要約

  • Internet Societyの理事選では、適格な組織会員は選出される各席について一票を持ち、集計時にPlatinum 6、Gold 5、Silver 4、Bronze 3、Copper 1という区分別の重みが付く。
  • 2026年のOMAC役員選手続は、一組織につき確認済みVoting Delegateを一人とし、会員レベルによる加重を行わないと明記する。OMAC憲章も、合意に至らず正式投票が必要な場合は一組織会員一票としている。
  • 重みは会員資格の恒久属性ではない。意思決定機関、役職、根拠文書と版、資格基準日、代表者権限、基礎票、倍率、分母、異議申立て期限を一体化した「投票権限レシート」が必要だ。

同じ会員でも、どこでも同じ重みを持つわけではない

「組織会員の一票」は一定の単位に聞こえる。しかしInternet Societyの制度では一定ではない。適格性を持つ主体は組織であり、指定された人が票を送信する。ところが、その票が結果に及ぼす力は、何の役職を選んでいるかによって変わる。

現行の理事選出手続によれば、適格な組織会員は選出対象の理事ポジションごとに一票を持ち、同じ候補者に複数票を投じることはできない。そのうえで、票を数え上げる段階に会員区分別の重みが入る。Platinumは6、Goldは5、Silverは4、Bronzeは3、Copperは1である。

Platinum会員に六つの投票リンクが届くわけでも、一席について六人を選べるわけでもない。正式に送られた一つの選択が、加重合計へ六単位を寄与する。提出された票と数えられる単位を区別することは、投票率や結果を扱う記録の出発点である。

OMAC役員選は、広い意味では同じInternet Society組織会員を選挙母体にするが、対象の役職と公開規則が異なる。一組織につき、確認されたVoting Delegate一人だけが投票できる。最大三候補を選択でき、複数回送信した場合は最後の票だけが数えられる。決定的なのは、代表者自身が立候補できる機会があるため、会員レベルによる加重は行わない、と現行手続が明記している点だ。

OMAC憲章も、委員会内部の意思決定について同じ境界を引く。各組織はPrincipalとAlternateを指名でき、両者の立場は等しい。まず合意形成を目指し、それができず正式投票が必要になれば、各組織会員につき一票となる。

したがって、抽象的な「六票対一票」ではない。一回の理事選の選択を区分別に加重する仕組みと、加重しないOMACの決定がある。倍率を与えるのは会員証ではなく、意思決定の場である。

権限が違えば、選挙の道具も違う

Internet SocietyのBylawsは、理事会が承認した手続に従って組織会員が四つの理事席を選ぶ構造を定める。就任した理事は特定の会員区分ではなくInternet Society全体のために職務を行い、理事会は法人の業務を方向付け、ガバナンスと監督を担う。

OMACは諮問機関である。Presidentと理事会に助言や勧告を届け、組織会員の参加を深める。役員は会議を招集し、議論を進行し、委員会の立場を伝え、報告する。OMAC役員選に勝っても理事になるわけではなく、理事会の一席が割り当てられるわけでもない。

この制度上の分離を見落としてはならない。加重表は、ネットワーク記録のASNのように会員へ恒久的に付着する属性ではなく、特定の判断のために選ばれた道具だ。理事選手続は理事席について区分加重を認め、OMAC手続は役員について同じ重みを拒むことができる。適用範囲が保たれる限り、どちらかがもう一方を黙って書き換えることはない。

危険なのは、データベースや公表資料が member、vote、result だけを保存する場合である。これでは、何の判断をしたのかという制御面が消える。後の読者が非加重のOMAC投票率を理事選の加重影響力として読むかもしれない。同じ会員表を使うという理由だけで、投票システムが理事選の倍率をOMACへ持ち込むかもしれない。逆に、理事選の加重総数を返送票数で割って投票率と呼ぶ誤りも起こる。

算数がすべて正しくても、制度に関する主張は誤り得る。

一人の代表者は一つの集計単位ではない

どちらの制度でも、人が組織の権利を行使する。理事選では、適格な組織会員がElection Representativeを指名し、不在ならPrincipal representativeが既定の役割を担う。OMACではAssociation Management System上でVoting Delegate一人を確認し、その人が行動できない場合は確認済みのAlternateを認める。

これらの役割が解決するのは権限であって、重みではない。

代表者規則は、誰が票を送信し、差し替えられるかを答える。倍率は、正式な選択がこの役職の集計に何単位入るかを答える。選挙人規則は、どの組織がいつ適格だったかを決める。選挙公式は、その単位からどう当選者が決まるかを示す。これらを「投票者」という一語にまとめると、四つの制御が失われる。

しかも、good standingを判断する時計は似ているが同じではない。2026年理事選の資格基準日は1月20日で、3月16日の投票開始より前だった。OMACは投票開始時点で会費が全額納付されていることをgood standingの条件とし、2026年は7月6日に投票が始まった。

一つの組織が両方の記録で会員と呼ばれても、各選挙には固有の過去時点の選挙人スナップショットが必要である。現在の会員一覧は、締め切られた選挙人名簿の代わりにならない。

2026年の公開情報は結果を示すが、私的な票は示さない

2026年の理事選では、組織会員が一人の理事を選んだ。投票は3月30日に終了し、異議申立て期間の後、Sharon Kentが三年任期で選出されたと最終発表された。別の適格投票者PDFには、その選挙について認証された組織が掲載されている。

OMACは7月27日に投票を閉じ、8月4日に結果を確定した。現在の結果ページはHarald Summaを2026–2028年期のChairpersonとして掲げる。

これらの公知情報から、名前のある組織が誰に投票したかは分からない。2026年の候補者総数を構成した区分別内訳、私的な選択、非公表の票差も復元できない。現行の組織会員一覧はPlatinum、Gold、Silver、Bronze、Copper別に会員を並べるが、区分一覧と資格一覧を組み合わせても投票台帳にはならない。

過去の運用資料は、重み付けが実際に集計されたことを示す。公式の2019/2020 Elections Committee報告は、各組織会員が二つの選択を行え、各票が会員カテゴリーに従い1から6の重みを持ったと記す。当選候補の得票率は加重票の44.69%と報告された。これは集計モデルの実装証拠であり、2026年の結果を推測する材料ではない。

公開説明責任が必要とするのは、公式と集約されたレシートである。会員ごとの選好ではない。

投票権限レシートを発行する

Internet Societyは中核となる規則をすでに公開している。足りないのは、実装、報告、後日の監査で規則がばらばらにならないよう束ねる短い構造化記録だ。

選挙または正式な会員投票ごとに、レシートへ次を記すべきである。

  1. 意思決定機関、役職または議案;
  2. 根拠となるBylaws、Charter、手続、決議の版;
  3. 適格性規則と選挙人確定日時;
  4. 権限を持つ代表者の役割と交代規則;
  5. 許される選択数と再送信規則;
  6. 倍率表、または明示的な unweighted 状態;
  7. 集計単位、分母、投票率の単位;
  8. 席数、当選公式、同数時の規則;
  9. 確認および認証を行う主体;
  10. 公表する結果項目と投票秘密の境界;
  11. 異議理由、期限、処理状況;
  12. 重みがこの意思決定面だけに適用されるとの明文。

理事選のレシートなら、返送票と加重単位を分け、6/5/4/3/1を示す。OMAC役員選なら、確認済みの代表者一人、最大三候補、最終送信優先、unweighted by membership levelを記す。別の正式なOMAC議案なら、憲章の一組織一票規則を参照する。

レシートは、区分別加重が望ましい政策かを決めるものではない。現に存在する政策を監査可能にし、正当な規則が権限を与えた役職から逃げ出すことを防ぐものだ。

資料からは言えないこと

公表資料は、会費によって理事席を購入できるとも、上位区分の会員が理事会を支配するとも、2026年のいずれかの結果が無効だとも示していない。複数候補制、候補者選択、投票率、区分別重みの分布が結果を左右する。倍率は集計上の影響力であって、結果の所有権ではない。

また、OMACのすべての活動が選挙投票を使う、あるいはInternet Societyのすべての投票が非加重であるとも言えない。役員選手続、OMAC憲章、理事選手続にはそれぞれ固有の適用範囲がある。本稿の中心は、その範囲を混ぜないことである。

持続する教訓は簡潔だ。会員資格が参加できる主体を定め、役職が票にできることを定める。

出典

  1. Internet Society — Organization Member Advisory Council (OMAC) Officer Elections
  2. Internet Society — Procedures for Selecting Trustees
  3. Internet Society — Organization Member Advisory Council (OMAC), including the Charter
  4. Internet Society — Organization Member Advisory Council Officer Elections 2026
  5. Internet Society — 2026 Board of Trustees Elections
  6. Internet Society — Final Results of the 2026 Board of Trustees Elections and IETF Selections
  7. Internet Society — Amended and Restated By-Laws
  8. Internet Society — List of Organization Members
  9. Internet Society — Organization Members Eligible to Vote in the 2026 Trustee Election
  10. Internet Society — Elections Committee 2019/2020 Final Report