要約

  • ヒートマップの基準は、表示期間で最も遅延が小さい区間。長引く迂回の後から期間を始めると、その迂回が緑の基準になりうる。
  • 方向の統合は初期設定で有効になっており、各区間で低いRTTを採る。パケット損失は別の中断シグナルとして示される。

月曜の運用会議に、緑のマスが並ぶ。これを見て「復旧済み」と議事録に書きたくなる。だが期間を迂回後から選んでいたら、画面に映るのは迂回後だけだ。ここで調査を閉じれば、遅い経路は次のシフトへ持ち越される。色は正しく計算されている。会議が知りたいのは通常時から戻ったかどうかで、緑が答えるのは表示窓の中でどこが一番速かったかだ。

RIPE Atlasは2026年10月20日、Anchor Mesh Statusを公開した。アンカー間で既に動いているpingとtracerouteを使い、遅延とパケット損失を時系列のヒートマップにする。新しい測定を開始する機能ではない。各アンカーはもともと他のアンカーを測っている。新しいのは、経路、期間、IPバージョンを選び、色のついた一マスから経路診断へ進める見せ方だ。

肝は小さな計算にある。各時間区間では、報告された中央値RTTの平均を取る。次に、画面に表示された期間のうちRTTが最も低い区間を、その経路の基準にする。色はそこから何ミリ秒遅いかを示す。月曜に迂回が始まり、期間を水曜から表示すれば、既に遅くなった水曜の経路が画面内では最速になることがある。迂回を迂回と比べれば、緑が並ぶ。緑は表示窓の最速区間との距離を教える。通常時への復帰判定は、窓の外にある過去の経路と比べて初めてできる。

RIPEの説明は、イベントより前の時間も含めるよう勧めている。例に挙げる2024年11月のバルト海ケーブル切断では、文書に記載されたリトアニア―スウェーデン間のアンカー経路が約17ミリ秒から約37ミリ秒に上がり、11日ほど高止まりした後、修理後に戻っている。切断前からの期間なら変化が見える。迂回中に始まる期間は、別の質問に答える。

もう一つの設定は「経路」の見え方を変える。方向統合は初期設定で有効だ。各区間でA→BとB→AのうちRTTが低い方を残し、最良ケースを一行にまとめる。地図を素早く見るには便利だが、遅い方向は隠れやすい。ペアの診断を開き、Reverseで反対方向を見てから、往復の両方が必要なサービスを判断したい。

色は遅延と無応答も分ける。損失が20%を超えるとマスが薄くなり、100%なら測れるRTTがないため「遅延増大」ではなく「中断」に入る。灰色はサンプルなし。物理距離からあり得ないRTTには別の警告が付き、基準計算からも外れる。概要欄でも「遅延増大」と「中断」は別々に数える。

出典:RIPE NCC 2026年10月の会員向け更新、Anchor Mesh Statusの説明書、機能画面、10月20日のAtlasリリースノート、RIPE Atlasアンカーメッシュping測定API。