要約

  • AS214789はNova Cloud LLPの名で登記され、768個のIPv4アドレスを3つの /24で生成するが、IPv6は持たず、カザフスタンの2つのアップストリーム (AS35104、AS43994) に依存する。
  • AS209874はTech Tide Portugal Unipessoal LDAの名で登記され、第三者の観測により17から22のIPv4プレフィックスが報告され、概算4,352個のIPv4アドレスを生成する。
  • novacloud.kzはAlmatyのTIER IIデータセンター、SLA 99.741%、VPS/VDS、IaaS/PaaS/SaaS、S3ストレージを宣伝するが、登記上の住所はMynbaeva街46号、一次情報の連絡先はKhusainova街281号BC Granitと異なる。
  • NOVA CloudとIBA GroupのMoUは2024年6月30日に署名され、AlmatyでのICDCベースのクラウド立ち上げを告知し、CEOはDoskhat Abdrassilovとされる。
  • 実際に機能するクラウドと休眠中の行政実体を区別するには、生成されたプレフィックスの集合、アップストリーム依存、および継続的なルーティング変更の証拠を観測する必要がある。

なぜNovaCloud名を検証するのか

NovaCloudという名は単一の事業者を指さない。RIPEやAPNICなどのリージストリーには「novacloud-admin」というハンドルを持つオブジェクトは存在せず、同名のブランドは異なる管轄区域の複数の運営者が使用している。このことは、ブランド名からサービスの実態を直接推論できないという意味であり、観測可能なインフラの事実を個別に検証しなければならないという意味である。本稿はその検証を、Kazakhstan側のAS214789とポルトガル側のAS209874の二つの運営者に集中させる。

AS214789のサービス実態

AS214789はRIPEオブジェクト上でas-name nova-cloud-kzとして登記され、ORG-NC138-RIPE (Nova Cloud LLP) が所有する。HEとIPinfoの両方の第三者ビューは、このASが78.109.18.0/24、91.147.110.0/24、194.164.115.0/24の3つのIPv4プレフィックス、合計768個のIPv4アドレスを生成し、IPv6は持たないと一致している。アップストリームの隣接はAS35104 (Jusan Mobile JSC / KTC-AS) とAS43994 (SMARTNET TOO / SMARTNET-AS) に限られ、下流は観測されていない。768個のアドレスは、VPSやS3のような多顧客クラウドを運営するには極めて狭い帯域であり、第一に実験的または社内の使用に対応する規模である。

登記の日付はORG-NC138-RIPEの作成日が2024年5月30日、AS214789の作成日が2024年5月31日、最終変更日が2024年7月2日であることを示す ([5])。これらの日付は、運営者の登記の存在が2年以上にわたって続いているが、ルーティング footprint (生成プレフィックスの集合) がその間に有意に拡大していないことを示す。

もう一つの不整合は、プレフィックス記述の衝突である。HEは194.164.115.0/24を「Anna Revenko trading as Ip.Rent」とラベル付けしているが、IPinfoとbgp.toolsは同じ /24をNova Cloud LLPに帰属させている ([1])。この衝突は、誰がどのアドレス空間を実際に制御しているかについての第三者のデータベースが一致していないという意味であり、どのデータベースも一次情報の登記ではなく、ルートビューから推論されたものにすぎない。

AS209874のサービス実態

AS209874はORG-MWUL2-RIPEの下でTech Tide Portugal Unipessoal LDA (reg-nr 517354420、Quarteira、PT、as-name TECHTIDE) として登記され、novacloud-hosting.comを運営し、as209874.netを自社ドメインの一つとして挙げている ([11])。一次情報のインプリントは、登記された名称と住所を確認するが、第三者のルーティングビューとは異なるプレフィックス数を報告している ([6])。

第三者のビューは合意しない。HEは34個のプレフィックス (IPv4が17、IPv6が17) を報告し、概算4,352個のIPv4アドレスに相当する ([7])。bgp.toolsはIPv4が22、IPv6が16と報告する ([8])。IPGeolocationはIPv4が20、IPv6が17と報告する ([6])。IPregistryはIPv4が17、IPv6が22と報告する ([10])。4つのビューのうち、どれもが他と一致しない。この分裂は、プレフィックスの生成と撤回が頻繁に行われているか、あるいは観測ポイントごとに見えるルートが異なることを示しており、どちらの場合も「安定して生成されたアドレス空間」という意味での成熟したIPトランジットネットワークの特徴ではない。

