可され複数ISPが共有する機能とされ、後年の記録では公開開始時の唯一のIAPはVDCだった。
この区別は他の階層型市場を見る際にも役立つ。ISPの数はサービスを売る会社の数を示すが、独立した国際経路の数、上流容量を得る条件、接続先を変更できる容易さは示さない。11月19日は公開接続の日を示し、免許制度はその接続がどのような制度条件で組織されたかを示している。サービス層は複数化し、国際アクセス層は集中したままだった。
出典と証拠の限界
- 政令21/CP、政府の公式法令記録と添付RTF
- 合同通達8-TTLT、法律データベース掲載の英訳
- 政府ポータル:1997年接続の回顧
- VNPTの沿革
- JICAのベトナム電気通信部門報告書
- Mai Liêm Trựcへのインタビュー、VietNamNet
- ベトナム科学技術省の回顧記事
通達の英訳は二次的な法律データベースによる転載で、同データベースでは廃止済みと表示される。事業者、政府、元高官の記述は後年の回顧である。各ISPの厳密な営業開始日、全国の到達範囲、料金負担、完全な加入者数、稼働率、経路冗長性、各規制の実務運用は確定できない。図版は概念表現であり、史料写真や確認済みのネットワーク図ではない。
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