要約

  • 公開審査のコメントは受領、追跡、処置の記録を要する。しかし個人の拒否権でも、組織全体の最終承認でもない。
  • 技術委員会の特別多数、Statements of Use、組織会員の Call for Consent は別々の事実を示す。工程の受領書はその境界を残すべきである。

一つの仕様に三つの権限面がある

「審査され、委員会が可決したので、OASIS が承認した」という説明は短いが、手続を一つの行為にしてしまう。最初の関門は Technical Committee の内部にある。Committee Specification Draft を公開審査に出すには、適格な Voting Member の Full Majority が必要である。初回は最低三十日、同じ成果物の次回以降は最低十五日である。ここで外部の人にも意見の窓口が開く。ただし、全読者に投票権が生まれるわけではない。

審査終了後、委員会はコメントを受領し、追跡し、処置を公表する。回答から Material change が生じるなら、Committee Specification に承認する前に再度の公開審査が必要となる。したがって、旧版への審査を、実質的に変わった新版の正当化として黙って使うことはできない。

審査とコメント処理の後に初めて、委員会は Special Majority で Committee Specification を承認できる。これは委員会自身が与えられる最高の承認である。しかし OASIS Standard と同義ではない。次の段階へ進むには、委員会は再び特別多数で候補提出を決め、当該仕様に触れる三つの Statements of Use をそろえる必要がある。そのうち少なくとも一つは Organizational Member からのものでなければならない。候補はさらに最低六十日の公開審査を受ける。

最後の関門は別の母集団である。TC Administrator が適格な Organizational Members に対し、最低十四日の Call for Consent を開く。これは同じ人々が三回投票する制度ではない。技術委員会が定めたテキストを進めたか、公開入力が記録されたか、使用の根拠があるか、組織レベルの有効な異議が最終段階を止めるか、という別々の問いである。

コメントは記録を要求するが、技術判断を自動化しない

公開審査は飾りではない。委員会には受領、追跡、処置公表が求められ、審査から生じた変更が Material かどうかも判断しなければならない。実質的なら再審査である。新しい技術的内容が、古い版への審査の陰に隠れることを防ぐ。

同時に、各コメントが技術的命令になるわけでもない。コメント数は国民投票ではない。委員会は提案に反対できる。ただし、どの版の何が問われ、どう答え、何が変わったか、そしてなぜ変更を実質的または非実質的としたかが後から追える必要がある。

工程記録はコメント、対象版、処置、変更、materiality 判断を結ぶべきだ。「解決済み」だけでは、採用、理由ある不採用、延期、別論点との統合、新版による失効のどれなのか分からない。コメントした人には帰属ある経路を、保守者には説明可能な技術判断の余地を残せる。

特別多数には動かしてはならない分母がある

Committee Specification の票は会議の挙手ではない。Special Majority には適格 Voting Members の少なくとも三分の二の賛成と、四分の一以下の反対が必要である。棄権と不投票は賛否に入らないが、適格者は固定分母に残る。

ゆえに出席者の写真は結果の証拠にならない。目立つ著者集団がいても閾値を超えないことがある。可決は、その特定の委員会閾値を満たしたことを示すだけで、全コメント者、実装者、組織会員の賛同を示さない。記録には投票開始時の適格者数、票種、日時、賛否・棄権・不投票、結果、固定 URI を残すべきであり、沈黙の動機を推測する必要はない。

使用の根拠と同意の根拠を混ぜない

三つの Statements of Use は Candidate OASIS Standard の前提であり、定義された手続上の使用または実装を示す。追加の三票でも、全世界の相互運用性保証でも、市場採用率でもない。組織会員による一件が含まれても、組織会員全体の同意に変わることはない。

最終同意は別の問いである。2020年12月1日からの現行制度では、適格 Organizational Members は投票設備で有効な異議を出さない限り同意したものと扱われる。異議には理由および/または救済案が必要である。有効な異議が十五件以上なら候補は拒否され、十五件未満なら委員会の対応または撤回の経路に入る。

これは実際の組織的効果を持つ。十分な有効異議がその関門を止めなかった、という意味である。しかし沈黙した各組織が技術設計を読み、各編集判断に同意し、技術的合意に達した、という意味ではない。設計理由はコメント記録と TC の判断から、組織状態は consent の通知と結果から、実装経験は Statements of Use から読むべきである。

権威のラベルではなく工程受領書を出す

新しい組織は不要である。重要な状態遷移ごとに、正確な版に結び付いた受領書を出せばよい。公開審査なら段階、ハッシュまたは不変 URI、日程、コメント経路、処置、materiality。Committee Specification なら TC の分母、閾値、結果。候補なら三つの Statements of Use と六十日審査。最終段階なら Organizational Members の範囲、consent 日程、有効異議数、対応経路、公開状態である。

この受領書の規律は、言い過ぎないことにある。コメントを投票と呼ばず、TC の票を組織の追認と呼ばず、使用声明を全員の支持と呼ばず、沈黙を技術的合意と呼ばない。各関門が証明するものだけを保存する。

Sources

  1. OASIS Technical Committee Process
  2. OASIS TC Handbook: Public Review
  3. OASIS TC Handbook: Committee Specifications
  4. OASIS TC Handbook: Approving an OASIS Standard
  5. OASIS TC Handbook: Work Product Lifecycle
  6. Lu Heng, The Multi-Stakeholder Mirage