要約
- AFRINICはモーリシャス登記の国内民間会社であり、受託者任命の申立ては会社法2001年第178条に基づいて最高裁破産部(Bankruptcy Division)に対して行われた。管轄の基礎は登記地と制定法にあり、固有の衡平法上の管轄権ではない。
- 2024 SCJ 473は上訴を本案ではなく手続上の理由で退け、受託者の許可と一審裁判官の許可の要否を明示的に判断しなかった。
- 控訴裁判所は最終判断に対する無限定の管轄を持つ一方、暫定命令については許可を要求する。その上に憲法第81条に基づく枢密院司法委員会への上訴経路がある。
管轄の基礎は登記地にある
モーリシャス法人登記の抄本は、AFRINIC(ファイル番号 C49338、事業登記番号 C06049338)を、2004年2月3日に設立された「DOMESTIC」すなわち国内の民間会社として記載し、登録事務所をモーリシャス、エベーヌ(Ebène)のサイバーシティ、スタンダード・チャータード・タワー11階とし、主たる事業地もモーリシャスにあるとしている。同抄本はさらに、2025年2月12日付の裁判所命令による受託者の記載を含む(モーリシャス会社登記簿の抄本)。この登記上の地位が、モーリシャス裁判所が同社に対して命令を下しうるという事実的な前提になっている。
援用された権限の条文
2024年10月の控訴裁判所判決(2024 SCJ 473)は、Cloud Innovationが2023年3月7日に、会社法2001年第178条に基づいて最高裁破産部に申立てを行い、その暫定命令の一環として、Official Receiverを名宛人とする受託者の任命を求めたと記録している(AFRINIC Ltd v Cloud Innovation Ltd & Anor (2024 SCJ 473))。
番号資源機構(NRO)の声明は、破産部が会社法2001年第178条に基づく受託者事件を審理したと述べ、2023年9月11日の判断が第178条2項(c)に依拠して、AFRINICの移転・買収・合併・再編を差し止め、現状(status quo)と事業価値の保全のためにOfficial Receiverを任命したと説明している。選挙日程は2023年9月12日から6か月とされた(NROの声明)。会社法2001年の統合テキストは「Court」を最高裁破産部と定義し、「Official Receiver」を破産法に基づいて定義している(会社法2001年(モーリシャス))。以上を重ねると、援用されている権限は、登録地に根ざした制定法上の枠組みに紐づいており、別の法廷で行使される純粋な衡平法上の管轄権ではない。
ただし条文番号には未解消の矛盾が残る。登記簿の抄本は「SECTION 278 (2) OF COMPANIES ACT」と記載する一方、判決とNRO声明は第178条を引く。この不一致は今のところ確定できていない。行政記録側の転記誤りである可能性も排除できない。
2024 SCJ 473が決めたこと、決めなかったこと
控訴裁判所は、2023年9月28日に提起されたAFRINICの上訴を退け、2023年9月12日の命令を回復し、選挙完了までの期間を2か月に置き換えた(2024 SCJ 473)。これを退けた理由は本案の当否ではなく、上訴人とされた法人の取締役(Eshun氏)に上訴を提起する法人としての権限がなく、弁護士にも出訴資格(locus standi)がなかったため、そもそも有効な上訴が存在しなかったという点にある。
ここで重要なのは、裁判所が、受託者の許可や一審裁判官の許可が必要かどうかを判断する必要はないと明示的に述べたことである。したがってこの二つの手続上の門は、判決においても未決のまま残された。判決はまた、2023年9月12日の命令が上訴の目的において「最終」か「暫定」かという分類も解消していない。
上訴の連鎖と、その途中にある許可要件
モーリシャスの控訴裁判所法1963年は、控訴裁判所に、最高裁の最終判断に対する民事事件の上訴を審理する無限定の管轄を与える。他方で、訴訟費用のみに関する命令、同意命令、および暫定的な判決または命令については、許可を得なければ上訴できないと定める。許可の申請期限は、最高裁への一方的申立てが14日、却下された場合の控訴裁判所への申立てが7日とされる(控訴裁判所法1963年(モーリシャス))。受託者命令がどちらの類型に入るかは、上訴可能性を左右する。
そのさらに上には枢密院司法委員会がある。最高裁自身の説明によれば、枢密院司法委員会はモーリシャスの最上級の上訴裁判所であり、憲法第81条と裁判所法第70A条に定められたとおり、上訴は当然の権利として、または許可を得て及ぶ。司法委員会は憲法第81条5項に基づき特別許可を与えることができ、手続はモーリシャス(枢密院上訴)命令1968年に従う(最高裁の説明ページ)。司法委員会の実務指針は、モーリシャスが、同委員会への上訴が認められる独立共和国の一つであることを確認し、モーリシャス独立命令1968年附表第81条、枢密院上訴命令1968年(S.I. 1968 No. 294)、およびモーリシャス司法委員会上訴命令1992年(S.I. 1992 No. 1716)を引く(司法委員会の実務指針)。枢密院上訴命令1968年は、控訴裁判所または最高裁から枢密院への上訴に関する手続機構、すなわち判断から21日以内の動議または請願による許可申請、担保の要件、枢密院命令の執行を定める(モーリシャス(枢密院上訴)命令1968年)。
2025年の展開
AFRINICのメーリングリスト通知は、最高裁が2024年10月15日に、2023年9月28日に開始された上訴を取り消し、Official Receiverの任命を含む2023年9月12日の商事部判断を回復し、AFRINICの定款に基づく選挙を組織するための期間を2か月とする命令を出したと述べている(AFRINICの通知)。
2025年6月20日にICANNは、自らが最高裁破産部に申請し、AFRINICの裁判所任命受託者に関する判断を得たと発表した。そこには、Cloud Innovation Ltd が会員として誤って登録されたこと、および NomCom の編成について受託者にコミュニケを発出させる命令が含まれる一方、裁判所はICANNに出訴資格がないと認定した(ICANNの発表)。
AFRINICの取締役会と受託者の共同コミュニケによれば、受託者は2025年10月8日に、自らの正式な解任手続を開始するため、モーリシャス最高裁破産部に受託者終了申請を提出し、判断を待っている。選挙を経て取締役会が置かれたことも述べられている(取締役会と受託者の共同コミュニケ)。
限られた結論
管轄権・手続・上訴という三層を分けると、二つのことが見えてくる。第一に、この事件をモーリシャスの裁判所に引き寄せているのは、番号資源としての性格そのものではなく、法人の登記地と会社法の枠組みである。第二に、暫定命令に対する異議申立ての道筋は、取締役会や会員の地位とは別の、独立した手続上の門によって規律されている。2024 SCJ 473は、その門の一部を開けたまま残した。本稿の時点で確定できないのは、条文番号の不一致、第178条本文の文言、受託者命令の最終/暫定という分類、そして2025年10月の受託者終了申請の帰趨である。
対象となる機関のディレクトリ項目はモーリシャス最高裁にある。
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