要約

  • RFC 2352は、正式名称、法人形態、地域、国コードからドメイン経路を作り、最初の名称資格を会社・商標登録機関に判断させる構想だった。
  • その一意性は法域に限定され、DNS委任やサービス管理を証明しない。公開時の編集注記も、改名の誘因不足と国家空間への処方という矛盾を指摘した。

同じ語を誰に渡すかはDNSの問いではない

DNSはラベルを比較し、ゾーンを分け、子の枝を委任できる。しかし同じ短い名称を望む二社のどちらに優先権があるかは判断できない。1990年代末、汎用トップレベルドメインの覚えやすい名称をめぐり、技術登録、会社法、商標が同じ窓口に集まった。

RFC 2240はこの問題を平坦な名前空間の衝突として描いた。1998年5月にそれを置き換えたRFC 2352は、法的文脈を経路へ埋め込んだ。英国のlimited companyならLTD.UK、フランスの商標ならTM.FR、米国なら州の層を加える。一般形は法人形態、地域識別子、ISO国コードだった。

組織ラベルは正式名称から作る。法人接尾辞は上位の枝が示すため除き、空白はハイフンへ、句読点は削除またはハイフンへ変換する。会社名・商標機関が法的権利を確認し、その上でDNS管理者が項目を作る。

DNS管理者に会社法を即興させないという発想は妥当だった。同じ語でも法域が違えば正当な主体が複数あり得る。しかし「この登記簿で名称を持つのは誰か」という限定回答を、「公衆が使うべきインターネット名は何か」という広い回答へ押し広げていた。

一意性には住所があった

RFC 2352は、法的名称は文脈内で一意だから争いは起きないと述べた。重要なのは文脈内という条件である。

会社名は国、州・県、法人種別、時点に依存する。商標には領域、区分、名義人、期間が加わる。この提案は世界会社登記を作らず、異なる制度の局所的判断を一つのDNS経路に並べた。

正規化にも損失がある。空白や句読点をハイフンへ変えると利用可能なラベルになるが、元の法的記録が保持した差異を消すことがある。監査には、元登記、変換規則、DNS登録判断、公開ゾーンという別々の受領証が要る。

DNSにおける「権威」も技術語である。RFC 1034の権威サーバーは、あるゾーンの完全な情報を持つ。法人の実在、商標優先、事業の正当性を裁く権限ではない。名前解決の成功も、現在の支配者、サイトの安全性、利用者の目的達成を証明しない。

反論もRFCの一部として残った

RFC 2352は独立提出のInformational文書で、Internet Standardではない。RFC Editorは本文に注記を付けた。

既存企業が、親しまれた短い汎用名を、長く扱いにくい法的経路へ変える誘因が見当たらない。RFC 920は以前から、ホスト名の変更により表、メーリングリスト、過去メール、印刷物、人の記憶が古くなると警告していた。新しい登録行だけでは依存関係を移せない。

注記は制度上の矛盾も示した。提案は国別名前空間の構造を各国の管轄と認めながら、法人形態と地域による枝を各国へ処方した。編集者は、記述どおりの実施は政治的に難しい可能性があるとした。

法的台帳とDNS台帳は別の制御面だった。前者は一つの法体系で名称を記録し、後者は枝の存在と委任を管理する。規約は証拠を橋渡しできても、権限を同一にはできない。

後続の仕組みは仕事を分けた

ICANNは1999年にUDRPを採択した。申立人は、商標との同一・混同類似、登録者に権利または正当利益がないこと、悪意の登録と使用を立証する。これは登録契約に結びつく紛争手続であり、全法人登記からDNS名を自動生成する制度ではない。

非ASCII表記は別に扱われた。RFC 3490はアプリケーション側でASCII互換表現を導入し、既存DNSを保った。正確一致は維持され、言語・視覚・音声上の同一性の多くはプロトコル外に残った。表記を運べても、権利は決まらない。

法人登記、商標、DNS委任、文字表現、応答、運用支配、利用者の認知は連携できる。それぞれを同じ証拠として扱うことはできない。

採用されなかった設計が残すもの

RFC 2352は、世界に見える短いラベルと複数の法的現実のずれを正しく見た。階層で文脈を保存し、申請に法的根拠を求めた点も重要である。

一方、DNSの共通層が必要とするのは枝内の一意性、正しい委任、相互運用できる検索である。会社法、商標紛争、公開上の継続性には別の制度と記録が要る。一枚の記録を完全な同一性へ拡張するとき、名前空間は技術調整を越えて入場許可になる。

情報源と限界

提案と編集注記はRFC 2352の記録およびRFC 2352本文、前身はRFC 2240にある。行政・技術境界はRFC 920、RFC 1034、RFC 1035、RFC 1591による。後続制度はICANN UDRPとRFC 3490。層の分離はHeng Luの現実の層と最小共通仕様・局所判断を参照した。これらはRFC 2352の採用、例示名の現在の所有、現行法上の権利を証明しない。