要約

  • 個人Internet-Draftのdraft-dikshit-netmod-comparability-scope-extension-00は、node-local、domain-local、controller-scoped、globalを狭い順に並べる。
  • 異なる宣言を組み合わせるときは狭い方が支配する。ただし静的検査は、宣言の真実性や自動修復の安全性を保証しない。

集計値は文脈を消す。どのノードで測ったのか、フィルターの前か後か、再起動でゼロに戻るのか、欠測をどう扱ったのか。一本のグラフになった後では、こうした差が見えにくい。数値が整っていることと、比較が正当であることは別だ。

改訂-00はcsc:comparability-scopeというYANG拡張を提案する。メトリックを生むノードに比較可能な範囲を付け、スキーマを理解する収集・分析ツールが、宣言範囲を越える比較や集計を事前に拒否できるようにする構想である。

現時点の位置づけは限定的だ。IETF Datatrackerはこれを活動中の個人Internet-Draftとして扱い、IETFの承認を受けておらず正式な地位もないと明記している。構造化された欄にはRFC streamもintended RFC statusもない。一方、-00本文のヘッダーには「Intended status: Standards Track」とある。これは著者が文書に記した目標であり、ワーキンググループ採択、IETF合意、公開決定を意味しない。完全なYANGモジュール、domain-id-refの詳細、参照実装とテストコーパスは将来作業である。

広い宣言が狭い宣言を上書きしない

node-localは同一の送信元ノードだけを許す。domain-localは、対応する識別子で示された一つの管理・プロトコルドメインまで広げる。controller-scopedは、同じコントローラーの管理下にあり、割り当て記録が保持されているノード群を対象とする。コントローラーが変われば、その連続性は自動的には継承されない。globalは、モジュールが示す寿命の間、ノード、ドメイン、コントローラーの境界を越えて比較可能だと主張する。

二つの宣言が違えば、狭い方の条件が残る。globalな値とnode-localな値を組み合わせても、後者はグローバルにならない。同じノードという条件を満たさなければならない。異なるドメイン識別子を参照する二つのdomain-localは拒否され、別ノードのnode-local同士も無条件に拒否される。

これは有用な否定能力だ。既知の境界違反を、障害後の分析ではなく集計前の判定に移せる。宣言、参照識別子、読み取り文脈、判定理由を保存すれば、判断も再現しやすい。

宣言を検査しても、宣言した世界は観測できない

静的ツールには、作者が複数実装を試してからglobalと書いたのか分からない。インベントリーが誤ったドメインIDを付けたか、コントローラー移管中に空白があったか、ファームウェアが観測点や正規化を変えたかも分からない。渡された記述の整合性は調べられても、その由来を証言できない。

したがってglobalは最高位の認証ではなく、最も重い証拠を要求する主張である。単位、倍率、時間窓、母集団、フィルター、観測点、リセット、ラップ、欠測処理、正規化、適用期間を固定しなければならない。RFC 8911とRFC 8912は、メトリック識別子と安定した仕様・登録メタデータを結び付ける考え方を示す。ただし登録は、全生産者が同じ振る舞いをすることの実測ではない。

RFC 8342が意図した状態と運用状態を分ける理由も同じである。スコープ注釈はモデル側の主張だ。実際の比較可能性には、測定期間中のドメイン所属、コントローラー履歴、配信の連続性、時刻ずれ、既知の不変条件に対する実装間の一致が必要になる。

識別子のスコープと、この拡張の役割

関連する個人草案draft-dikshit-nmop-telemetry-identifier-scoping-01は、VRF、アドレスファミリー、観測ドメイン、正規化、集計、時間をより広く扱う。対象の-00は、値レベルのYANG拡張と静的な拒否規則に絞っている。

識別は「何を測ったか」を明らかにする。比較可能性は「この演算で二つの測定が同じ問いに答えられるか」を問う。前者が詳しくても後者は自動的に成立しない。草案がQoSモデル改訂-15を動機例に挙げても、実装、導入、運用検証を示すものではない。

自動修復には別の許可が要る

誤ったグラフは人の時間を奪う。誤った集計が制御入力になると、経路変更、ポリシー変更、再起動を引き起こす。静的検査は「この組み合わせは既に宣言境界に反する」と言える。境界に反しなかっただけで「次の操作は安全」とは言えない。

自動化には、固定したメトリック仕様、検証済みのドメイン・コントローラー履歴、送信元間の意味テスト、連続性監視、限定カナリア、確認済みロールバック、責任者が必要だ。不一致は集計を閉じる。一致は次の証拠ゲートを開くだけである。

出典

草案と状態:比較スコープ拡張-00、Datatracker現行記録、履歴、I-D告知。

背景:YANG 1.1、RFC 7950、NMDA、RFC 8342、メトリック登録情報モデル、RFC 8911、メトリック登録、RFC 8912、テレメトリー識別子スコープ-01、QoSモデル-15。