要約

  • Slack Connectでは、自組織の保存設定は自組織のメンバーが送った内容に適用され、外部の内容は送信した組織の設定に従う。ピン留めや保存済みの内容も保存方針の対象になる。
  • チャネルの所有、相手の管理権限、記録のエクスポートには別々の範囲がある。投稿だけの招待やEnterpriseが招く無料チームの例外を含め、必要な業務記録を残す方法を決める必要がある。

ピン留めの印は小さくて頼もしい。だが取引先の保存方針を書き換える力までは付いていない。Slackの保存設定の説明は、ピン留めや保存済みの内容にも設定が適用されると明記する。後で読むつもりだったことと、後で残っていることは別々に扱われる。

取引先との仕様確認や作業の了承をSlack Connectで進めると、メッセージは同じ会話に並ぶ。買い手にも受注側にも便利な形だ。送り手の所属が変わっても、画面の見た目はひと続きである。

Slackのデータ管理ガイドは、その裏側を分けている。自社の保存設定が対象にするのは、自社のメンバーが送ったメッセージやファイル、キャンバス、リスト。外部の人が送った内容は、その人の組織の設定に従って保存または削除される。

自社の記録を長く残す選択をしても、それだけで相手の投稿の将来まで決められない。便利な共同作業の場所を、誰か一社が管理する完全な案件台帳として扱うと、この違いが後の作業に回ってくる。

部屋を持つ権限と、発言を管理する権限

Slack Connectの案内では、自組織のワークスペースなどで作ったチャネルは自組織が所有する。所有側は組織の招待と削除、投稿権限を管理し、外部組織との接続が終わった後もチャネルを使い続けられる。

これは入口を管理する大きな権限だ。一方、内容の編集・削除設定も、基本となる範囲は送り手の組織で分かれる。メッセージを編集・削除できるのは、そのメッセージを送った組織の人であり、実際には該当する権限や設定に従う。

暗号鍵にも似た区分がある。Enterprise Key Managementを使う組織の鍵は、自組織のメンバーが送った内容に適用される。外部の内容は、その組織もEKMを利用していれば相手の鍵で暗号化され得る。チャネル名を共有していても、暗号化の管理範囲は送り手の組織に対応している。

招待状の種類も読む

参加した相手が何を設定できるかは、招待権限の種類でも違う。「投稿のみ」と、投稿・招待などを含む広い権限がある。広い権限には保存方針の設定が含まれ、その変更は設定したワークスペースに適用されると注記されている。

投稿のみの権限で外部を招いたチャネルでは、カスタム保存方針を設定できるのは招待した組織だけだ。相手が会話に参加していることから、同じ管理メニューも使えると推測してはいけない。接続終了後の扱いも権限に左右され、投稿のみだった接続終了チャネルのメッセージやファイルは、データ管理ガイドのエクスポート対象外に挙げられている。

取引を始めるときの招待は、単なる連絡先交換以上の仕事をしている。どの操作を相手に渡すか、後の記録確認をどの経路で行うかに関わる。

有料と無料だけでも保存の説明は終わらない

有料プランは、初期設定ではワークスペースの存続期間にわたりデータを保持する。指定期間後に削除する設定にも変えられ、削除処理は一日一回動く。設定を変える権限や組織・ワークスペース・会話ごとの上書きにも条件がある。

Enterpriseが無料チームを招く場合には、さらに具体的な例外がある。一年保存を選んだ無料側では、一年超の内容を削除する対象から該当するSlack Connectチャネルが除かれる。90日保存を選ぶと、すべてのチャネルで90日後にメッセージやファイルを削除する。単に「無料側は一年で消える」とだけ覚えると、設定の違いを落としてしまう。

必要なのは各参加組織の実際の設定を知ることだ。一般的なプラン紹介一枚で、ある案件の会話がいつまで残るかを代用するのは難しい。

書き出せる記録の中身を確認する

データ管理ガイドでは、有料プランのワークスペースオーナーや管理者が外部と共有する公開チャネルをエクスポートできる。非公開チャネルや外部とのDMまで含めるには、Business+やEnterpriseの所定の申請・有効化が関わる。エクスポートの説明は、プラン、権限、対象を分けている。

出力に含まれるものも具体的だ。外部メンバーのメッセージと表示名は含まれ、自組織のメンバーがアップロードしたファイルはリンクとして含まれる。相手企業のカスタム保存設定は、自社のエクスポートに現れる内容にも影響する。リンクを受け取った時点で、全添付ファイルの現物を引き渡されたつもりになると確認を一つ飛ばす。

承認済みの機能では、会話から見えなくしてJSONエクスポートには残す選択もある。画面と出力が常に同じ内容を示すとは限らないため、必要な記録がどこで利用できるのかを実物で確認する意味がある。

個別の会話を判断するには、送り手の組織、実際の保存方針、招待権限と適用されるエクスポート範囲が必要だ。仕事上の重要な合意は、許可された手順で保管先と担当を決めておく。同じ部屋で話せる便利さを、後日その会話を組み直す費用に変えずに済む。