要約
- RFC 3744はプリンシパルを複数URLを持ち得るWebリソースとして扱い、アクセス制御エントリーには
DAV:principal-URLという一つの正規参照を使うよう求めた。 - 人名検索や公開されたプリンシパル・コレクションは候補の発見を助けるが、完全な名簿も本人確認もアクセス権も保証しない。
画面の名前とルールの参照先
WebDAVにより、HTTP経由で遠隔の文書やコレクションを編集できるようになった。アクセス制御拡張の役割は、誰がどのリソースにどの操作を行えるかを表現することだった。画面に名前を並べればよさそうだが、プロトコルには別の情報が要る。名前は人が対象を選ぶための表示であり、アクセス制御エントリー(ACE)はサーバーが評価できる主体を参照しなければならない。
2004年5月に公開されたRFC 3744は、主体(プリンシパル)を人または計算機上のアクターを表すネットワークリソースと定義した。同一の主体に機械的なURLと人が読みやすいURLなど複数のURLがあってもよい。クライアントはURLの見た目だけでは同一主体かどうかを判断できない。DAV:displaynameは人間向けの名前を与えるが、IDそのものではない。
そこで仕様は正規化の段階を設けた。どのURLからDAV:principal-URLを取得しても、保護されたプロパティは同じ指定URLを返す。ACEを作るクライアントは、この主体URLを使う。グループのメンバー集合も、各メンバーの主体URLで参照する。利用者向けの別名を残したまま、規則に書く参照先だけを安定させた。
この区別は重要だ。ACLはリソースに属し、ACEは主体と権限を結び付ける。ある別名を使ったACEを見た別のクライアントが、別URLも同一主体に当たると一般的に判断する方法はない。RFC 3744はその関係をサーバーが管理する保護属性に置き、各クライアントの推測に委ねなかった。
検索できても、全件とは限らない
主体が数百から数千いる環境では、人が対象を見つける仕組みも必要になる。RFC 3744は一部のプロパティを部分文字列で検索するDAV:principal-property-searchと、検索可能なプロパティを知らせる別レポートを定義した。固定された階層をたどるより柔軟だが、あらゆるID属性を検索できるという約束ではない。
サーバーは検索対象のプロパティを制限できる。DAV:principal-collection-setは一部のコレクションを示す場合も、何も示さない場合もある。したがって完全な名簿の保証にはならない。結果は、そのサーバーが提供する発見インターフェースで見つかった候補にすぎない。見つからないことは不存在の証拠ではなく、二つの結果が同一人物だという証拠にもならない。
クライアントは「どのリソースを選びたいか」と「ACEにはどの正規URLを書くか」という二つの問いに答える。しかし、どちらも「実際に要求を送ったのは誰か」には答えない。RFC 3744は認証をHTTPの仕組みに委ねた。サーバーはACEを評価する際、要求主体を別途検証しACLを適用する。表示名、検索結果、正規参照、認証情報、実効権限は別々の記録である。
完全なID管理システムではない
RFC 3744は主体やグループの作成・維持方法も、初期ACLの設定方法も定めなかった。異なる利用者管理リポジトリと接続できる参照形式と検索レポートを規定したにとどまる。名簿の完全性やライフサイクル統治は別の仕組みに残された。
このRFCの歴史的な貢献は、限定的でも明確な契約にある。別名は共存でき、ACEには正規主体URLを使い、発見範囲はサーバー機能に左右され、認証と認可は別の確認として残る。仕様が裏付けるのは標準設計であり、特定製品の採用率、現実の名簿の完全性、あるアクセス事故の結果ではない。
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