要約

  • RFC 3743は特定の中国語・日本語・韓国語文字の変種を行政上の一つのパッケージとして扱い、関連ラベルを単一の登録者に結び付ける。
  • 優先変種は通常ゾーンで有効化され、別の文字変種は通常予約されるが公開されない。この文書だけでは、特定のレジストリの採用やDNS解決は証明できない。

DNSに載る名前より大きな登録対象

ドメイン登録は一つの文字列をめぐる取引に見える。文字列が空いていれば申し込み、登録され、ゾーンに掲載される。国際化ドメイン名では、この理解だけでは足りない。中国語、日本語、韓国語では、異なるコードポイントが見た目に似ていたり、意味が近かったり、言語や地域の慣習上の変種として扱われたりする。DNSは符号化されたラベルを比較できるが、二つのUnicode表記を同じ登録者に帰属させるべきかを自分で決めるわけではない。

この管理上の隔たりを扱ったのが、2004年4月にInformational文書として公開された RFC 3743 のJETガイドラインである。Joint Engineering Teamには、中国、台湾、韓国、日本のネットワーク情報コミュニティなどが参加した。IESG注記は、JETがポリシーを実施可能な仕組みに結び付けた点を評価する一方、IETFがゾーンのポリシーを決めるのではないと明記した。同じ表の形式を使っても、ローカルの選択は異なり得る。

これはUnicodeラベルをDNS向けのASCII互換表記へ変換する問題とは別である。先行するIDNA文書は、文字列の準備と符号化を標準化した。RFC 3743が扱うのは、ゾーンが受け入れた後に、混同のおそれがある形をどう管理するかだ。技術プロファイルは入力の妥当性を判定できても、各言語共同体の「同じ形」の判断を代行できない。

言語変種表が登録手順になる

ゾーンは対象言語ごとにLanguage Variant Table(LVT)を持つ。各表は有効なコードポイント、優先変種、文字変種を示す。これは行政上の取り扱いの区分であり、文字体系に普遍的な順位を付けるものでも、生成されたすべての文字列が普通の単語になるという保証でもない。

登録手続きでは、まず当時のIDNAに沿ってNameprepを適用する。次に申請に付された各言語の表に照らしてコードポイントを検証し、優先変種と文字変種を組み合わせた候補を生成する。重複を除き、既存登録や予約との衝突を調べる。ゾーンは独自の方針で候補をさらに絞ることもできる。これらの結果をUnicodeが決めるのではなく、表とローカル手順が決める。

重要なのは「有効化」と「予約」の違いだ。元のラベルと、通常は条件を満たす優先変種がゾーンファイルに入り、Zone Variantとして有効化される。文字変種は通常予約され、別の申請者は取れないが、DNSで公開された活動中のラベルとは限らない。RFC 3743は元のラベル、関連言語、有効化された変種、予約変種を合わせてIDL Packageと呼ぶ。

このパッケージによって管理単位が変わる。従来のドメイン管理では、各ラベルを個別に登録、削除、移転する。このモデルではIDL Packageが原子的な単位であり、IDLを移転・削除する場合は関連変種も一体で扱う。ゾーンが関連ありと判断した形を別々の登録者が取得することを防ぐ一方、DNSで有効化されないラベルまで一つの取引対象になり得る。

RFCの例は、言語指定がなぜ重要かを示す。同じ入力が複数の言語表を通過して、異なる優先形を生むことがある。選択した言語のいずれかで使えないコードポイントがあれば、申請自体が無効になる例もある。これらはアルゴリズムの説明であり、実名のレジストリがその表を採用した証拠でも、ある商用ドメインがその仕組みで登録された証拠でもない。

予約が証明しないこと

RFC 3743は、使用する表、言語、衝突処理、生成変種の上限、レジストラとレジストリの役割分担を各ゾーンに委ねる。例には先着順が使われるが、ゾーン固有の権利・紛争ポリシーに置き換えられる。RFCは名称の法的権利、パッケージの有効化、ASCIIラベルのゾーン登録、DNS照会の成功のいずれも証明しない。

後のIDNA2008文書は境界を整理するのに役立つ。技術的な妥当性、登録、検索の手続きを定めながら、レジストリが追加のローカル制約を設け得ることを認める。これはRFC 3743のIDNA2003時代のアルゴリズムを現在のプロトコル規則に変えるものではなく、JETの言語表を普遍的な言語標準にするものでもない。妥当性検査、レジストリ方針、登録、ゾーン公開、名前解決は別々に確認する必要がある。

JETの歴史的な貢献は行政上の設計だった。すべての中日韓の同等性判断をDNSプロトコルに埋め込むのではなく、ゾーン管理者が地域ごとの選択を示し、関連形を一つの登録者に結び付ける手段を作った。登録者が分かれるリスクを抑える代わりに、言語変種表とライフサイクル規則への依存が増える。利用者が見るのは一つのラベルでも、予約される対象はその何倍にもなり得る。

出典