一方の事業者が宣伝するサービス

novacloud.kzはAlmatyにTIER IIデータセンターを持ち、SLA 99.741%、VPS/VDS、IaaS、PaaS、SaaS、S3ストレージをICDCプラットフォーム上で提供すると宣伝している ([16])。これは、登記上の住所であるMynbaeva街46号とは異なるAlmatyのKhusainova街281号BC Granitという一次情報の連絡先を示す。この住所の不一致は、ブランドの商業的な主張と登記上の実体の間にどれだけのギャップが存在するかを示す一つの指標である。

AS209874の運営者は、novacloud-hosting.comとas209874.netを通じて、欧州のIPトランジット、ホスティング、VPS、ゲームサーバー、GPU、専用サーバー、ストレージを宣伝し、3つのPoPと自己申告のアップストリームを主張する ([11])。ポルトガルの管轄区域に登記されたUnipessoal LDAが、これほど広範な製品群をPoP3つで提供するという主張は、生成されたプレフィックスの集合が17〜22のIPv4に収まるという観測事実と比べると、広告としての幅が観測可能なネットワークの幅を上回っていることを示す。

商業的な歴史:MoUとICDC

NOVA CloudとIBA GroupのMoUは2024年6月30日に署名され、AlmatyでのICDCベースのクラウド立ち上げを告知した。IBA自身のサイトはこのニュースを2024年8月1日付で掲載し、Nova CloudのCEOをDoskhat Abdrassilovと名指しした ([13])。EIN Presswireは同じリリースを2024年8月2日にプラハ発の dateline (日付と発信地を示す記者署名) で配信した ([14])。ibagroup.kzはカザフ語・ロシア語版で同じ内容を公開した ([15])。三つの一次情報が同じ日付、同じ役職名、同じプラットフォームを一致させていることは、Kazakhstan側の運営者の商業的な目的が、少なくとも2024年半ばの時点で、ICDCプラットフォーム上のクラウドサービスの立ち上げであったことを示す。

SafeDealは、カザフスタンの対応当事者レジストリーにおいて、企業4820728をBIN 240440015497、Mynbaeva街46号に登録している。このBINと住所は、ORG-NC138-RIPEのreg-nrと住所と一致する ([12])。この一致は、RIPEの登記オブジェクトとカザフスタンの法人登記が同じ法人を指していることを独立に確認する。

観測可能な事実の要約

観測 AS214789 (Nova Cloud LLP) AS209874 (Tech Tide Portugal)
登記名 nova-cloud-kz / ORG-NC138-RIPE TECHTIDE / ORG-MWUL2-RIPE
登記日 2024年5月30日 / 31日 2025年4月24日
IPv4プレフィックス 3 17〜22 (ビューにより異なる)
IPv4アドレス数 768 約4,352
IPv6 なし 16〜17プレフィックス (ビューにより異なる)
アップストリーム AS35104、AS43994 自己申告
宣伝されたサービス VPS/VDS、IaaS/PaaS/SaaS、S3 IPトランジット、VPS、ゲーム、GPU、専用、ストレージ

実際のサービスと休眠実体の違い

観測可能なルーティングの事実から、ブランドの宣伝とは異なる画像が浮かび上がる。768個のIPv4アドレスは、特定の狭い用途には十分だが、多顧客のクラウド、S3互換ストレージ、ロードバランシングを全国的な規模で運営するには不十分である。4,352個のIPv4アドレスを概算するポルトガル側の運営者は、より広いが、依然として宣伝された製品の幅 (トランジット、ホスティング、VPS、ゲーム、GPU、専用、ストレージ) に比べると狭い。観測されたプレフィックス数が第三者のビュー間で一致しないという事実は、安定した商業的なアドレス空間の使用というより、実験的または流動的なルーティングの振る舞いを示唆する。

実際に機能するクラウドプロバイダーと休眠中の行政実体を区別するには、三つの証拠の集合が必要である。第一に、安定した、繰り返し観測されるプレフィックスの生成集合。第二に、多様なピアと下流への接続、またはそれに匹敵する顧客の使用。第三に、時間の経過とともにプレフィックスの集合が拡大または変化するという証拠。本稿で検証した両方の運営者は、第一の基準については部分的に満たすが、第二と第三の基準については観測可能な証拠が乏しい。 出典: