要約

  • ICANNには別々の二つの制御がある。1文字または2文字のASCII文字列は申請時点で許可されない。一方、申請された2文字の文字列またはそのバリアントが、2文字ASCII文字列やそのバリアントと視覚的に類似すると評価されれば、後のString Similarity Evaluationで先へ進めなくなる。
  • SSEツールは候補を絞り込むが、最終判断者はパネルである。公表結果には、決定的なラベルの組み合わせ、文字体系と大文字・小文字の表示、除外した比較、パネルの理由、21日間の異議申立期限が必要だ。

この規則を誤解しやすいのは、ASCIIの英字2文字をそのまま申請する者だけではない。その場合は比較的単純で、申請システムが入力段階で止めるべき対象である。難しいのは、別の文字体系で2文字のラベルを選び、IDNとルートゾーン・ラベル生成規則の要件を満たし、ASCIIの国コードを直接入力していない申請者である。

ICANNの『2026 Round Applicant Guidebook』は、形式が違うだけで国コードとの関係が消えるとは考えていない。String Similarity Evaluationでは、申請文字列とそのバリアントを、2文字ASCII文字列およびそれらのバリアントと比較する。申請された2文字の文字列、またはそのバリアントの一つが比較対象と類似すると認定されれば、申請は進まない。

ここには二つの関門がある。最初の関門は、申請対象そのものが禁止された短いASCII文字列かを確認する。二つ目は、異なるラベルが視覚的に類似するかを判断する。この二つを単に「ブロックされた名称」とまとめれば、申請者が検証すべき事実も、誤りの種類も見えなくなる。

最初の関門は同一性の確認である

Guidebookの7.2.1節は、その他の1文字または2文字のASCII文字列を申請不可の範囲に含める。ICANNの現行FAQも同じ分類を示している。7.2.1.1節によれば、申請システムは入力された文字列を自動確認し、該当するブロック対象であれば、その文字列で手続きを続けることを許さない。

この判断に必要な記録は限られる。入力文字列、正規化後の形式、該当したカテゴリー、参照したリストの版、確認時刻である。フォントや人間の知覚について新たな裁量判断を加える必要はない。対象が禁止カテゴリーに一致したかどうかを説明すればよい。

二つ目の関門では問いが変わる。非ASCIIの2文字ラベルは2文字ASCII文字列と同一ではないが、そのラベルまたはバリアントが、SSEで当該文字列またはそのバリアントと視覚的に類似すると判断されることがある。これは単純なリスト照合ではなく、分析を記録すべき評価である。

結果通知は、どちらの関門が働いたかを最初に示すべきだ。それがなければ申請者は、正規化、リスト分類、バリアント関係、レンダリング、パネル判断のどこを異議申立てで問題にすべきか分からない。

結果を決めるのはプライマリ文字列とは限らない

SSEの比較範囲は申請者が最初に入力したプライマリ文字列だけではない。Guidebook 7.10.1節は、プライマリ文字列、割り当て可能なバリアント、範囲内のブロックされたバリアントを考慮する。本稿が扱う関係について、凍結済み事実パケットが確認する比較先は、すべての2文字ASCII文字列とそのバリアントである。

したがって決定的な関係は、プライマリ対プライマリとは限らない。申請側のバリアントがASCII文字列に似る場合も、プライマリが比較先のバリアントに似る場合も、バリアント同士が近い場合もある。さらに7.10.3節では、一つのvariant-string-setに含まれる全ラベルが同じSSE結果を共有する。一つの比較エッジが、集合全体の帰結を決め得る。

「2文字ASCII文字列と類似」という一文だけでは足りない。公開記録には少なくとも次が必要である。

  1. 比較されたプライマリまたはバリアントの正確な組み合わせ
  2. 双方のA-label、U-label、Unicodeコードポイント
  3. 文字体系、大文字・小文字、バリアント関係
  4. 適用された類似性カテゴリーとガイドライン
  5. 結果を継承するvariant-string-setの範囲

これは再構成可能な記録を作るための編集上のガバナンス提案であり、ICANNが実際に公開する項目を記述したものではない。事実パケットは2026年ラウンドの個別結果の公開形式を確定していない。

2026年7月のSSEデータが示す比較の複雑さ

ICANNは2026年7月23日、SSE DataとSSE Guidelinesのバージョン1.0を公表した。各文字体系の専門家は、同一体系内、関連体系間、さらにASCIIの大文字・小文字との間で要素を比較した。RZ-LGRのバリアント定義もデータに組み込まれ、ツールが潜在的な類似集合を抽出できるようにしている。

