要約

  • 欧州委員会は、欧州電子通信コード第32条・第33条の全決定を、第一段階の決定も含めてCIRCABCに掲載したと説明する。登録は不要で、月次一覧も公開される。
  • 拒否権の対象は関連市場の定義と著しい市場支配力(SMP)の認定。救済措置への重大な疑念は、各国規制当局への勧告につながり得る。

公開された記録、区切られた権限

10月29日の発表によると、第32条・第33条に関する決定は、第一段階のものを含めCIRCABCで閲覧できる。欧州委員会は月次の決定一覧も同所に掲載するとしている。アカウント登録は要らない。

審査件数は少なくない。委員会によれば、各国規制当局(NRA)から届く通知は年間およそ60〜90件。案が通知されると、委員会、欧州電子通信規制機関(BEREC)、他の加盟国の規制当局には一か月の審査・意見提出期間がある。大半は「意見なし」または「意見あり」の書簡で終わる。

重大な疑念を示す書簡まで進む案件は一部で、その場合は審査がさらに二か月または三か月延びる。「委員会には拒否権がある」という説明だけでは、何を止められるのかが分からない。委員会自身の説明では、拒否権は関連市場の定義か、企業が著しい市場支配力を持つという認定に限られる。

市場の範囲を定めること、SMPを認定すること、競争上の問題に対する義務を選ぶことは別の判断だ。委員会が説明するSMPの枠組みでは、参入障壁が高いか、市場が有効な競争へ向かっているか、競争法だけで問題を解決できるかが問われる。

重大な疑念が救済措置に関するものなら、委員会が示す手段は各国規制当局への勧告だ。実務上の働きかけではあるが、市場定義やSMPに対する拒否と同じ法的な停止措置ではない。各国当局は最終決定に際し、委員会の意見を最大限考慮しなければならない。案件を読む側には、異論がどの判断に向けられたかが重要になる。

第一段階の記録を並べて読む

これまでも個々の協議や報道発表は追えた。第一段階の決定まで並べて読めれば、ニュースになった対立だけでなく、日常的な審査がどう終わったかを比較できる。問うべきは「委員会は介入したか」だけではない。市場の定義、SMP、救済措置のどこが問題になり、国家規制当局がその後どう決めたかだ。

法的根拠は指令(EU)2018/1972、欧州電子通信コードである。委員会の発表は手続と公開先を説明し、コード本文が法的枠組みを定める。発表からリンクされたCIRCABCのフォルダーは調査画面で404となり、現在の収録件数は確認できなかった。欠けているのは、公開後の実際の収録一覧という一点だ。

出典:欧州委員会・第32条/第33条の決定;指令(EU)2018/1972・EUR-Lex;欧州委員会・欧州電子通信コード。