要約
- 4,792万1,740カナダドルの基本価格は、基準調整後EBITDA 955万6,348カナダドルの5倍に14万カナダドルを加えたものだ。5倍という倍率はこの式だけを対象にする。
- 決済時の対価は現金3,836万5,392カナダドルと、1株4米ドルで算定したHF Foods株170万1,871株だが、株式はエスクロー、業績テスト、将来の現金買い取りの対象となる。現金部分も90日以内の事後計算で変わり得る。
- 2年間の成長アーンアウトと3年間のCostcoアーンアウトは基本価格の外側にある。SearayのEBITDAは買収前の単体指標で、買収会計、資金調達、上場会社コストを含まない。
HF Foodsは8月31日、Searay FoodsとMorgan Foodsの全持分取得を完了した。9月3日の発表は、約4,790万カナダドル、Searayの2025年調整後EBITDAのおよそ5倍という見出しを置いた。
この倍率は誤りではない。Form 8-Kはさらに正確で、基準EBITDA 955万6,348カナダドルを5倍し、14万カナダドルを加えた基本価格と定義する。問題は正確な式を、まだ確定していない総額へ広げてしまうことにある。
支配権は移った。経済的な決済は終わっていない。
5倍が測る範囲
HF Foodsは決済時に3,836万5,392カナダドルを現金で払い、普通株170万1,871株を1株4米ドルで発行した。ただし、発行株式がそのまま売り手の確定財産になるわけではない。
株式購入契約では株式をエスクローに置く。決済後の不足、補償請求、業績未達によって株数は減り得る。測定日に残存株式が解放条件を満たしても、HF Foodsの株価が契約上の目標を下回れば、会社は目標価格で現金購入し、株式を消却する。
同じ株式が、解放、削減、消却、現金債務への転換という別々の終点を持つ。決済日の株数や4米ドルという評価だけでは、後日の現金負担を決められない。
決済日の現金は見積もりから始まる
現金対価には、Searayの負債、現金、第三者費用、正味運転資本の見積値が使われた。買い手は90日以内に事後計算書を提出できる。売り手は30日間、作業資料を確認し、異議を出せる。
合意できない項目はカナダの独立会計事務所へ送られ、提示された両者の範囲内で拘束力のある判断が行われる。最終現金対価が運転資本の許容帯を超えて低ければ、エスクロー株式がHF Foodsへ戻り、不足分は売り手が現金で払う。高ければHF Foodsが差額を現金で支払う。
これは価格の訂正というより、見積決済書を最終決済書へ変えるための契約手順である。基本価格、決済時現金、事後精算額は別の記録だ。
エスクローは業績と株価の二段階
最初の判定は、連続する二つの12カ月期間における平均調整後EBITDAを見る。基準の97%以上なら、残った正味エスクロー株式は決済へ進める。97%未満なら、基準と実績平均との差の5倍に相当する価値だけ株数が削減される。
次にHF Foodsの株価を判定する。測定日に目標以上なら株式を売り手へ解放する。下回れば、HF Foodsが目標価格で現金購入し、消却する。
したがって、この仕組みは単なる成功報酬ではない。すでに発行された対価がどれだけ残り、株式と現金のどちらで終わるかを決める。Searayの営業成績とHF Foods自身の市場価格が交差する。
成長とCostcoは同じ利益を使わない
成長アーンアウトは2年間で、各年の基準を上回る調整後EBITDAの50%を支払う。CostcoによるEBITDAは除外され、10%を超える成長分も計算から外れるため、対象帯には上限がある。
Costcoアーンアウトは3年間、対象拠点に帰属する年間EBITDAを切り分け、1ドルにつき1ドルを払う。予測値が上限となり、最低事後指標も条件になる。契約はCostcoのEBITDAを基本価格と一般成長アーンアウトの両方から明示的に除く。
一つの利益を複数回価格化しないための境界だ。同時に、基本事業、Costco以外の成長、Costcoチャネルという三つの成果記録が必要になる。
8月27日の修正契約は支払順位も決めた。アーンアウトは買い手の融資より劣後し、繰延額にはSOFRプラス2%の単利が付く。権利が発生した日と現金を受け取る日は一致しない可能性がある。
増益期待はまだ連結実績ではない
HF Foodsは利益率と1株利益への即時のプラスを見込む。しかし発表資料は、Searayの調整後EBITDAが買収前の単体数値で、米国GAAPと異なるカナダ基準に基づくと説明する。買収会計、資金調達、上場会社コストは反映されない。
会社は、将来の増益指標をGAAPへ合理的な労力で調整できないとしている。取得価格配分、無形資産の償却、取引・統合費用、条件付対価の公正価値、為替が未確定で、影響は重要になり得るからだ。
HF Foodsの6月期10-Qは、四半期売上高3億2,380万米ドル、粗利益5,500万米ドル、営業利益280万米ドル、調整後EBITDA 1,360万米ドルを示した。同社自身の定義でも、設備投資、運転資金、債務返済は指標に含まれない。Searayのカナダ基準値と直接足せるものではない。
銀行の同意書は、取得会社が融資文書へ加入し必要な担保を設定する期限を、即時ではなく決済後5営業日以内とした。取得準備枠の解除は記録されているが、特定の借入が現金3,836万カナダドルを賄ったとは書かれていない。
買収は完了した。5倍の基本式も公開された。しかし最終請求額と連結利益には、まだ別の受領書が必要である。
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