ASCIIに関する説明では、ilmrnnrivvwなど、強さの異なる関係が例示される。専門家が直接分類した関係もあれば、バリアント統合や推移性によって集合に入る関係もある。小文字では区別できても、大文字化によって似る場合もある。

これらは手法を説明する公式例であり、2026年ラウンドの実申請ではない。本稿の事実パケットには申請単位のSSE結果、誤検出率、異議申立ての件数や覆った割合は含まれていない。技術資料の例を、既に起きた却下事例として扱ってはならない。

一方で、実際に評価した表示形式を保存すべき理由は明確になる。「類似」という結論や単一スコアだけでは、直接の字形関係なのか、大文字化なのか、正式なバリアントなのか、推移的に候補集合へ加わったのかを区別できない。

ツールは事前選別し、パネルが責任を負う

2026年7月版SSE Guidelinesは、ツールを最終裁定者ではなく事前選別の仕組みと位置付ける。ツールは潜在的な類似集合とレポートを作り、パネルがそれを検討する。パネルは集合を追加、調整、削除できるが、理由を示さなければならない。ツールのレポートに現れない文字列も自動的に合格するわけではなく、その文字列とバリアントを人が確認する必要がある。

凍結資料が確認する分業は限定的である。ツールは事前選別の入力を提供し、パネルは理由を示して集合を変更でき、レポートにない文字列も人が確認する。事実パケットはパネルの専門構成を追加で断定せず、個別結果の表示環境テストも規定しない。

公開記録は二つの段階をつなぐべきだ。ツールがその組み合わせを検出したか、どのカテゴリーに置いたか、パネルが何を決めたか、両者が違う場合にその理由は何か。ラベルの組み合わせを伴わないスコアは理由ではなく、適用ガイドラインを示さない人間の結論も検証できない。

Guidelinesは、文字体系間の混同可能性が明らかに低い場合、ブロックされたバリアントの一部比較を省略できるとしている。これは無意味な比較を減らすが、省略自体が一つの判断である。何を除き、どの基準を使い、誰が承認したかを記録すべきだ。

同じカテゴリーでも関係が違えば結果も違う

Guidebookの表7-5は結果を区別する。申請文字列が2文字ASCII文字列と同一、またはそのバリアントであれば申請は受け付けられない。バリアントではないが視覚的に類似する場合は先へ進めない。

同一または正式なバリアントという関係は視覚的類似という判断と同じではないため、両者は別々に記録すべきである。ただし、このカテゴリーではどちらも申請を止める。ICANNの用語集はこれを「潜在的な将来のccTLD」の空間と説明するが、凍結パケットはそこから別の手続を推論しない。

ただし、この説明は新gTLDプログラムの規則を示すにとどまる。ICANN、ISO 3166 Maintenance Agency、政府のいずれかが2文字コードを財産として所有することを証明しない。技術的な名前空間調整と、主権や所有権に関する主張を混同してはならない。

21日の期限は、理由が同時に届いて初めて機能する

申請者はSSE結果を受け取ってから21日以内に、事実、手続またはシステム上の誤りを理由としてchallengeを提出できる。誤りが確認されればchallengeの結論を踏まえて再評価し、確認されなければ元の結果が維持される。

21日という短い期間が実質を持つには、判断理由と比較資料が通知と同時に届かなければならない。どのバリアントが作動したか、どの大小文字を表示したか、パネルがツール候補を追加したかを探すために、申請者が期間を消費すべきではない。

最低限の判断記録には次を含めるべきである。

  1. 直接禁止とSSEのどちらが作動したか
  2. 決定的なプライマリまたはバリアントのペア
  3. 正規化形式、A-label、U-label、コードポイント、文字体系、大小文字
  4. 類似性カテゴリーと適用ガイドライン
  5. 事前選別結果とパネルによる追加・削除・上書き
  6. 省略したブロックバリアント比較と低混同性の理由
  7. variant-string-set全体に及ぶ結果
  8. 通知時刻、challenge期限、安定した結果ID

これは編集上のガバナンス提案であり、ICANNが欠陥を認めたという事実ではない。Heng Lu doctrine、すなわち申請を終わらせ得る制御は、規則、証拠、比較エッジ、理由、決定者、救済経路を再構成できる記録を残すべきだという規範的視点を適用している。この視点は、誤判定や被害が実際にあったことも、透明性によって結論が変わることも証明しない。

2文字ASCIIの関門は、DNSルートにおける国コード空間の明瞭さを守り得る。しかし正当性を保つには、短いASCII文字列を入力時に止める制御と、別の2文字ラベルを視覚判断によって止める制御を区別しなければならない。どの関門とどのラベル対が結論を決めたかが公開されて初めて、ツールを裁定者と誤認せずに規則を監査できる。

出典